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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。
「定期購読について」
■小田急線騒音に956万円の賠償命令/基準は70デシベル以上
■米上院、統一PL法審議/中小企業対象に賠償額上限
■PL保険料最大3割値下げ/住友海上
■サリドマイド販売/米、FDA認可
■家電・台所用品などの抗菌表示に統一基準/通産、基本指針を策
定
■外食業でISO9001認証取得/ソデックスヘルスケア
■タケエイ、ISO9002の認証取得/産業廃棄物中間処理で
■有機食品に認証制度/農水省、2000年にも基準統一
■環境対策で企業を採点/通産が政策案、優良企業に減税措置
■ 進む電池のリサイクル/デンマーク95%の回収率、日本は?
■クッションが取り外せる封筒/ごみの分別に対応
7月のニュースから
■小田急線騒音に956万円の賠償命令/基準は70デシベル以上
小田急線の騒音を巡り東京都世田谷区の沿線住民ら224人が小田急電鉄に損害賠償を求めていた問題で、国の公害等調査委員会(川崎義徳委員長)は24日、同社に対し騒音レベルが70デシベル(dB)以上の住民ら34人を対象に1人あたり31万8,000円から14万4,000円、計約956万円を支払うよう命じる裁定を出しました。
裁定は1日の屋外騒音レベルの平均が70dB以上か、列車通過時の最も高い騒音の平均が85dB以上の住民34人を補償対象と認定、慰謝料は月額3,000円で賠償額を算出しました。
1991年、小田急線が世田谷区内の梅ヶ丘〜北見駅間(6.4キロ)で高架化計画を発表したため、沿線の住民ら325人が「騒音や振動の被害はすでに受忍限度を超えている」として92年5月、1人あたり50万円の賠償などを求め裁定を申請したものです。公調委は今年4月に68dB以上の47戸に防音工事費として30〜100万円を支払うなど調停案を示し、78人が受諾、3人が申請を取りやめています。残りの224人が裁定を求めていたものです。
鉄道の騒音については、新幹線で住宅地70dBの環境基準と、95年以降新たに建設される路線に昼間60dBの指針値が定められています。しかし既存の在来線には騒音基準がなく、運輸省によると騒音訴訟の判例もないようです。したがって今回の公調委の判断が初めてのものとなり、都市部における在来線の騒音問題の基準となりそうです。
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■米上院、統一PL法審議/中小企業対象に賠償額上限
PL訴訟の賠償額上限を設けることについては、1996年3月にPL制度改革法案が米議会で可決されたものの、クリントン大統領の拒否権の発動により成立しませんでした。あれからすでに2年以上経過した今年7月7日、米上院が連邦法としてPL新法案の審議を始めることを決めました。「米国のPL訴訟賠償額は行き過ぎ」、という声は多く、特に産業界などの批判が根強いことから今回の動きは注目されます。
法案は現在洲ごとにばらばらの法制度を連邦法として統一することと、賠償額の上限を中小企業に限って25万ドルにすること、そして消費者には挙証責任が求められています。消費者に要求される挙証責任は、「消費者が倍賞を受けるためには企業の責任を明確に立証する」というもので、不要な訴訟をさけるために盛り込まれました。
今回は「法案は消費者の利益を守り不要な訴訟をさける効果があるバランスのとれた内容だ」というマカリー大統領報道官の評価もあります。したがって特に反対論が出ていない下院も通過し、今回は大統領も法案を受け入れる意向のため、法案が成立する可能性は非常に高いようです。ただ、中小企業に限って上限を定めたことには大企業の反発が強く、上院共和党による早期の再見直しを求める動きがすでに出ています。
訴訟社会の行き過ぎに対する是正が今まで進んでこなかったことから、法案の成立は非常に意義のあることだと思います。あらゆる製品事故における損害賠償訴訟で、企業、消費者の利害を一致させ円満解決、というのは不可能であり、連邦法として統一することだけでも公平な社会に近づくと思います。統一PL法は1979年に最初の動きが出て以来、ようやく実現しそうです。
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■PL保険料最大3割値下げ/住友海上
住友海上火災保険は10日から品質管理や環境対策がISOなどの規格を満たしている企業に対し、賠償責任保険(PL保険)の保険料を最大3割引き下げることにしました。
