1996.4 Vol.28  発行 1996年4月7日
発行人 中澤 滋 ASP研究所長野県松本市梓川梓3072-12 Tel. 0263-78-5002


[ ホームページ ] [ インターネットプラザ ] [ ASP ホームページ ] [ ASP news ]


栄養表示読みやすく/公衆衛生審厚相に答申 主要成分など明示
携帯電話 病院での使用制限/機器誤作動防止へ指針
賠償限度1億円に/生産物責任保険、来月から引き上げ
PL訴訟 賠償に上限/米上院可決 企業負担を軽減
コンビニでも切手買えます/郵政が省令改正
サイドエアバッグ、日産が装備へ
ハイブリッド方式 無害のエアバッグ/アウディが来年度モデルから切り替え
JR東海・西日本、新幹線のドア改良/服挟まっても抜けやすく
「エアバッグ原因 孫が死亡」と訴え/米、GMなど相手に遺族
自動減光バックミラーは危険/米眼科専門医が論文
米たばこ訴訟、リゲットが和解/毎年、利益の5%賠償
ガソリン貨物車とVTRに省エネ目標/通産省
サントリーがCM打ち切り/缶ビール新製品

3月の新聞記事より

■栄養表示読みやすく/公衆衛生審厚相に答申 主要成分など明示

 食品の栄養表示を分かりやすく変えます――。公衆衛生審議会(大谷藤朗会長)は4日、加工食品などの栄養分表示の基準に関する答申をまとめ、管直人厚相に提出した。消費者の関心の高まりに答える措置で、厚生省は必要な政令、省令や告示を4月に定め、5月下旬から新方式を導入。98年4月には新しい表示に全面的に切り替える。
 同省が新たに導入する栄養分表示の基準制度は、一般の消費者に販売する食品が対象。メーカーが特定の栄養分や熱量を表示したい場合、その含有量の表示だけでなく、主要成分や熱量も併せて表示することを義務付ける。
 また「高カルシウム」「低カロリー」などと、特定の成分を強調するには、省令や告示で細かく定める一定の基準に適していなければ表示できない。「ゼロ」「無」「カット」などの表現を使える栄養分は糖類や塩分など5成分に限定して、基準値を設けた。さらに、他の商品との比較で「ひかえめ」と表示する場合は、比べた商品と低減率などを明示させることにする。
 基準を守らない場合、厚相が順守を指示し、従わないとメーカー名や商品名を公表する。

 主要成分などの表示が義務付けられたのはいいことですが、記載内容が正しくなければなりません。市場に出回っている商品の中には、含まれていないはずの成分が検出されたり、逆に必要な成分が検出できないなど、測定環境の違いとは思えないケースがあります。

■携帯電話 病院での使用制限/機器誤作動防止へ指針

 郵政省と厚生省、関連業界などで組織する「不要電波問題対策協議会」(会長・五十嵐三津雄郵政省電気通信局長)は29日、携帯電話の電波によって医療機器が誤作動する恐れがあるとして、病院での使用を制限する暫定指針を策定した。集中治療室や手術室での使用を禁止するほか、病棟内では電話の電源を切るよう求めている。
 指針には法的な強制力はないが、協議会は病院や訪問者に指針を守るよう要請する。特に、心臓ペースメーカーへの影響を考慮し、電話機をペースメーカーから22センチ以上離すよう注意を促している。
 指針は実験データを検討した結果、携帯電話の電波によって医療機器が誤作動する恐れがあると指摘。その上で、集中治療室(ICU)や手術室、冠状動脈疾患監視病棟(CCU)などへの電話持ち込みを禁止すべきだとした。機器使用の可能性がある病棟内では電話の電源を切るほか、ロビーでは近くに機器がないかどうか十分注意を払うよう求めている。
 病院内に簡易型携帯電話(PHS)の基地局(アンテナ)が設置されている場合は、メーカー側に安全性を十分確認するよう要請している。

