第2四半期終盤となる長月を迎えました。台風の影響による集中豪雨に見舞われ、東日本大震災の復興も儘ならない閉塞状況に追い打ちをかけられているように思えます。自らをドジョウに例える新総理は、起死回生の打開が図れるのかどうかと百家争鳴の渦中にいます。ただ、声にもできないマジョリティーへの気遣いこそが求められているように思えます。「一丸となって頑張りましょう」と叫ぶのではなく、具体的な政策を提示して「大丈夫、安心してください」と語りかけてくれる方が、どんなにか心強く感じられるのではないでしょうか。政局に翻弄されるのではなく、諦めと失望に苛まれている国民の現状と将来に対して、粉骨砕身していただきたいものです。
さて、弊社もご多分に漏れず、大震災以降の業績は惨憺たるものです。何とか凌いでは来ているものの、設備投資が進まない現状では望むべくもなく、補充のリピート量産が良いところです。新規の金型起こしなどはほとんどありません。ちなみに、ここ2カ月ほどは見積りもさせていただいたことがない状況です。円高の影響からか、海外進出や事業統合ばかりを耳にします。お盆休みの最中も、「一体全体、わが国のものづくりはどないなるンや」と、出口の見えない隘路に迷い込んで意気消沈するばかりの日々を過ごしていました。
お盆明けのそんなある日、何かと弊社のことを気にかけてくださる(財)奈良県中小企業支援センターのアドバイザーさんから、「自動車部品メーカーのニーズ説明会にあった一つだが、伴さんのとこで対応可能ではないかと思うんだけど」と、ある部品の案件をご紹介くださいました。お客様が求めておられるニーズは「薄肉樹脂成形技術」で、要は「複雑な形状の金属に0.2oの厚さで樹脂を密着させろ」ということです。もちろん、欠けやショートはNGですしバラツキも論外です。現在使われている一般的な熱可塑性原料はナイロン、POM、PPSとLCPで、寸法精度と耐油性が求められています。安定した量産のためには、高いハードルをいくつも越えなければならないようでした。
その中でも、発生するガスによる影響をどの程度まで解消できるかが問題です。加えて、肉厚が薄いので、金型から抜く作業が大変のようにも思えました。しかし最大の問題点は、正式な図面の提示がないことです。示されている参考図は論文か何かの図のようで、成形する製品はこの図とは大きく異なるように思えました。つまり、検討においては推測の限りを越えられないということです。これにはヤルセナイ思いを抱きましたが、開発トレイで培った技術が充分に生かせそうなので、マッチング申請を行うことにしました。
競合相手が多数おられるでしょうし、難関の書類審査も通過しなければなりません。蜘蛛の糸とは申しませんが、お釈迦様の移り気も不安材料です。ただ、難しい仕事に取り組むことでしか道も開けないようにも思います。うまくいけば12月にプレゼンをさせていただけることになりますが、そうなりましたらご報告をさせていただきます。
とにかく日々精進。「 粘・技奉・Up NEVER GIVE UP !」です |