保険料が優遇されるのは、品質管理の国際規格であるISO9000シリーズと環境管理規格のISO14001、それと食品会社などの衛生管理手法であるHACCPのいずれかを満たしている企業が対象となります。7月から保険料が自由化されたことを受け、損保業界の競争が激しくなっていることから、住友海上では業界初の顧客に応じて保険料を割り引く制度を導入したものです。現在、保険金支払限度額5億円のPL保険に加入している自動車部品メーカー(売上高50億円、製造労務費5億円)が全事業所でISO9000の認証を取得した場合、年間の保険料負担が従来の182万円から127万円と大幅に軽くなります。
住友海上では企業に対する環境汚染リスク診断や、ISO認証取得のノウハウを提供するサービスをすでに行っていることから、新たに中小企業などの契約獲得増を狙っているようです。まだISO9000シリーズの認証を取得していない中小企業も多くあり、PL対策も遅れ気味というのが現状でしょう。同じPL保険をかけるなら、ISO取得のメリット(企業努力は必要ですが…)と割引の保険料は魅力的かもしれません。
保険対象の企業により保険料を変えるのは保険リスクを考える面からも当然のことで、今までレベルの低い企業の保険リスクを優良企業が負担していたことにもなります。これからの中小企業は、品質においても大企業と同等の意識と実践が求められてくるのでしょう。このような企業を取り巻く環境の変化が、あらゆる企業の製品品質向上への取り組みを盛んにすることになり、消費者にとっても歓迎できます。
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■サリドマイド販売/米、FDA認可
サリドマイドは妊婦の服用で子供に奇形が生じたため、1962年以降世界中で販売が禁止されていますが、ハンセン病治療薬として米国で販売することを米、食品医薬品局(FDA)が認可しました。
認可を受けたのはニュージャージー州にあるセルジーン社で、同社はサリドマイドに腫瘍の形成を阻害する効果があることに着目し研究を進め、1996年にハンセン病の重い皮膚障害の治療薬として認可を申請していました。臨床試験で患者の7〜8割に効果が確認されたことから、FDAでは薬の危険性を考慮しても認可すべきだ、と判断したものです。しかしサリドマイドを処方できるのは登録医師だけに限定し、患者には避妊や定期的な妊娠検査を義務付けるなどの厳しい条件を付けた認可としたものです。
製品の有用性と安全性の問題ですが、サリドマイドの強力な作用は、エイズやがんの治療薬として試験が進むなど再評価されてきています。
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■家電・台所用品などの抗菌表示に統一基準/通産、基本指針を策定
通産省は家電製品や台所用品に使われる「抗菌」の表示内容やその定義に関する統一基準を定めることにしました。7月にメーカーや消費者団体の代表者で構成する懇談会を開き、年内にも基本指針を策定する方針です。対象となる商品は衣料品などの繊維、電話機や日用品などのプラスチック、そして台所や浴室といった住宅設備も含めるようです。
繊維製品の抗菌加工については繊維製品衛生加工協議会が自主基準を設けていますが、抗菌加工のプラスチック製品は家電、台所用品、文具、医療用品など広範囲に使われているものの「抗菌」の基準も規格もありません。したがってプラスチック製品の抗菌効果には疑わしいものが多いのが現状です。参考のため、国民生活センターで昨年テストされた結果(「たしかな目」131号掲載)を紹介しておきます。
国民生活センターが台所用品、風呂・洗面用品23銘柄を新品時の効果(24時間後)でテストしたところ、3割以上の8銘柄に抗菌効果がありませんでした。また、残り15銘柄を2ヶ月間使用した後のテストでは、ほとんど効果の無いものが5銘柄ありました。したがって23銘柄中13銘柄もの商品は、継続して使用する場合に効果が期待できないことになります。特に台所用品の「三角コーナー」は汚れ方が激しいために5銘柄全てに効果が認められませんでした。スポンジは5銘柄中4銘柄が合格でしたが、「ゼオミックネットクリーナー」という商品は新品時から効果がなかったものです。一体どうなっているのでしょう。
通産省の統一基準ができることで、これら虚偽表示とも思われる商品を市場から排除して欲しいものです。今まで業界の自主基準を作らなかった企業の態度は、消費者に不当な商品を提供することに何も感じない企業なのでしょう。つまり顧客満足に対する感度の低い企業・業界ともいえます。
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■外食業でISO9001認証取得/ソデックスヘルスケア
三菱商事と仏給食会社のソデクソが出資する病院給食会社、ソデックスヘルスケア(東京)は、品質保証の国際規格であるISO9001を取得しました。対象は京都で大原記念病院(約200床)や老人保健施設などを経営する医療法人行陵会の調理場です。