 国内の業界団体「ペースメーカー協議会」は心臓ペースメーカー誤作動防止のため、3月22日に携帯電話使用のガイドラインを発表しました。これによれば、携帯電話を15センチ以上離せば誤作動しないことが分かったものの、「安全を見込んで22センチ以上離すことが望ましい」としています。 また出力が強い肩掛け型の携帯電話と自動車電話については「アンテナから30センチ以上離れること」となっています。
 一方、携帯電話の電波が人体そのものに影響を与える問題では、「人体の電波防護のあり方に関する調査研究会」が28日、「携帯電話などの電波が人体に影響を及ぼすことはない」とする報告書をまとめました。

■賠償限度1億円に/生産物責任保険、来月から引き上げ

 安全基準を満たした「SGマーク」製品の欠陥による事故に備えてメーカーが加入している生産物賠償責任保険の支払限度額が、4月に現行の3000万円から1億円に引き上げられることが4日、明らかになった。
 PL法の施行をきっかけに欠陥商品に対する消費者の目が厳しくなっており、被害者救済を手厚くするのが狙い。
 生産物賠償責任保険は、消費生活用製品安全法による救済制度で、同法に基づいてSGマークの認定業務をしている製品安全協会(本部東京)が一括契約し、乳母車や金属バット、車いすなど「SGマーク」の対象108種類の製品のメーカー約800社が加入している。
 製品安全協会によると、1973年の制度発足以来、浴槽のプラスチック製のふたが折れて熱湯でやけどした人に1800万円を支払うなど、925件の賠償請求に対し426件、計1億8200万円余りの保険金が支払われた(95年3月末現在)。
 昨年6月にSGマークの対象となったゴルフクラブについては、メーカー側の要望で限度額を1億円にする特例措置を既にとっているが、今回対象を全製品に広げることで製品安全協会と損害保険20社が合意した。加入会社の保険料は据え置く。

■PL訴訟 賠償に上限/米上院可決 企業負担を軽減

 【ワシントン21日共同】米上院は21日、製造物責任(PL)訴訟での企業の賠償金負担などを軽減するためのPL制度改革法案を賛成59、反対40で可決した。下院は4月に採決する予定。
 クリントン大統領は消費者の利益に反するとして、議会を通過しても拒否権を発動する意向をいったん表明したが、産業界からの強い要求で民主党有力議員の間でも法案に賛成する動きが広がっていることから、法案が部分修正されれば受け入れる姿勢に転じている。
 法案はPL訴訟での賠償の上限を新たに設定し、慰謝料などで被害額を大きく上回る巨額の賠償金や和解金の支払いを裁判所から命じられるケースが多かった企業側の負担に歯止めをかける内容。
 法案は賠償の上限を原則として25万ドル(約2670万円)に設定している。しかし、被害額そのものが25万ドルを超えるような場合は、慰謝料なども含めた賠償の上限を実際の被害額の2倍にしている。

 PL制度改革に関する法案は過去、いくつか出てきましたが、もうそろそろ成立して欲しいものです。

■コンビニでも切手買えます/郵政が省令改正

 郵政省は、今月末からコンビニエンスストアや駅の売店でも切手や印紙の取り扱いができるようにする。切手の販売所は省令でポストから50メートル以内と定められているがこれを改正し事実上、コンビニやスーパー、キオスクなどが希望すればどこでも切手の販売ができるようになる。
 郵政省は、宅配便にくらべて劣勢に立つ夜間取り扱いの改善などの改善策を進めているが、シェア低下に歯止めがかからない。現在、大手コンビニチェーンのセブンイレブンとローソンに提携を申し入れている。しかし宅配便業者の拒否反応もあり、交渉は難航している。
 ヤマト運輸など大手宅配便業者と郵政省はこれまでも小包の取り扱いシェア争い、信書の取り扱いなどをめぐって激しい闘いを繰り広げている。94年度の取扱実績は「ゆうパック」の3億7759万個に対し、最大手のヤマトが5億900万個と大きく引き離している。
 また、取扱店舗もヤマト運輸はセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの大手コンビニを抑えており、全国で約8万拠点と郵便局の2万4000を3倍以上も上回っている。
 郵政省は「このままだとジリ貧になる」と危機感を強めており、切手と印紙の販売を交渉材料にコンビニや駅の売店などとゆうパックの取扱交渉を行う。

