初期の放射線報道をどう読むか
原発事故後の2週間近く経った3月25日、新聞には文部科学省が放射線汚染の測定結果を発表したと報じた。
次の記事の注目すべき点に線を引き示せ。
放射性降下物、大幅減 大気中の放射線量も低下 文部科学省は24日、大気中の放射線量や、上空からちりなどと一緒に落ちた放射性の降下物などの測定結果を発表した。降下物の値は、首都圏を中心に大幅に低下した。大気中の放射線量も、10都県で通常より高い値が続いているが、多くの地点で低下する傾向を示した。 文科省や専門家は、前日に降下物の値が上がったのは、福島第一原発で15日前後に起きた爆発などで上空に放出された放射性物質が、前日までに降った雨とともに降下したのが影響している。(中略)上空から落ちてくる放射性ヨウ素131やセシウム137などの放射性物質の値は、関東地方の多くの地点で大幅に低下した。23日まで高い値が続いていた。 東京都新宿区では23日午前9時から24日午前9時までの間に、ヨウ素が1平方メートルあたり1万3千ベクレル(ベクレルは放射能を表す単位)で前日比で6割減、さいたま市は1万6千ベクレルで同3割減、千葉県市原市は7700ベクレルで同7割減、宇都宮市では1200ベクレルで同9割減だった。 一時、高い値を示していた茨城県ひたちなか市も、セシウムは420ベクレルから63ベクレル、ヨウ素は2万7千ベクレルから1200ベクレルにいずれも大きく下がった。 日本アイソトープ協会の佐々木康人常務理事は「首都圏で前日、降下物の値が上がったのは、雨の影響が考えられる。雨が大気中の放射性物質を取り込んだお陰で空気がきれいになり、値が下がったのだろう。今後、雨が降らなければ、川の水に入るヨウ素の量も減り、水道水に含まれる値も下がることが予想される」と話している。 |
*ベクレル:1秒間当たりの放射線を出す回数。
ポイント
1.3月25日に初めて報道されたこと。これまでの測定結果は公表しないのか。
2.放射線が低下したと報道されるが前日の放射線量を計算してみる。
3.専門家は「空気がきれいなった」と言うが、雨で放射性物質が落ちて土壌が汚染されたと
いうこと。雨が降らなかったら汚染地域はもっと遠くに移動したということ。
4.以上のことを考慮して、この報道にはどのような意図があるかを考えてみよう。