令和2年(2020年)カレンダー   1~6月


 1月  我が園に梅の花散る ひさかたの天より雪の流れ来るかも (巻5 大伴旅人) 
      
(わがそのにうめのはなちるひさかたのあめよりゆきのながれくるかも)
      
この我らの園に梅の花が散っている。遠い遥かな天空から雪が流れてくるのであろうか。実に神々しく美しい。
         「令和の由来」   
<梅花の歌 三十二首併せて序>
          時に、初春の
月にして 気淑く風ぐ。
          梅は鏡前の粉を披(ひら)き 蘭は珮(はい)後の香を薫らす。
           天平二年(730年)正月十三日、太宰帥(そち)大伴旅人の邸宅に集まって宴会を開く。
           折しも初春正月の月(佳き月)で、気は清く澄みわたり風は(な)いで穏やかである。
           梅は鏡台の前の白粉のように白く咲き、蘭は貴人の腰につける飾り袋のように香っている。

     令和の由来「梅花と大和三山」

  2月  世間は數なきものか 春花の散りのまがひに死ぬべき思へば  (巻17  大伴家持) 
       (よのなかはかずなきものか はるはなのちりのまがひにしぬべきおもへば 
        この世に生きている人間というものは、何とはかなく取るに足らぬことであるか。
        春の花の散り交うのに紛れて、死んでしまうのかと思うと。
  
  3月   春の園紅にほふ桃の花下照る道に出て立つ娘子  (巻19 大伴家持)
        (はるのそのくれなゐにほふもものはなしたてるみちにいでたつをとめ)
        春の園、この園一面に赤く照り輝く桃の花、その花が木の下まで照り映えている道につと出で立つ娘子よ。        
  
  4月   もののふの八十娘子らが汲み乱ふ寺井の上の堅香子の花  (巻19 大伴家持)
        (もののふのやそをとめらがくみまがふてらゐのうえのかたかごのはな)
        たくさんの娘子たちが、入り乱れて水を汲む寺の井戸、その寺井のほとりに群がり咲くカタクリの花よ。
  
  5月   朝床に聞けば遥けし射水川 朝漕ぎしつつ唱ふ舟人  (巻19 大伴家持)
        (あさとこにきけばはるけしいみづかは あさこぎしつつうたふふなびと)
        目を覚まし、朝床の中でうつらうつらしていると、遠く遥かに聞こえてくる。
        射水川を朝漕ぎして遡りながら唱っているいる舟人の声が。
 
  6月   我妹子と二人我が見し打ち寄する駿河の嶺らは恋しくめあるか (巻20 春日部市麻呂)
        (わぎもことふたりわがみしうちよするするがのねらはくふしくめあるか)   <防人の歌>
        かわいいあの子と二人で眺めた、波打ち寄せる駿河。あの駿河の国のお山(富士山)は
        ほんとに恋しいなあ。(作者は静岡県から筑紫に防人として派遣された)
       
        平城京跡  天平祭


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