 切手を買うのに不便を感じたことのある人は、「ゆうパック」とは関係なくもっと早く省令を改正してもらいたかった、と思うでしょう。宅配便の信書の取り扱い問題にしても、郵政省の対応はまだまだ時代に即していないようです。

■サイドエアバッグ、日産が装備へ

 日産自動車は27日、側面衝突の衝撃を緩和するサイドエアバッグの装着を始めると発表した。まず今年6月に発売する高級セダンに標準装備し、98年秋までに全ての乗用車に標準装備もしくはオプションの形で採用する予定。トヨタ自動車も今夏からサイドエアバッグ装着の車を販売する計画を打ち出している。
 日産が新開発したサイドエアバッグは側面衝突の衝撃をセンターピラーに埋め込んだセンサーが検知、シートの側部に内蔵したエアバッグが膨らみ、運転席、助手席に座った乗員の胸部への衝撃を和らげる。
 衝突からエアバッグの展開までに要する時間は0.01〜0.02秒(時速50キロメートルで衝突した場合)と、前面衝突用エアバッグの半分程度に短縮した。

■ハイブリッド方式 無害のエアバッグ/アウディが来年度モデルから切り替え

 ドイツの自動車メーカー、アウディ社は新タイプのエアバッグの開発が進み、量産間近の段階にあることを明らかにした。毒性が問題となっているアジ化ナトリウムを使わず、希ガスのアルゴンを用いるハイブリッド方式のもので、97モデル年度から順次、新しいエアバッグに切り替える。(インゴルシュタット・VWD)

■JR東海・西日本、新幹線のドア改良/服挟まっても抜けやすく

 東海道新幹線三島駅で昨年12月、ドアに挟まれた高校生が引きずられて死亡した事故で、JR東海とJR西日本は22日、再発防止のため96年度中に新幹線のドアを改良すると発表した。
 対象は、事故を起こした車両と同じ0系車両で、JR東海が23編成368両、JR西日本が49編成450両。「こだま」や、「ひかり」の一部に使われており、4月から順次作業を始める。
 旧型の0系車両では、ドアが閉まると同時にドアを外側に強く押しつける装置が作動、服や体の一部が挟まると抜けなくなる。改良では、時速30キロまでこの装置が働かないようにする。
 一方、「ひかり」や「のぞみ」に多い100系や300系車両は、時速5キロに達しないとドアを押さえる装置が作動しない設計になっている。JR東日本の東北、上越新幹線の200系も同様で、各社とも「改良の予定はない」という。
 ただ93年には、山陽新幹線広島駅で100系車両のドアにコートのそでのベルトを挟まれた女性がホームから転落して軽傷を負い、東海道新幹線京都駅でも300系車両に女性が小指を挟まれ脱きゅうする事故があった。このためホームの緊急停止スイッチを大幅に増設、使いやすくするなどの対策もとるという。

 100系、300系車両では時速5キロでドアを押さえる装置が作動する設計であることから、今回の30キロで作動する改良は冗長度を高めたとする考えなのでしょう。
 0系車両設計当時の安全設計要素は現在とは違うと思いますが、100系、300系車両の設計時に危険を認識したのであれば、その時点で0系車両の改良を行うべきだったと思います。

■「エアバッグ原因 孫が死亡」と訴え/米、GMなど相手に遺族

 【ロサンゼルス7日共同】米ユタ州からの報道によると、昨年10月、ソルトレークシティーの駐車場で乗用車がコンクリートの花壇に接触、助手席にいた5才の男の子が死亡した事故をめぐり、祖父母ら遺族が6日までに「原因はエアバッグの急膨張によって首の骨が折れたため」とし、車を造った米ゼネラル・モーターズ(GM)社とバッグのメーカーに損害賠償などを求める訴えを起こした。
 訴えは、検視の結果、瞬間的に膨らんだバッグの強い圧力で少年の頭が不自然にねじ曲げられ骨折したことが分かったと主張。両社とも危険性を警告するのを怠った上、低速での作動防止機構など安全措置を講じていなかったとしている。
 エアバッグに関しては、このユタ州の事故を含む8件の死亡例を調べたアトランタの米疾病対策センターが昨年11月、乳幼児を装備車の助手席へ座らせると、飛び出してくるバッグの勢いで首や頭部を損傷する恐れがあると警告していた。

