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福島原発で何が起こったか?

原子炉の中の水がなる想定されてきた最悪の事故が。

 

[導入]

紙コップに水を入れて、紙コップのそこをライターで火を灯す。コップのそこには黒くすすが付くが、紙コップは燃えない。紙は水で冷やされている限り、発火点には達せず燃えることはない。

原発の燃料と被覆管の関係と同じである。燃料は火、被覆管は紙コップ。

 

・核燃料を冷やす水がなくなると・・・

核分裂の連鎖反応は収束するが、放射性物質の崩壊熱があるため高温状態が続く。

運転中の燃料棒の中心部の温度1800℃。燃料棒の融解温度2800℃。

被覆菅・ジルコニウム合金1100℃で水と反応して水素を発生。

・原子力発電の原理 (手回し発電機を使うとわかりやすい)

  原発は蒸気機関:水蒸気でタービンを回し発電。蒸気機関だから熱効率が悪い。

運転中の原子炉内部:沸騰水型原子炉は約290℃約70気圧,

加圧水型原子炉は約310℃約160気圧

・熱は核分裂の連鎖反応

  減速剤かつ冷却剤の水と中性子があれば連鎖反応が生じる。


原子炉の中の水がなくなるとどのくらいに時間で炉心溶融が起こるのか?

米国スリーマイルアイランド島の原子力事故(1979年)の炉心溶融

原発事故の1989年の事故報告書による。

原子炉:PWR型原子炉 

2時20分空焚き状態。

炉心最高温度100分後500K150分後3000Kを超える。140分後に炉心溶融が始まり30分間で炉心の35%溶融。最終的には45%溶融。

 

 

原子力安全基盤機構作成の技術者向け炉心溶融のシミュレーションyoutubeで見れます)

 30分で炉心溶融

 1時間で炉心下部に堆積

 3時間で炉心貫通、格納容器のコンクリートに落下しガスが発生

 

・絶対漏らしてはいけない核燃料「5つの防護壁」は完全に破られた。

 「5つの防護壁」

1.焼き固めた燃料、ペレットという2800℃で溶ける

 2.被覆管、厚さ1mmジルコニウム合金製1100℃で水と反応して水素ガスを発生

 3.原子炉圧力容器、厚さ10数センチの鋼鉄

 4.原子炉格納容器、厚さ数センチ耐圧4気圧程度

 5.原子力建、分厚いコンクリート、放射能を防いだり爆発に耐えられないのは証明    済み。

 

 

・事故の経過

      冷却水喪失→圧力容器空焚き→燃料棒高温→
      被復菅と水蒸気は反応し水素ガス発生→
被覆菅溶ける→
      燃料が溶けて原子炉の底に堆積→格納容器耐圧を超える→
      ベント→
格納容器に水素が逆流し水素爆発→
      圧力容器底を溶かし原子炉格納容器に堆積→
制御不能→
      冷やし続けるしかない。でも水があると再臨界の可能性が残る