外食業界ではHACCPによる衛生管理の導入が盛んですが、自己基準によるHACCPよりも、第三者機関が審査・認定するISOがより安全性をアピールできるとして取得したものです。企業のポリシーが伝わってきます。
病院や老人保健施設などでは体の抵抗力が低下している人も多く、食事(商品)の品質は店頭で売られている弁当やレストランの食事などとは違い、厳格に検証されるべきものだと思います。最近は建設業界など多くの企業によるHACCP関連ビジネスが盛んですが、マネージメントで大事な主体者のポリシーが欠落していたらその安全性は危ういものになります。HACCPではそこまで要求しないので、やはりISOのマネージメントシステムを選んで欲しいものです。
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■タケエイ、ISO9002の認証取得/産業廃棄物中間処理で
タケエイ(横浜市)は産業廃棄物の中間処理に関し、川崎中間処理工場でISO9002の認証を取得しました。建設系の産業廃棄物中間処理業者のISO取得は、全国で始めてのこととされています。同社は不法投棄の多い「建設混合廃棄物」について、分選別方法を採用しリサイクル率を約40%にまで高めていますが、さらに「社会的信用」を得るためにISOの認証取得を目指していました。
「社会的信用」を得るためにISOの認証取得を目指す企業というのは歓迎できます。同様な目的でISOの認証取得を目指して欲しいところをざっと考えると、医療機関、通信事業者、バス・鉄道・航空会社、輸送関係企業、新聞・ラジオ・テレビなどメディア各社、スポーツ団体、中央省庁や地方自治体など、いくらでもありそうです。一向に進まない行政改革を遂行するのにバリアとなっている役所関係には、ぜひISOを取得して「国民のために働く役人」としての信頼を勝ち取って欲しいものです。
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■有機食品に認証制度/農水省、2000年にも基準統一
農水省は有機農産物とその加工食品について生産から流通までを検査し、一定の基準を満たす食品だけに「有機」表示を認める認証制度を導入することにしました。現在スーパーなどでは「有機」表示の食品が増えていますが、統一された生産基準はなく表示内容も曖昧なものとなっています。しかも生産者の表示が正しいかが検証されることもなく、消費者に正しい「有機」食品を提供するシステムにはなっていません。また最近では、より信頼度の高い「オーガニック」食品が現れ、我が国の「有機」食品の信頼度との差が顕著になっていました。遅ればせながら農水省が導入するシステムが機能することを願います。
ただ農水省が制度全体を運営し、実務は都道府県や公益法人、検査技術のある民間団体が担当することになっているため、適正な監視ができるのか少々疑問です。第三者機関による審査登録制度などのシステムの方が農水省の運営よりも信頼できるような気がします…。
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■環境対策で企業を採点/通産が政策案、優良企業に減税措置
通産省は、環境対策で企業を採点する「格付け制度」を柱とする包括的な環境政策案をまとめました。これは資源を再利用する「循環型経済」の実現を目標にし、リサイクルや省エネで実績を挙げた企業が経済的にも利益を受ける制度になります。具体策作りに当たっては産業界や消費者からも意見を募り、産業構造審議会で報告をまとめることにしています。
優良企業には優先的な減税措置や技術開発の助成策を盛り込み、企業間の競争原理を利用し資源の有効利用や温暖化ガスの削減を目指すものです。
これはいいことなのですが、消費者が企業あるいは製品を選ぶときに大事なことは、「環境に優しいもの」よりもまず「品質」や「安全」があると思います。環境に優しい商品でも粗悪品であれば、そのものを製造すること自体環境負荷になるのです。したがってこれらの品質要素(環境も含む)全体の中から、消費者が商品を選択できるような公正なガイダンスが必要だと思います。
環境問題は各国の合意もと、目標を掲げているため達成度によっては政治問題にもなりかねません。そのため行政レベルの熱心な後押し?があるのですが、広い意味の環境(品質や安全問題を含む)としてとらえて欲しいと思います。
そのためには品質や安全要素の企業・製品格付けが可能となるような、基盤整備を進める必要があります。たとえば警察・消防などの持っている事故情報の公開と、信頼のおける(第三者認証で登録される)公的・民間の試験・評価機関での公開テストやデータ公開などといったものです。
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■進む電池のリサイクル/デンマーク95%の回収率、日本は?