 この事件の事実関係は分かりませんが、エアバッグの危険性については最近、新聞でもいくつかの見解が示されています。企業・業界は消費者の知るべき権利を尊重して、「場合によってはエアバッグも凶器となる」などといった情報を提供する必要があります。

■自動減光バックミラーは危険/米眼科専門医が論文

 87年に自動車の自動減光バックミラーが初めて導入されて以来、夜間での運転が安全になったと考えられているが、その科学的根拠はなく、かえって運転に支障を来す――。これは米フェリス大学(州立)のミシガン眼科部長アラン・ルイス博士が、このほど開かれたデトロイトの自動車技術協会(SAE)国際会議・見本市に提出した論文で明らかにした。
 ルイス博士は「自動減光バックミラーを使うと、ライトがバックミラーに映る反射率を弱め、そのため認識時間が長くなり、急停止したり、衝突を避ける安全確認がそれだけ長くなる」と語った。(ジーランド・PRN=アジアネット共同)

■米たばこ訴訟、リゲットが和解/毎年、利益の5%賠償

 【ニューヨーク13日=米州総局】「ラーク」などのブランドを持つ米たばこメーカーのリゲット・グループは13日、たばこの健康被害に対する集団訴訟で、和解案に同意したと発表した。今後25年間にわたり、税引き前利益の5%、最大で5000万ドル(約53億円)を、毎年賠償金として支払う。
 資金は各地の禁煙事業などに使われる。米国ではたばこ各社が喫煙被害で訴訟を起こされているが、和解に応じるのは同社が初めてだ。

 いいことです。日本にも影響してくれるといいのですが…。 ところで最近、愛知県内の喫煙・禁煙派が一緒になり、JTを相手にたばこの製造、販売の禁止などを求める訴えを起こしました。

■ガソリン貨物車とVTRに省エネ目標/通産省

 通産省は、特定機器のエネルギー効率改善を義務付ける「省エネ法」の適用対象にVTRとガソリン貨物自動車の2品目を追加し、それぞれの省エネ目標を決定した。VTRは99年度までに消費電力量を平均10%削減、ガソリン貨物自動車は2003年度までに燃費を5%程度向上させるようメーカーに求める。
 通産省は6日付けで改正した政令を公布する。目標を達成した場合は、1年当たりVTRで約6万世帯分の電力使用量を、ガソリン貨物自動車で自動車エネルギー消費量の0.6%を節約できるようになるという。

■サントリーがCM打ち切り/缶ビール新製品

 サントリー(本社大阪市)は29日、新製品の缶ビール「大地と水の恵み」のCMに対して、「樹木にくぎを打ち込んだ場面を使うのは環境への配慮が足りない」と視聴者からのクレームが相次いだため、同日でテレビCMを打ち切ることを決めた。30日から別の内容に切り替える。
 サントリーは早い時期から「日本野鳥の会」の活動に協賛するなどして、自然・環境に対して積極的な対応をしてきた企業です。しかし、なぜこのような視聴者の反発を買うようなテレビCMを制作してしまったのでしょうか、その辺を考える必要がありそうです。

 宣伝・広告制作は、従来から外部に制作依頼することが多かったと思います。この場合、企業のポリシーが浸透していない制作会社を利用することになり、思わぬリスクが隠れているものです。したがって企業内における宣伝・広告などを含めた外部提供情報の管理が大事になってくるでしょう。
 もちろん社内広告部門の体質に問題があれば、その改善が優先されます。

終わりに

米たばこメーカーのリゲット・グループはよく和解案に同意したものです。このようなニュースを見ると、日本の企業の社会に対する理念というかスタンスが、どうも根本的なところで違っているように思われます。

Google
  Web ASP