電力不足を理由に大飯原発再稼働 この夏の電力は不足したか。
日本の総発電量に占める原発の割合は29%だが、日本の電力の3分の1を供給する.東京電力の原発の割合は23%だ。それに比べて関西電力は48%と最も原発に依存し.ている電力会社で、その規模から言っても原発業界や他の業界に与える影響は大きい。5月19日、その関西電力が夏の電力不足が15%にのぼり、広域停電の可能性があると公表した。しかし15%の根拠は示されなかった。
この夏のピークの関西電力の電力需給はどうだったのか。関西電力が公表(表1)によると7月から8月15日現在までで最も電力需要が高かったのは8月2日の16時から17時で2650万kw。それでも供給量は2959万kwだから、その差は309万kw。大飯原発3号機4号機の発電量が合わせて236万kwだから、再稼働しなくてもピーク時も足りた。
原発が再稼働しなければ、需給率は97.3%となりあわや停電かと数字上は見える。しかし、その前の週の需給予想(表2)を見ると一般水力は250万kw、揚水は432万kw、合計で682万kwとされている。しかし、調べてみると関西電力の一般水力発電と揚水発電の設備合計電力は820万kw。138万kwも供給を少なくしている。同様に、火力発電については予想では1435万kwだが、設備合計電力は1691万kw。ここでも256万kwの差がある。水力火力の設備だけでも合わせて394万kwも供給を少なくしている。最大級の原発約4機分だ。原発を稼働させる根拠は全くなかった。
〈表1〉
「原発を再稼働しなくても電気は余る」関西電力は知っていた。
関西電力のプレスリリースによると。
7月30日の「今夏の需給状況について」では夏の電力需要のピーク時が震災以来どう変化したかを検証している。気温が上がれば電力需要が増加する。気温と14時から15時という電力需要のピークを震災前の2010年と2011年、2012年を比較したものだ。そのデータをもとに関西電力はこうコメントする。ピーク時の電力消費について「H22年と比べて、平均で約240万kw(約9%)減少しています。この中に節電効果が含まれているものと考えられます。」と。震災以来、節電でピーク時に240万kwの余裕が生まれたというのだ。大飯原発の2機の電力合計が236万kw。やはり、再稼働は必要なかった。ましてや15%の電力不足というのは何を根拠にしたのだろうか。