淫獣とご主人様 1











「元親、待て」

「なんで?」

青い瞳をきょとんとさせて元親が首を傾げる
その仕草を愛らしいと思っても、ぐっと堪えもう一度待てと言う

「…何で元就と一緒なのに待てなの?」

不満そうに眉を寄せる元親を抱き締めたい衝動に駆られる
だがまだ躾けの途中だ
ここで止めてはいつまでも朝出る時にぐずられる
それはあまりに心苦しい

「……元親よ、きちんと出来ればご褒美だ」

「いっぱいぎゅうしていいの?」

「ああ」

「ちゅうも?」

「ああ」

「えっちも?」

「…ああ」

「じゃあ頑張る!」

ニコニコと笑う元親は床にぺたりと座り込み上機嫌だ
そわそわとこちらの行動一つ一つに反応し、まだかまだかと期待する
まだ二分ほどしか経っていないというのに、これでは先が思いやられる

元親との出会いは単純明確
ビルの隙間でうずくまっていたのを拾っただけだ

白いワイシャツと黒のパンツ
キラキラとした銀髪に真白き肌、海のような青い瞳
単純に美しいと思い連れ帰った

来い、と言えばさしたる抵抗も無く付いて来た
あまり頭の出来が良くないらしく、我の言葉に何で?と繰り返した

共に過ごして一日で元親に常識が無いことが分かった

一人では風呂にも入れず、飯も作れない
不思議そうにテレビを眺め、これなぁに?とのたまった

拙い言葉しか持ってはおらず、一人になることを極端に嫌がった

”あのねぇ、ちかは…え?ちかはちかだよ
ええと、もとちか?だったかな、あんまり覚えてない
えっと、それでちかは、ええと誰だっけ、んー、おじさん?
太ってて、臭い人のところに居たんだけど、いらないってぽいされたの
それでねぇ、ちか歩くの疲れたから休んでたら元就が来いって…
元就はきれいだよねぇ
臭くないし、太ってないし、ちかに痛いことしないし、ご飯くれるし、
変なお薬もないし、縛らないし、ええと、ええと、何て言うんだっけ…
あ、やさしい!あれ、当たってる?わかんないや
えへへー、ちか元就大好きだなぁ”

”んーと、そのおじさんで何人目だっけ?覚えてないや
その前も、その前も、みんな太ってて臭くて怖い人だったよ
ちかはねぇ、お注射嫌いなの
おちん○んも、お薬入ったちくってするのも、どっちも嫌い
おちん○んは臭いし喉おえってなるし、お薬された後は気持ち悪くてぐらぐらするんだもん
縛られるのも痛いからやだなぁ
真っ赤になってね、ひりひりするの
鞭はピリってして、いっぱいいっぱい痛いの
ろうそくはずぅっと熱いの続くからもっと嫌い
でもちか、元就だったら平気かも
元就きれいだからだいじょぶ
おちん○ん臭くても汚くてもご奉仕出来ると思うよ”

舐める?という申し出に首を振りため息を吐いたのは記憶に新しい
今までどこに居た?とい単純な疑問にまさかまさかの返答だった

「…元就ぃ、まだぁ?」

元親の声に時計を見ればまだ五分程しか経っていない
まあ頑張ったほうかと思いながら良しと言う
涙を湛えていた瞳がぱぁっと開かれ、嬉しそうに元親が抱きついてくる

「元就、元就!ちか頑張ったよ!えらい?」

「ああ、良い出来ぞ」

「えへへへ!元就好きぃー」

ぐりぐりと鼻先を我の首元に埋める元親をよしよしと撫でてやれば、
潤んだ瞳でぎゅうと腕に力を込めたかと思うと唇を奪われる

「ねぇ、もっとご褒美」

「…仕方の無い奴だ」

「だって元就がご褒美くれるって言ったもん」

「そうであったな、何が欲しい?」

「えっとね、えっとね、ちかのけつま○こに元就のぶちこんで!」

ニコニコと笑う元親に口付けてぎゅうと抱き締めてやる
嬉しそうな笑い声に思わず笑みが浮かんでしまう

まだまだ及第点とは言いがたいが今日のところは良いだろう
これからゆっくり躾けていけばよいのだから

今日のところは、よくできました






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