今年も残すところひと月となりました。年の瀬の師走を迎えて、皆様にはご多忙のことと存じます。
株価が「跳ねる」ように上昇する卯年であったはずですが、惨憺たる現状に気もそぞろな投資家の方が数多くいらっしゃるようにお見受けします。どうしてこのような状況になっているのか。一年を振り返ってみますと・・・。
年初のビッグニュースは、「アラブの春」のひとつであるジャスミン革命が、チュニジアにおけるベンアリ政権を倒壊させてしまったことでしょうか。「国民が主人公」という原則を、軍部のクーデターではなく、名もない市民の結集によって取り戻す端緒となりました。それはエジプトやリビアへも波及し、さらにイエメンからシリアへと拡大しています。支えとなったのがSNSなどを擁するIT通信。国境という壁を軽々と飛び越え、情報のグローバル化を一気に推し進めています。ある種の政権には、頭の痛いツールかもしれません。
自然現象においては、東北地方大震災やタイの洪水などが挙げられます。被災された方々のご苦労は当然ながら、わが国の製造業全体にも大きな影響を及ぼしました。サプライチェーンの寸断という現象は、為替や税金などの問題を理由とする以上に、中心技術の海外移転をも選択せざるを得ない決断を迫っているかのように思えます。それでなくても少子高齢化社会が到来し、市場としての魅力が急落していることから、より産業の空洞化を促進させる出来事ばかりが続いているように感じます。実に困ったことですね。
輸出企業を苦しめるその円高ですが、ほとんど円だけが高騰しているという様相になっています。その原因は、ギリシャの政府債務問題に端を発した国債の信用低下がイタリアなどへも飛び火し、グラシアの破綻をきっかけとしたEU諸国内の銀行への不安から、行き場を失った資金が円へと向かっているようです。「GDPの2倍以上、1,000兆円という借金への疑念はないのか!」とは思います。ただ、運用という面からみれば、一億円の0.01%としても百万円ですから、1円の円高が生み出す利益たるや想像を絶するものがありますよね。
さて、充分な調査と判断に基づいた株式投資で損を被った原因は、「えっ、ウッソ〜!」という想定外の出来事に起因しているように思えます。福島原発事故においては、「想定外との理由を是とできない」とする感情が高まりました。それは論点が違うとのお叱りを受けそうですが、「一寸先は闇」というのが適当なのかもしれません。いずれにしても、運用などへ回す資金がない弊社にとっては地道なものづくりに専念するばかりです。そしてそれこそが、製造業にとっての王道であると考えさせられた一年でありました。
本年も格別のご厚情を賜り、衷心より御礼を申し上げます。そして来年は、より一層のご愛顧を頂戴できますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
皆様には、佳いお年をお迎えください。
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