AMPLIFIERS

No.3 <自作真空管式アンプ-WE300B Single 試作機>



WE−300B

CV−378



Amplifier: 入力・段間・出力とトランスを三段重ねた真空管アンプ (推定5W)
使用真空管:出力管:米Western ElectricWE-300B、初段管:WE-349A、整流管:英Mullard CV-378(GZ37) 
使用トランス:タンゴ製パワー・トランス(MS-250CT)&出力トランス(XE-20S)、
タムラ製入力トランス(TSK-50)・段間トランス(A-342)
5月の連休にふと思い立ち急遽試作した、STC−4033Xのアンプは殊のほか、音がよく気に入ってましたが、弦楽器や木管楽器の音では多少不満が残ったままでしたので、本格的に新しいアンプを作る予定でいたのですが、夏の暑さで半田ごてを握る気力がおこらず、その後涼しくなっても忙しさにかまけて部品入手も進んでいなかった上に、新しいPCを2台も買ってしまって、大きな部品は買えなくなってしまいました。出かけることも多かったので延び延びにしていたのですが、最近クラシックを多く聴き始めて不満な点がより大きくなってきたので、11月初めの3連休で試作機だけでもと意を決して、またまた急遽作製してしまいました。
300Bは米ウェスタン・エレクトリックが誇る大型3極出力管です。とっても作りがよく他の民生用球とはかなり差のある出来栄えです。かなり大型のST管でその姿も男性的な美しさと言われています。アメリカの真空管にしては、フィラメント効率等もよくシングル接続でも大きな出力が取リ出せる真空管です。以前は、映画館等でウェスタンのシアター・システムとして使われていました。ウェスタンのシアター・システムはレンタルでしか供給されなかったようなので、一般の人間には見ることも手に入れることも難しかったようです。1980年頃に廃館になった映画館で使っていたアンプが出てきたのですが50年近く毎日使われたはずなのに、まだちゃんと動作することが確認されたことがあり、その長寿命も全くの別格といえるでしょう。信頼性も高く、以前トランジスタ時代にも関わらずNASAではその信頼性の故にこの真空管をレギュレーターとして使っていたそうです。ちゃんと正しく動作させれば、我々が使う範囲においては、一生使えそうな感じです。高級品ですが、そういう意味では安いかもしれません。この真空管、信頼性だけでなく音のよさでも、とても評判のいいもので、いまだに市販の真空管アンプに使われてでてきます。人気が高いので、限定でたまに作製されるらしいです。私も実際に何度かこの真空管を使ってアンプを作りましたが、使っていたアルテックのスピーカーとの相性もあるでしょうけど、とても柔らかくスケールの大きな音が出ていました。今回、今までのSTC−4033Xのアンプをグレード・アップするにあたり、手元にある直熱管を一通り検討したのですが、4033Xの良さを崩さずに、同じ傾向でよりグレードの高いものを考えた時にこの球しかなかったのです。もともと、最終的なアンプを作る時にはこの球を使うことを考えていたので、迷わずこれに決めました。でも、最終的なアンプにするために、トランスやシャーシ等もすべて換えるつもりでいたのですが、今回はまだそういった部品が手に入っていないので、今までのアンプのシャーシやトランスを使った、とりあえずの試作機を作りました。
今回のグレード・アップの目的としては、より大きな編成の音楽にも耐えられるダイナミック・レンジをもたせること、弦楽器や木管楽器での滑らかさや柔らかさをよりよく表現できること(但しベタベタした感じではなくサラリとした感じをなくさないこと)、アコースティック楽器の空気感をよりよく出せること等です。もう少し音楽に沿った言葉で言えば、ヴァイオリンの音が柔らかくでること、大き目の編成の室内楽も再生できること、チェンバロの音ももう少しふわっとした漂う感じがでること、ジャズでは管楽器の音がより滑らかに聞こえること、そしてライブの空気感がもっと伝わってくること等です。
上記目的を達成するために考慮したことは、直熱管を使って、音のヌケをよくし、高域の柔らかさとふわっとした感じを出すこと、コンデンサーをケミコンからオイル・コンデンサーに換えてよりサラッとした感じをだすことです。但し、今回はトランスやシャーシの変更はしないので、多少制約がでました。トランス、特に出力トランスはパーマロイ・コアのトランスを使いたかったのですが、今までのままにしました。また、段間トランスも大きさの問題と回路上の考慮でパーマロイ・コア・トランスの使用はは諦めました。オイル・コンデンサーもシャーシの空き部分が足りないのと低域の量感を残す観点と、電源リップルを減らしたかったので、大容量ケミコンと前段への供給部分は残したままです。今までの経験上よりウェスタンの音を生かすために、前段管もウェスタンの小出力管を使用しました。この部分、より躍動感を出すためには、同じ特性で10Vヒーター管の336Aというのがあり、JAZZではとても伸び伸びとした感じがでるのですが、今回はクラシックをかなり意識していたので、素直な音の6.3Vヒーター管、349Aを選びました。整流管もWEの名球、274B(なぜか刻印もの)があったのですが、ステレオ・アンプなのと試作機ということで今回は使用を見合わせました。また349Aのヒーターの立ち上がりが非常に遅いので、あまり早くプレートに電圧をかけたくなくて、あえて傍熱管を使っています。でも、この球そんじょそこらの直熱管に比べても音の良さではひけをとらないすぐれものです。また、視覚的にも大型ST管との相性もいいのではと使用してます。300Bにはプレート電圧330V、電流50mAほどのかなり軽めの負荷になっています。もともとこのシャーシを使ったアンプは10年ほど前にこの300Bを使ってデザイン・製作したものなので、改造は考えていたほどあまり時間がかからなくて、休み休みで7時間くらいの工程でした。ちょっといい加減過ぎるんじゃないかと反省しているのですが、なんとか音は出ているので、一安心しています。でも何度も配線しなおしたところは、ハンダ等綺麗にできなくて、ちょっと自分でも不満が残っています。一度部品を全部はずして、パーツを交換すべきでしたね。
