技 術 集 団 伴 化 成 本文へジャンプ
粘 技奉 Up !

伴化成では、プラスチック精密射出成形での「ものづくり」には、頑固なまでのこだわりを持って取り組んでいます。
成形機が7台しかないのに、フッ素やスーパーエンプラの取り扱い原料が40数種類に上っています。

困難には粘り強く向き合い、弛まぬ技術の向上に精進し、お客様のご要望には奉仕の精神を持ってお応えすること

“ Never give up ! ” に倣い
このように決意しています。
<<前のページ | 次のページ>>
2009年8月3日(月)
企業力の発揮や如何に?

昔風に申せば、藪入月である葉月を迎えました。皆様にはいかがお過ごしでしょうか。

戦前までの丁稚どんや小僧さんは、雇い主に新調してもらったお仕着せに身を包み、同様に支給された手土産を携えて親元へ帰って行ったようです。兄弟に大きな顔ができる若干の小遣いも、気を大きくさせたことでしょう。将来の暖簾分けを夢見ながら、無給で働く過酷な毎日から解放された喜びは、あっという間に過ぎ去って行ったのではないでしょうか。

一方、現在はどうでしょうか。ファーストリテイリングや王将グループなどの一部企業を除いては、目的である存続さえ危ういところが多いのではないでしょうか。弊社のような零細においては、殊更に真実味が増しています。そのようなわけで、お盆休みは政府の景気対策をも尻目に、何処へも出かけずひっそりと過ごさざるを得ないのが本音のところです。本当に侘しい限りです。

とは言うものの、先月、かなり難しい案件が飛び込んで参りました。ほとんどが製品図面での見積り依頼が主流なのですが、めずらしいことにゲート位置や抜け勾配まで記述されている成形図面での引き合いでありました。拝見した瞬間に「これは成形できません」と反応すべきなのですが、注記に「正式な図面ではありません。変更等を提案のこと」と明記されていました。

製品の詳細を申し上げることはできませんが、新たな追加工程への対応と、物流コストの削減とを同時に満足させる目的があるらしく、特に物流コストを絞れるだけ絞って削減したいというのが最優先のようでした。指定されている原料から考えても成形は困難でありました。そこで、製品機能をあえて逆転させることから、両方の目的を充足させるようなご提案をしました。

そのためには、金型をはじめ、成形条件や方法も新たな発想の展開が必要でした。初めて「図面を起こす」という経験もいたしましたし、ラフな模擬製品も製作してみました。弊社においては結構な資本投下をしましたので、競合に後れを取っては身も蓋もなくなります。とりあえずは候補として残っているようなので、まだまだ諦めずに追加提案の方策を練っています。

シリコンバレーの父といわれるターマン博士が、「『できない』とは『しないこと』だ!」と戒めています。次回には、受注のご報告ができるようにしたいと考えています。

2009年8月3日(月)
シリーズ 苦労しまんな〜!
第3回 ヒケ

ヒケは、過去2回で述べましたボイドの真逆の現象です。しかし、原因だけをとらえると、ボイドと全く一緒です。まず、射出された樹脂は、金型の製品表面部に保持圧で押し付けられて硬化が始まります。次に、内部の樹脂が硬化を始めるのですが、肉厚が大きな製品の硬化はなかなか完了しません。その状態のままで製品が取り出されると、未だに硬化しきれていない内部の樹脂が製品表面の樹脂を内側に引っ張ります。それがヒケとなります。

ゲートの種類によっても、発生し易いものとでき難いものがあります。一般的にダイレクトゲートではなり難く、ピンゲートでは発生し易い傾向にあります。それはダイレクトゲートの方は射出圧力がかかり易く、金型内で製品内部の樹脂が充分硬化されるからです。

ヒケの直し方としては、同じ原因からヒケとボイドができていることから、意図的にボイドを作ることでヒケを直すことができます。方法としては、外観影響の許容範囲まで金型温度を下げて冷却時間を延ばします。つまり金型内で製品表面を充分硬化させるようにします。しかし、ボイドもヒケもNGとなる製品を直すのは非常に困難です。この件については、来月のコラムで申し上げたいと思います。

 

このコラムについてのご意見やご要望、加えて弊社へのご依頼事項や製品見積り案件などがございましたら、「お問い合わせ」をクリックしてメールをご送付ください。直ちに対応させていただきます。

 



 

Copyright(c)2007.Bankasei