新緑の季節が真っ盛りです。高速料金千円の終了(?)と大型連休が相まって、皆様には海へ、山へ、あるいは海外へと、大忙しのことと拝します。
ある取引先で行楽の話題に花を咲かせていると、「そんなんは金がある人だけのこと。ネボケてるんとチャウか。それとも伴さんとこは儲かってシャ〜ないんかいな」と、お偉方からお叱りともつかないお言葉をいただきました。「ちょっと待ってくださいよ。仕事がないから油を売ってるんやないですか」と、精一杯の言い訳(?)をしたところ、この連休はず〜っと成形機と向き合わなければならない羽目になりました。およそ望外にありがたいことなのですが、社員や家族からは計画性のなさを批難され、針のムシロ状態を強いられています。何ともはや、「社長はツライよ、お父さんはサビシイよ」と、物言わぬ働き者の成形機に嘆き続けている日々です。ちょっとアブナイですかね。
さて、お陰様で、今月は5面の新規金型を受け入れます。全てがエンプラを原料とした工程内の作業部品で、現在は飛ぶ鳥を落とす勢いの太陽光発電関係もあります。それぞれに厳しい公差が要求されていることをはじめ、頭の痛い問題ばかりが多いのです。ただ、どうしてこういうことになるのだろうかと不思議に思えるのですが、珍しくも共通する大問題を抱えているのです。それは「キャビ取られ」です。図面検討に参加させていただくたびに、何故だかそのことばかりが目に付きました。かつて、金型に傷をつけないように成形品を外すのに2時間もかかった苦い経験があります。今回は、たとえ発生したとしてもそこまでには至らないとは思いますが、「あの不毛な時間と労力の浪費」のことが頭を過るだけで、イタタマレナイ気分に落ち込んでしまいました。
お認めいただける限りの変更はお願いするのですが、どうしてもお受けいただけない事態には、試験打ちにおける条件出しでご対応せざるを得ません。型温、スピード、それに圧力などの調整にトライし続けますが、「あちらを立てればこちらが立たず」状況が儘あります。離型剤を用いることをできるだけ避けるようにしていますが、止むを得ない場合も想定されます。しかして、お客様からのOKがいただけるまでには苦難の連続が待ち構えています。「これは無理ですは」と申し上げるのは簡単ですが、それは沽券にかかわります。いったんお引き受けしたからには、必ずや品質第一の良品をご提供することを標榜していますので、諦めるなどということは許されません。蓋し、隘路を打開するチャレンジに挑み続けることになります。きっとその先には、お客様の笑顔が待っていることでしょうから。
|