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2003.7 No.115  発行 2003年7月11日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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公団マンション、大規模な手抜き工事/壁に鉄筋無し、3棟立て替え

料金所ゲートのバーに衝突、1日1.1件/ETC搭載車

医療事故相変わらず

高速道路運行中のバスで携帯メール/京福バス

自転車の交通事故増加中/携帯電話原因

全農の子会社が銘柄産地米を偽装/食糧庁、改善指示

交通事故抑止に「昼間点灯」効果/人身7.6%減、物損24%減



6月のニュースから

■公団マンション、大規模な手抜き工事/壁に鉄筋無し、3棟立て替え

 都市基盤整備公団(旧住宅・都市整備公団)が1989〜92年に分譲した東京都内のマンション団地で、壁に鉄筋が入っていないなど大規模な手抜き工事が発覚し、扇国土交通相は20日、「欠陥のある住宅を供給して公団の社会的信用を失墜させた」として同公団の伴総裁に文書で厳重注意しました。同公団は同日、施行業者3社を6カ月間、工事の監督業務受託業者1社を2カ月間、それぞれ指名停止とし、公団担当理事と東京支社長を厳重注意しました。

 同公団などによると、手抜き工事が見つかったのは東京都西部のニュータウンにある 46棟からなる分譲マンションだといいます。これらマンションの一部管理組合が 2000年3月に築10年の大規模修繕の事前調査を行ったところ、屋根や壁にコンクリートが十分詰まっていないなどの施行不良が発覚したものです。他の棟でも次々と欠陥が見つかり、現在32棟で補修工事中となっています。さらに22棟で調査を続けていることからさらに補修工事が増えそうです。中でも指名停止となった業者が請け負った 3棟は一部の壁に必要な鉄筋が入っていないなど問題は深刻で、事実上の立て替えとなっているようです。

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■料金所ゲートのバーに衝突、1日1.1件/ETC搭載車

 高速道路の出入り口で止まらずに通行料を決済できるETC搭載車が伸び悩んでいるようですが、そのETCがうまく作動せず、車が料金所ゲートの開閉バーに衝突するなどのトラブルが発生しています。日本道路公団が管理する道路では2001年11月〜2003年 3月の17カ月間に539件と、1日平均1.1件発生していたことが6日分かりました。同公団によると、けが人は出ていないようです。

 一方首都高速道路公団でも、開閉バーに接触して当事者が特定できたものだけを集計した結果、2002年〜2003年度の2年間で752件あったといいます。

 日本道路公団では、バーが開かずに寸前で停止したケースを含めたトラブルは、1万 2,100台発生、今年3月のETC利用者680万6,000台の0.18%を占めるとみています。原因ですが、大半はドライバーによるETCのセットミスとみられるものの、約1,700件はゲート側の感知電波が周囲の車に乱反射するなど設備面の問題だといいます。

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■医療事故相変わらず

 ◆東部地域病院

 東京都葛飾区の都保健医療公社「東部地域病院」で今年3月、重傷の腸閉塞で入院した5歳の男児が急死していたことが1日、分かりました。病院によると死亡した男児は 3月9日午前4時半頃、腹痛を訴えて同院で診察を受け、一度は帰宅したものの腹部の腫れが引かなかったことから3時間後に再度病院を訪れたといいます。

 診察した小児科医はエックス線撮影と点滴、浣腸をして午前11時ごろ入院させました。ところが日勤の医師には「腸閉塞の疑いの子がいる」と引き継いだだけで、エックス線写真やカルテを見せることなく口頭だけの引き継ぎでした。

 その後男児は容体が悪化、午後1時半ごろには口と鼻から液状のものを吐き、心肺停止状態となりました。この段階で日勤の医師は心臓マッサージをするなどしましたが、午後4時過ぎに死亡してしまいました。

 同病院では27日事故調査報告書を公表し、重傷の腸閉塞の診察経験がなかった当直医がエックス線写真の兆候を見落としたことを明らかにし、「誤診」と認め謝罪しました。鈴木院長は「魔が差したというか、悪い条件が重なった。小児科医不足は深刻だが、幅広い病気を診断できる医師の養成や引き継ぎの徹底など再発防止に努めたい」と語っていました。

福井市内の産婦人科医院

 福井県は7日、福井市内の産婦人科医院で働く40代女性が結核を発病したまま半年間勤務を続け、患者や同僚ら10人が結核に感染していたことを明らかにしました。女性は胸部エックス線診断を5年間受けておらず、同院も検診の状況を把握していなかったといいます。

 県によると女性は昨年11月から、咳などの症状があり今年5月別の病院で結核であることが判明しました。県では女性の勤務する医院など接触した患者ら3,433人を調査し、7日までに約180人を検診、うち乳幼児2人が感染したことが分かりました。また医院の職員5人、女性の家族3人も感染していたことが分かりました。