尚、作ってすぐ出かけてきてしまったので、試聴については後日多少のエージングをしたところで行い、感想を述べたいと思います。今までのところでは、音場では横にも縦(奥行き)にも広がりが出た感じです。スピーカーの出力音圧レベルが低いせいか、ノイズはさほど気になりません。音的にはピアノの響きがとってもよくなったことと、木管楽器に滑らかさがでてきたのは今の時点でも確認できています。ちょっと問題なのは、前段の増幅度が足りないことです。今までの4033Xは傍熱管なので、入力はかなり小さくていいのですが、300Bでは3倍位の入力が入るので、その分ダイナミック・レンジが取れるのですが、CDの出力が同じ状態ではかなり小さめな音に聴こえます。奥行き感が広がったせいなのかもしれませんが、もう少し増幅度を上げたい感じです。これはCDの出力をまだ上げられるので、それをテストしてみないと何とも言えませんが・・・。            by Masa
その後の改善
今回の改善の目的としては、第一に電源系の信頼度を上げることでコンデンサーを経年変化が起き易いケミコンから半永久的なオイル・コンデンサーやフィルム・コンデンサーに換えて、音的にもよりサラッとした感じをだすことです。二つのチョークの間に入れた大容量のケミコンが大分古い(15年くらい前のもの)ので、かなり劣化してるんじゃないかということと、二つ目のチョークの後にオイルコンを入れたんですが、大きさの制限で耐電圧容量がぎりぎりなのが気になっています。この二つをより信頼性のあるものに変えることによって、真空管の安全性への影響をなくして、かつ音的にも安定度を上げたい。これに関しては少しだけ不安がある。今使ってるスピーカーがミニ・スピーカーで低音が出にくいこと、さらにそのミニ・スピ^カーを高さ1メートル位の「ESL63」の上に載せているので、さらに低音が薄くなってることである。その上に、大容量のコンデンサーを小容量のオイルコンデンサー(CP)とかフィルムコンデンサー(MP)に変えることによって低音の量感が減ってしまってますます出にくくなることです。ただ、昔から低音がだぶついているのが嫌いなので、引き締まって軽い音味の低音が好きなので、大容量のケミコンによる低音の量感はあまり好きではないので、今後高さ60cmくらいの台に替える事によって、低音の量感を補うことを考えたほうがいいでしょう。 第二として、大きな編成の音楽にも耐えられるダイナミック・レンジを生かすために、もう少し増幅度を上げたいと思います。CDからの出力を上げてみたのですが、あまり大きな効果がないようなので、アンプ側の前段での増幅度を上げざるおえないですね。でも、あまり上げすぎると音の出方が変わる可能性があるので、信号が大きなところでは、2−3倍くらいが限度だとは思っています。真空管での音の変更は避けたいので、できれば入力トランスかドライバー・トランスの増幅度変更で補うか、または、接点が増えるのを我慢して、プリアンプを使うかですね。そんなことをしばらくいろいろ考えていて、当初ドライバー・トランスを現在の昇圧比ゼロから2倍のものに変更を考えていたのですが、お風呂で暖かいお湯に使っていたら、頭の血のめぐりがよくなったのか、ふと思いついた。今も入力インピーダンスをできるだけ低くしたいので、CDプレーヤーのヘッドフォン端子を使っているのだが、もっと低いのがあるかもしれない。今の端子はカタログにスペックが載っていなかったので安全を期して10Kオームで受けているけど、かなり低いことが確認できたら、同じ入力トランスのままでもう一つの入力である600オームが使えるかもしれない。そうすれば、ここで、今の2倍強の昇圧から、9倍に増やせる。入力トランスのところなら、信号はまだちいさいので、この位昇圧しても、音への影響は少ないかもしれない。そこで、我が家にあるほかのCD再生機器を調べてみる。そして、すぐに目に入ったCDウォークマンのカタログを早速調べてみる。この機械、オーディオへの出力端子も付いているがそれは50Kオーム受けを前提にしているので問題外だ。でも、イヤフォーン端子の項を見たら、出力インピーダンスは書いてないが、16オーム負荷イヤフォーン前提で0.9W出力となってる。と、いうことは、出力インピーダンスは同等かそれより低そうです。これなら使える、出力もオーディオ出力のところで最大0.6Vとなってる。それより大きいとしても、9倍に上げても10Vちょっとくらいでしょう。これなら前段球への入力も規定範囲内で、今の5倍位の値で終段へ入力できて、かなりいけそうです。 これは早速試してみる価値がありそうです。次の週末にでも試してみましょう。結果は次回のアップデートまたは、ヒアリング・テストで報告します。          by Masa




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