放射線の強さベクレル(Bq)から原子の質量を求めてみよう。
ある放射性元素の原子量をM、放出する放射線の強さA(Bq)、半減期をT(秒)とするとその原子の質量はw(g)は
w=A×T×M/(0.693×6.02×1023)
で求めることができる。
例えば、セシウム137(Bq)ならM=137,A=500、半減期30年を秒に直して代入すれば計算できる。
【基礎知識]
(1)ベクレル(Bq)・・・放射線の強さの単位 放射性元素が1秒間に崩壊する回数。放射性元 素は崩壊するごとに放射線を出すので、1秒間 あたりの放射線の放出回数と考えてもよい。
〈補足〉1(Bq)=1DPS(disintegration persecond)
(2)半減期・・・放射性元素が元の数の半数になるまでの時間。放射性元素は崩壊するたびに別の原子になる。
(3)放射性元素の放出する放射線の強さ(Bq)は放射性元素の原子の数に比例する。
【求め方】
放射性元素の放出する放射線の強さA(Bq)は放射性元素の原子の数Nに比例ので、比例定数をλとすると
A=λN ・・・@ λ:崩壊定数
ということはλ:崩壊定数がわかればその時に存在する原子の数が求められる。
半減期Tと崩壊定数λの関係式は
λ=ln2/T ・・・A lnは自然対数
@ 式にA式を代入してλを消去
N=A×T/ln2 ・・・B
1mol=6.02×1023 原子量M 質量w とすると
N=(w/M)× 6.02×1023 だからB式を代入して
A×T/ln2=(w/M)× 6.02×1023
∴ w=A×T×M/(ln2×6.02×1023)
ln2=0.693
【例題】
新聞報道によると福島原発事故による大気への放射能の放出量はヨウ素131に換算して19万テラBqである。ヨウ素131の半減期は8日として19万テラBqのヨウ素131の質量を求めよ。
19万テラBq=190000×1012=1.9×1017
8日=8×24×3600
w=1.9×1017×8×24×3600×131/(0.693×6.02×1023) で求めることができる。
=41.3 (g)
【理系数学V選択生徒への応用編】
半減期と崩壊定数の関係は?
λ=ln2/T ・・・A の求め方
放射性元素の放出する放射線の強さA(Bq)は放射性元素の原子の数に比例する。
従って
A=λN(t) ・・・@
また放射線の強さA(Bq)は時間dt時間当たりの崩壊する数dNだから
マイナスは減少していることを表す。
A=−dN(t)/dt ・・・C
@ 式と C式より
λN(t) = −dN/dt
−λdt=(1/N(t))dN
積分すると
−λt+C=lnN(t) Cは積分定数
e−λt+C=N(t)
N(t)=e−λteC
t=0のときN(t)=N0 とすると
N0=eC
N(t)=N0e−λt
半減期t=TでN(t)が半数になるから
(1/2)N0=N0e−λT
(1/2)=e−λT
ln(1/2)=lne−λT
−ln/2=−λT
λ=ln2/T