思慮のない 流れ
  いまだ暮れぬ 谷あい
  合わぬ間の 涙流
  加えられぬ 酒
  古小舎に 忘れられたる
  ブランデー
  冷めやらぬ 思いを
  流煙に注ぎ
  深酒に うずもれん


           想い

    霞立つ 山すそに 我立ちて問ふ
   二十歳の春は  いかばかりかと
   さりとて 答えなし
   無類の宴に 興じけり
   我 去年に咲きし
   山吹の 未練にも似て
   涙舞せし 春雨の 姿ばかりを
   なほ 追ひけむ


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