とても気になる「あげる」の乱発

2015年2月15日

NHKの「まちかど情報室」を見ています。アイデア商品などを一般の人が使っている様子と一緒に紹介する番組です。好きな番組ですが一つだけ気になることがあります。

男性と女性のアナウンサーが1週間交代で担当しています。その女性アナウンサーの言葉です。それが最近少し変化が出てきました。はっきり出たのが2月5日の「水やりのタイミングを教えてくれる棒」のときでした。

この棒を使っている男性は「水やり」と言っていたのに、女性アナウンサーは「水をあげる」と言ったのです。もう10年以上も前からでしょうか。「ペットに餌をあげる」とか、「花に水をあげる」という言い方がよく聞かれるようになりました。

やはりNHKの「ことばおじさんのなっとく日本語塾」という番組で、10年近く前に「花に水をあげる」について説明していました。「『あげる』は本来謙譲語なので、目下から目上にたいして使う言葉です。『花に水をあげる』はおかしな使い方です。」と言っていました。

例えばペットに対しては「やる」ではなく「あげる」を使いたい人もいるでしょう。それでも公共の放送で正しくない日本語を使うのはどうでしょう。それによって、よけい正しくない表現が広まるかもしれません。

そんな思いで「まちかど情報室」に質問のメールを送りました。1ヶ月以上経っても返事がないので、再度送りましたが梨のつぶてでした。

それが先日の番組で、大きな変化があったのです。女性アナウンサーが最初に「水をあげる」と言ってしばらくしてまた「あげる」といいました。「またか!」と思ったら、「やる」と言い直したのです。

先月頃からか、たまに「やる」と言っていたのに気がついていましたが、言い直したのを聞くのは初めてです。誰かに指摘されたのかなと思っていたら、また「あげる」と言ってから言い直しました。

アナウンサーとしては褒められたことではないでしょうが、今回の言い直しで「あげるはだめなのか」「やるが正しいのか」と思う人が少しでもいたとしたら、おじさんは嬉しいです。

この番組だけでなく、インタビューを受けた人が「やる」と言っているのに、テロップでは「あげる」と変えられていることがあります。せめてNHKだけでも正しくない表現は避けて欲しいものです。

「あげる」についてはまだまだ言いたいことがあるので、また書きます。

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