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下手な口淫だった。 躊躇いも見せずに口に含んだ割に、と少しがっかりした。 しかしその様子は懸命で、なんとか口の物を育てようと喰わえ込みぎこちなく舐めまわしていた。 胡散臭いが古式に乗っ取った一族お定まりの初夜の儀式とゆう事だ。 部屋の隅に立てられた衝立の陰には仲人が事の次第を見定める為控えている。 俺を包み込む手が口が一段熱くなる、足下に膝まづく青年の体から熱が沸き 幽かな芳香が立ち上って来るよう感じた。 不意に仲人が立ち上がり、寝台に掛かる天蓋の幕を引く。 「準備が整いましたようです。お床へお上がり下さいませ」 「契りは三度、必ず結ばれます様。それまでの間私しは奥で控えております。 私しの退出は契りを終えられた後に…」 「覗かれながらコレと睦めと。一層萎える気もするが」 「代々の仕来たりにございますのでご容赦を。 一族から花嫁を娶る旦那様方には皆長い夜が約束されております。どうぞ御心配なくごゆるりと」 仲人はそう静かに告げて引き下がった。 |
■結婚式当日、婚約者を失う男。 | ■姉の代わりに花嫁にされる青年 | ■青年の双子の兄弟(次期当主) |
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