 健康診断は企業・団体内、あるいは個人では市町村で必ず行われることになっていますが、実際どの程度国民が診断を受けているかは分かりません。個人の場合、市町村で受けた診断は分かりますが、病院で検診した場合の総合的な国民の健康状態をフォローすることは誰も行っていません。個人の健康はこれでもいいかも知れませんが、しかし医療機関で働く職員の健康は他の患者への感染もあることから、厳格に対応する義務があります。

岐阜市民病院

 岐阜市民病院に脳出血で入院していた県内の50代の男性患者が、胸の内部に点滴液がたまり呼吸不全で24日に死亡していたことが分かりました。

 男性は14日の小脳血腫の除去手術後、栄養剤などの点滴用カテーテルを右鎖骨下の静脈に挿入されました。しかし23日に発熱があることから、カテーテルから菌が感染したとの疑いから、同日左鎖骨下へ新しいカテーテルが挿入されました。ところが翌 24日、男性の容体が急変、胸の中に溜まった点滴液が肺や心臓を圧迫し男性は呼吸不全で死亡してしまいました。

 事故後病院は、「レントゲンで左鎖骨下のカテーテルの位置が正しいことは2人の医師が確認した」といいます。

 病院側の発表は常に「自分達のミスは不可抗力だった」とするものですが、今回2人の医師が確認したことの客観的な事実についてはどうなのでしょう。カテーテル留置後直ちに行うエックス線写真で、カテーテル先端位置を確認すれば「点滴液が漏れることはまず無い」というのが一般的です。動けない患者で発生した事故のため、初歩的なエックス線写真の確認ミスか、あるいは確認などしていなかったことが考えられます。また点滴液が漏れても死亡するほどの量がたまるということは、経過観察が適切に行われていなかったことにもなり、同病院を疑いだしたらきりがないようです。

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高速道路運行中のバスで携帯メール/京福バス

 京福バスの福井市と小松空港を結ぶ小松空港連絡バス運転手(34)が、運転中に携帯電話で友人とメールのやりとりをしていたことが分かりました。中部運輸局福井運輸支局は同社に口頭で指導し、同社は25日、この運転手を解雇処分にしました。京福バスによると、運転手は18日午後2時55分発の小松空港発福井行き連絡バスを運転、一般道を過ぎて北陸自動車道を走行していた約30分の間に、携帯電話のメールを友人と4、5回やりとりしたといいます。

 運転中の携帯電話の使用は1999年に禁止されたものの、事故を起こさないかぎり罰則がないため野放し状態です。運転者本人の被害が増すシートベルト未着用では罰則が適用されるようになりましたが、他車に迷惑や事故を誘発する携帯電話使用の取り締まりがないのは、罰則がないということと産業界への遠慮そのものだと思います。シートベルト未着用は自己責任の問題でもあり、他車を巻き込む危険行為に罰則がない、というのは法律の落ち度でしょう。

 ところで三重交通の路線バスでも24日、運転手が携帯電話で通話していたことが分かりました。運転手は「乗客が一人もいないことから、かかってきた携帯電話にうっかり出てしまった」といいますが、通行人が見ていなければ分からなかったことです。人が見ていなければルールを守らない、という危険を最大限回避して予防するという意識はこの運転手にはなかったようです。

 緩やかな管理・罰則で皆がルールを守ればそれに越したことはありませんが、どうも最近の日本人はそうではないようです。メディアの発する「いい加減・てきとうで面白いのが一番」的な風潮、つまり自分の利益や楽しいことが最優先、という考えが市民権を確立してしまったことが問題かも知れません。

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自転車の交通事故増加中/携帯電話原因

 携帯電話をかけながらの自動車運転はまっすぐ走行しなかったりスムースに加速しなかったりと、後続の車の迷惑ですが、自転車に乗りながら携帯電話をする人も増えていて、前方不注意から人身事故を起こすこともあるようです。

 実際の事故を見ると、

携帯電話をかけながら自転車で坂道を下っていた男子高校生が、前方不注意から高齢者の女性をはね、女性が2週間入院、しかも脳に軽い損傷を負ったことから高校生側は800万円の賠償金を払うことになったケース、 携帯電話をかけながら歩道を走行していた女子高校生が対向してきた自転車の女性に衝突、軽傷を負わせ自転車修理代などあわせて5,000円程度を支払ったケース

 などがあります。

 自転車での携帯電話をかけながらの走行は、道交法上「安全運転の義務」に抵触するため、法律上は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が課せられますが、このような取り締まりは聞いたことがありません。もう少し歩行者に被害が出て社会問題にならないと取り締まりをしない警察、というのは“何か”に片寄っているとしか思えません。これが日本社会の現実でしょう。

