3月の初め頃に、おばさんがパン屋に行くと、「小春日和になりました。」と書かれていたそうです。2月の後半から寒さはゆるんでいたのですが、その日は特に暖かくとても穏やかな日だったのでそのような気分を表してくれたのでしょう。
華やかな飾り付けもいいんですが、そういう、お店のちょっとした気遣いがとても幸せな気持ちにしてくれますよね。同じようにちょっとした一言をかけてもらうのも同じような気分になります。自分ではなかなかできないのですが。
ところで、せっかくのメッセージですが、「小春日和」の使い方に疑問があります。おじさんも昔は、真冬に春のような陽気の日のことを小春日和というのだと思っていたのですが、
小春日和 〈小春の頃の暖かいひより。小六月。〉
小春 〈(暖かで春に似ているからいう) 陰暦10月の異称。〉
(広辞苑第5版)
ということなので、11月頃でしょうか。
小春日和 〈初冬のころの、暖かくて穏やかな天気。〉
(明鏡国語事典)
広辞苑でも季語は冬となっていますが、
「淡紅の秋桜が秋の日の
何気ない陽溜まりに揺れている
〜略〜
こんな小春日和の穏やかな日は
あなたの優しさが浸みて来る
〜以下略〜 」
さだまさしの「秋桜(コスモス)」では秋ですね。
どちらにしても、3月になって「小春日和」というのは正しくないと思います。
別にそう書いてあったパン屋さんを非難しているわけではありません。最初に書いたように、そのような心配りに敬意を払います。
ただ、そこに書かれているのを見て「ああ、この時期のこんな日を小春日和というんだな」と間違って覚えてしまう人がいたら大変だなと心配したのです。もし、コスモスの時期に小春日和というのがおかしいとしたら、多くの人が小春日和を間違って理解してしまっているかもしれないのですから。