波 立 ち

待ちて 三度 砂に 見入りしも
白泡の煙 はるかなり
裸足の心 満たされぬまま
迷いすすみて
貝殻の 散在するを
苦おしく ながむ

砂積にすわりて
たわむれに 
心まどわす波音の ゆくえ知らんと
瞳をやれば
紺青の 波立ちの中に 消えり

 

     夜 明 け

 小舟 遠く浮く
 黄青色の ゆらぎの中に
 釣り人のたわむれ
 朝の薄霧は
 真紅色の光を よびさます


「詩集」トップへ