がれき処理は実は簡単
はじめに
.東日本大震災によって生じた大量のがれきの処理が進まない。政府の要請を受けて、
東京都がまっさきに手を挙げたが、多くの自治体では放射能を含んだがれきの受け入れ
に反対している。焼却処分時の空気中への放出も心配される。震災のよって生じたがれ
きの総量は2000万トンに及ぶ。その量の多さがよく報道されるが・・・・
体積や重さの単位や密度を復習するいい機会だと考え、化学の時間の一時間目に2000万
トンのがれきのおよその体積を計算してみた。
条件
1.がれきの総量は約2000万トン。
2.がれきは金属、プラスチック、木材などの比率が不明なため密度は水と同じとする。
展開
1.水1Lは何kgが?
2.水1Lを上皿ばかりで計量。
3.厚紙で作った即席の一辺10cmの立方体に計量した1Lの水を入れる。
4.体積1立方メートルを図で示し、10立方cmが何個はいるか問う。
1m3 =1000L
1L = 1kg
∴ 1m3 =1000 kg = 1トン
5.2000万トンの体積は?
2000万m3
6.
次に2000万m3 の体積の大きさをイメージしよう。高さ10mとすると底面積はい
くらか?
200万m2
7.200万m2はたて、横どんな長さの長方形か?
2000000 m2=2000m×1000m
つまり2km×1km
意外と小さい!
8.高濃度に放射能で汚染された福島第一原発敷地の海岸線だけで3.5km。汚染された
海をがれきでシールドしよう。
現実的でないと?約90年前に関東大震災のがれきで横浜の海を埋め立て山下公園を作っ
たのだが。
コラム「がれきの有効利用」
1.がれきが放射能の拡散を抑制
東京電力は法律で環境中への放出が認められている濃度基準の500倍の放射性物質を含む
水約1万1500トンを海に放出し問題になった。NHKスペシャル「知られざる放射能汚染〜
海からの緊急報告〜」によると福島第一原発周辺の海底の泥の上では、1時間あたり2.5マ
イクロシーベルトの高線量が計測され、海底土については、1キロあたり4520ベクレル、さ
らに20キロ内の海底土にも1キロあたり2000ベクレル以上の地点が複数存在すると報じられ
た。
海に流れる放射性物質は今後も何年も続く。4つの原子炉や燃料プールを冷やす水は循環
させてはいるが相当量が放射性物質を含んで漏れ出していると考えられる。また高濃度に汚
染された敷地内から雨水によっても放射性物質は海に流れ混んでいる。
周辺の海底をシールドするには2000万トンのがれきでは足らないかもしれないが、放射
能汚染度の高いものから順に埋めていけば、敷地周辺の海底よりがれきの方がはるかに放
射線量は低いので、汚染された海底から出る放射線をシールドする効果が期待できる。
2.埋立地を利用する
埋立地はがれきによるシールド効果があるため地面から来る放射線量はかなり低いと考え
られる。今後、敷地内から汚染水がいつまでも流出するので、埋立地にはまずは敷地内か
ら海に漏えいしている汚染水から放射性物質を取り除く浄化設備を作らなければならない。
次に、埋立地には原発周辺の汚染された土地から取れる作物からエタノールを生成する工
場と火力発電所も建設する。そしてエタノールによる火力発電をすればよい。植物から得
たエタノールを燃やすのだから、CO2が放出されても元のエタノールは大気中のCO2の光
合成から得ているのでCO2の増加はない。もともと発電所があったので送電設備などもそ
のまま使え、コスト削減になる。
3.がれきに群がる利権
政府はがれきを受け入れた自治体に対して多額の財政補助を行うとしている。それでも進
まないのは放射能で汚染されたがれきに住民の不安があるからだ。さらに原発事故以来、
政府から発せられる情報への不信感がある。ここでまた流行りの「絆」。みんな苦しいか
ら苦しみを分かち合おうという善意のPRが始まる。そして首相の「日本の国民性が試され
ている」はその象徴的な発言だ。
なぜ、汚染されていない遠くの地域にまで持っていって処理する必要があるのか。これは
国の補助金目当てでしかない。地方自治体ががれきの処理の仕事を業者にとってきてやる
というわけだ。
さて、がれきの処理をまっさきに受け入れたのは東京都だ。堤未果の「政府は必ず嘘をつ
く」(角川新書)によると。東京都のがれき処理の応募要項だとがれき処理に見合うだけ
の設備を持っているのは東京で一社だけだった。請け負ったのは「東京臨海リサイクルパ
ワー」。99.5%東京電力が出資している子会社だ。東電はがれき処理で一切費用を負担せ
ず、逆に利益を得る。東電設立以来、東電に天下りした官僚の約半数が東京都の幹部だと
いうのだ。所詮、石原前都知事の国民性はこんなものだ。