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■全農の子会社が銘柄産地米を偽装/食糧庁、改善指示

 食糧庁は11日、全国農業共同組合連合会(全農)の子会社、全農パールライス東日本が「コシヒカリ」や「あきたこまち」といった銘柄米の産地や中身の表示を偽って販売していたとして、JAS法に基づき同社に改善を指示しました。

 同庁によると、同社の群馬支店が今年2月までの約半年間に販売した「こしひかりブレンド」は、コシヒカリを表示の70%より少ない60%しか使っていなかったといいます。また、埼玉支店は「無洗米あきたこまち」の精米袋に「産地指定米秋田県JAこまち」などと表示していましたが、別の農協から購入した玄米を混入したものです。

 全農の不正問題ですが、全農チキンで全国にその不祥事が知れ渡った後、今年1月に八女茶の産地偽装表示が発覚したため、農水省から業務改善命令を受けてグループ内の品質表示を総点検していた時期でもあります。そのためこの4月にはタマネギの産地を偽って出荷したことも分かり、農水省から改善指示を受けています。グループ内の不祥事が次々と明らかになる中、それでも平気で偽装を続ける同社の感覚が信じられませんが、現場の管理者が納入先の数量に応えるためにやむなくやった、というようなものではなく「わからなければ何でもあり」という儲け最優先の体質でしかないようです。このように不正を不正と感じない企業はまだまだ多いのでしょう。

 そういえばグレープフルーツなどの柑橘類では鮮度が分かりやすいへたを内側にしてパックするなど、食品の包装は鮮度や内容量を隠したりごまかすことがよく行われています。このような商品情報を隠す行為こそ法律で禁止すべきであり、そのような取り組みを地道に行わないかぎり彼らの根性は直らないのでしょう。

 諸外国の山と積まれた野菜やフルーツを単品で購入する販売形態は日本でも消費者に受け入れられるものだと思います。しかし関係者は「流通の効率化や消費者が求める」という自らが作った名目で、「きれいに見せること」を悪用しているようです。また農家や農協などの“ずるさ”がその利害と一致しているのも見逃せません。

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■交通事故抑止に「昼間点灯」効果/人身7.6%減、物損24%減

 日中のヘッドライト点灯は交通事故防止に効果があるといわれ、北欧諸国などのように昼間点灯が義務づけられている国もあります。長野県警では昼間点灯の効果を調べるため、今春までの1年間自動車の昼間点灯に関する検証実験に取り組んできました。その結果、人身事故が前年同期比マイナス7.6%となり、県内全体の増減率(マイナス0.6%)を大きく上回る結果となり、県警では今後他県に先駆けて一般ドライバーにも昼間点灯の実施を呼び掛けていく、としています。

 実験は県内の旅客・運送業者ら269事業者に協力を求め、昨年3月から2月末にかけて業務用自動車計1万513台の事故件数や、車輌維持コストの増減などについて調べました。

 その結果、人身事故は計133件で前年比で11件減少、うち昼間の人身事故は93件で前年比マイナス8.8%となりました。物損事故は517件で前年より163件減り、増減率で前年比マイナス24.0%でした。中でも「横からの視認性が増した」ことから、交差点での出合い頭の事故が大幅に減ることも分かりました。

 気になる車輌維持コストですが、燃料代で0.5%、バッテリー代で4.5%の増加が見られたものの、修理代が25.8%減るなど削減効果も期待できることが分かりました。確かに単調な運転中にライトを点灯した車を見ると「前方から車がくる」と言う強いメッセージが伝わってくるものです。また見通しの悪い交差点に設置されているカーブミラーにも、ハッキリ車の存在が分かるのでドライバーにとっては助かります。県警では当面急務とされている高齢ドライバーの事故防止対策として昼間点灯の推進を盛り込むほか、運転初心者にも啓発を図っていく考えです。

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終わりに

 厚生労働省は3日、キンメダイとメカジキに含まれる水銀が胎児に影響をおよぼす恐れがあるとして、妊娠中か妊娠の可能性のある女性が食べるのは週2回以下にするよう注意喚起しました。このおかげでスーパーなどでは「多く食べなければ心配ありません」との表示をするところもあり、一気に消費者が敬遠することになりました。

 水銀は自然界に存在する無機水銀が微生物によって有害なメチル水銀に変化、食物連鎖で大型魚や深海魚に蓄積するものです。インドマグロやクロマグロ、メバチマグロではキンメダイやメカジキよりも水銀濃度は高かったものの、摂取量が少ないため注意喚起から外れたといいます。それでもマグロを大量に食べる機会は、キンメダイよりも多いこともあり、人によっては十分な注意が必要です。

 またメディアの報道に極端な行動形態をとる人々は、潜在的なパニック予備軍かもしれません。

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