AMPLIFIERS

No.10 <QUAD 22 & U>

CL36の紹介の時に書いたように、リファレンス+ワーフェデ−ル用に使っていたパワー・アンプのM300の調子が悪くなったので、その代わりにと最近選んだのがこのQUADのアンプです。 小編成から大編成まで幅広いクラシックを聴くので、ある程度出力があって、スケール感が出るものを探しました。 別に真空管方式には拘らないのですが、今回のように調子が悪くなった時に真空管のアンプは補完部品があるので、よほどのことがない限り同一とは言えませんが再生できますので、長くリファレンスにしたいと思い、Vintageの領域になる古い機械を選んでしまいました。 自分の好みから真空管式のアンプを使うのが多いので、リファレンスも真空管のほうが、比較しやすくていいかもしれないという気持ちもあります。 「22」という専用プリとセットになっています。 電源の供給と特殊な形状の端子がついたケーブルで信号を供給していますが、このケーブルと端子、下の回路図にあるようにヒーター電源も供給しているようです。 そんなわけで簡単には切り離せないセットです。 




いまだに多くの機械が中古市場に出回ってるQUADU、プリも含め、マッキントッシュやマランツと並び称される銘品と言われています。 シンプルでユニークな回路もさることながら、コンパクトに仕上げられたデザインも美しい。 パワー・アンプは余分な物を全て廃したシンプルなデザインで、これ以上手を加えようがない美しさが感じられます。 プリ・アンプは豪華さや重厚さを追求せず、デザインに小粋な雰囲気を持ち、これも非常にコンパクトに仕上げられていますが、4本の真空管やぎっしりと詰められた部品により、トランスが入ってない割にはずっしりと重さも感じます。 CL36と比べると、1/4〜5位の大きさですが、機能的にはほとんど変わりがありません。 入手した実機は真空管以外は全く変更されていないオリジナルのままでした。 製造されてから経過した年数を考えると恐ろしい感じもしますが、優れた回路を持つものは、長寿命であることが真空管アンプの特徴の一つかもしれません。
但し、プリアンプの部分は古さがネックになりますね、どうしても分解能とか残留ノイズと言う面では弱点になると思います。 現在では形や回路をベースにして、より広めの再生周波数帯域とかを目指し最新の部品とか使用し回路を改良したものがキットで出ていたりするので、それを選んだほうが一般的なプリアンプとも組み合わせできるので使いやすいと思います。
2週間ほどワーフェデ−ルと組み合わせて鳴らしてきましたが、大分音も落ち着いてきたようです。 今まで使ってきた3極管のシングル・アンプと比べると多極管接続のプッシュプル・アンプですから、音の出方や雰囲気はかなり違いますね。 全体にしっかりとした音という印象です。 最初は力強さがかなり勝ってる感じがしたんですが、鳴らし込むうちにバランスが良くなり音に艶も出始めました。 ただ、今までのクラシック一本槍という感じのワーフェデ−ルの音をジャズでも聴けるような音味に変えてくれていますが、全体では色々なクラシックを愉しんで聴ける音という感じがしています。 以前に比べると、ピアノや管楽器の音が格段に良くなっている。 通常擦って弾く弦楽器では少しかすれたような響きがよりその音味を強調させるのですが、それがピアノや管楽器では多少好ましくない方向の響きになることがあります。 ワーフェデ−ルでは元々このかすれる音の傾向があったんですが、どちらかというとよりクリアな響きに変わってきています。 それでも艶があるので、弦楽器も心地よく響かせてくれます。 もう少しふわっとした感覚が出れば、ヴァイオリン・ソロ等でも全く問題がないでしょう。 響きは多少強調されるような感じはありますが、それがより空気感を出しているのと、音の強さ故に大きな編成のものもそれなりに聴かせてくれます。 多少音の輪郭が滲む感じがあり、小編成やバイオリン・ソロではちょっと短所になっています。 こういう演奏では3極管のシングル・アンプが向いていると思いますので、切り替えて聴きたいですね。 まだ、時間が経つともっとふわっとした感じも出てくるかもしれません。 以前お店で聴いたALTECのホーン・システムとの組み合わせの感じに近づいていますので、そろそろ本来の音になりかけているかもしれません。
ローサーとの組み合わせも試しましたが、迫力は出ましたがちょっと音が荒れた感じが出てしまいます。 私が好んで聴くジャズでは小編成が多いので、もっとクリアな感じが合い、今のところは4033Xシングル・アンプのほうが、ジャズを好ましく再生してくれます。 もうちょっと低音の押し出しとか高音の厚みがが欲しいんですが、今の箱では難しいかもしれません。 それか、もっと力強い音の出る球がいいかもしれません。




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