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明かりを落した中華風の貴賓室。
今そこは婚儀を締めくくる初夜の為の閨。

一度その花嫁を試せと言う長老の強い言葉に意を唱える余地はなかった。 俺は初夜を過ごす閨で寝台の前に立ち身替わりの花嫁を待つ。 代役にされた女はまるで人身御供だと思いながら。

仲人に手を引かれ花嫁が来る。楚々とした物腰で俺の前に来て立ち止まる。 俺はこの閨に入る前に聞いていた初夜の作法の通り、花嫁が俺の前に立つと お仕着せの単衣の着物の前を開いて花嫁を懐に招く所作をした。 そこでふと花嫁が目を伏せた時、それが合図だったのか連れ添っていた仲人が 花嫁の着けていた衣装を全て肩から床へ落した。

__露にされたのはふくらみ無い平らかな姿態。

仲人が花嫁のベールをあげ頭飾りをとった。

俺に宛てがわれたのは男の花嫁。婚約者に良く似た面ざしの青年だった。

まさか先程交わした盃の相手が…驚いても今更で_

花嫁にされた青年は目を上げ俺と目を合す一瞬、瞳を揺らした。


青年は無言で前に進み俺が開いた着物の奥、生身の寸前まで近づいた。
体の横に垂らした手をゆっくりあげ俺の頤から胸へ撫で下ろす、 静かに顔を近付け胸に口付けを散らす。
少しづつ腰を落し口付けの場所を変えてゆく。
最後は膝を付いて下腹の茂みの先に辿り着き両手を添えて口を吸い付けた。



下手な口淫だった。

躊躇いも見せずに口に含んだ割に、と少しがっかりした。
しかしその様子は懸命で、なんとか口の物を育てようと喰わえ込みぎこちなく舐めまわしていた。
胡散臭いが古式に乗っ取った一族お定まりの初夜の儀式とゆう事だ。
部屋の隅に立てられた衝立の陰には仲人が事の次第を見定める為控えている。

俺を包み込む手が口が一段熱くなる、足下に膝まづく青年の体から熱が沸き 幽かな芳香が立ち上って来るよう感じた。
不意に仲人が立ち上がり、寝台に掛かる天蓋の幕を引く。

「準備が整いましたようです。お床へお上がり下さいませ」
「契りは三度、必ず結ばれます様。それまでの間私しは奥で控えております。 私しの退出は契りを終えられた後に…」

「覗かれながらコレと睦めと。一層萎える気もするが」

「代々の仕来たりにございますのでご容赦を。
 一族から花嫁を娶る旦那様方には皆長い夜が約束されております。どうぞ御心配なくごゆるりと」

仲人はそう静かに告げて引き下がった。


■結婚式当日、婚約者を失う男。■姉の代わりに花嫁にされる青年■青年の双子の兄弟(次期当主)