ハンブルクで開催された電池のリサイクルに関する国際会議で、各国代表が自国の使用済み電池のリサイクル現状と今後の計画を明らかにしました。
デンマークは欧州で最初に電池のリサイクルに踏み切った国で、ニッカド電池を対象に96年6月から回収を始め、1個当たり0.9ドル相当の回収負担金を価格に上乗せしました。回収業者には集めた資金からキロあたり17.6ドルが支給されています。
英国では9月からREBATと呼ばれる業界挙げての回収組織が活動を始めます。回収対象にはニッカドのほか、、ニッケル・金属ヒドライドとリチウム電池も含まれます。回収・輸送・処理コストは最終ユーザーの負担としています。99年に450トン、2000年に600トンの回収を目指しています。
米国ではリチャージャブル・バッテリー・リサイクリング社「RBRC」という会社が中心になって、使用済み電池の回収に取り組んでいます。ニッカド電池の回収率は現在40%、2005年までに90%以上を目標にしています。
ところで会議に参加した日本の代表によると、2000年に40%を目指しているとのことで、ずいぶん消極的な目標となっています。
実際我が国では電池を捨てる不法行為はそれほど多くなく、市町村や店頭での回収がそれを上回っていると思いますがどうでしょうか。リサイクルの難しい電池が多いため廃棄処分しているのであれば、単に技術的な問題だと思います。このような場合、目標を多少厳しくした方が企業努力を促すことになり、企業にとっても国際競争力が付くことになります。甘い目標よりも厳しい目標の方が結局は企業や国のためになるような気がします。
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■クッションが取り外せる封筒/ごみの分別に対応
もりや産業(大阪市)は、封筒のクッション部に使われているポリエチレン部分が取り外れる新タイプのクッション封筒「TAI
TAI ECO」を発売しました。
封筒を使用後、捨てる前に封筒内のクッション部分をつかんで引っ張ると、クッションだけが取り出せるようになっています。今まで無かったのが不思議なくらいですが、環境配慮の高まりの中で企業のものを見る視点が変わってきたのでしょう。いいことです。
ただ少し考えてみると郵便封筒、特にクッション材が入っているものや小包の梱包材など今 まで使い捨てにしていたことに疑問を感じます。もちろん再利用する人は結構いるとは思いますが、企業にあってはまず再利用しないでしょう。また、再利用をうたった郵便・宅配用梱包商品はないようです。
封筒もある種の梱包材ですが、通常はリサイクルされることもなく捨てられています。ダイレクトメールなど家庭・企業に送付される封筒の数は、おびただしい量になります。昨年「容器包装リサイクル法」が施行されましたが、びん、缶やペットボトル、紙パックなどに限られています。「容器包装」、その言葉の意味から、ものを包む全ての包装材を対象にした理念を構築し、第一段としてびんや缶などのリサイクルを考えても良かったようです。いろいろな知恵を出すためには、少々厳しくても抜本的な対処に基づく考えが必要だと思います。
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終わりに
6月に発生した北海道のイクラ製造業者によるO157事件は、単に衛生管理の問題ではなく企業の体質・モラルが根本原因であることが分かりました。細菌が検出されたために返品された商品を再出荷したことで起きた事件ということで、何となくすっきりしない結末でした。
食品関係では、製造日、生産場所の虚偽表示から偽ブランド米の横行などいろいろ事件があります。「分からなければいい」というモラル低下はこの業界だけではないように思います。
偽ブランドのハンドバックでも欲しい、という人も結構いるようなので、見た目で人を欺く行為は日本では普通なのでしょう。
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