詠 進 歌

 
 入選までは程遠いのを実感しております。詠進歌の「選者」でもあり細胞生物学者で歌人の「永田 和弘」さんは
「何かを「美しい」と感じたとき、どう表現するのか。世間に流通する言葉の”ほこり”を払いながら、自分だけの言葉
を探さなければなりません。」と語られていましたが、私の歌は、気づくとつい「予定調和」を目指してしまっています。
それを「美しい」と思う心を捨てきれない弱点を持っています。

平成13年
「時」 煩悩の化身のごとく生きし我 幸を教えし「時といふ師」よ
平成15年
「町」 旅に出で見知らぬ町を巡るごと 探し出したき未見の我あり

平成28年
「人」 すれ違ふ人それぞれが故郷を心に秘めて今をし生きる
平成29年
「野」 野を歩き山に登りて花と遇う 岩陰なれど花笑みてをり

令和3年
「実」 ひたむきに 散ること知らず咲きし花 今、実となりて恵みもたらす

 ※歌会始(歌御会始)は皇室の伝統行事で、一般の人から公募(詠進)を始めたのは明治7年ですが、戦後では
  昭和23年から。
(参考にさせていただくため、すべて印刷して手元にあります)
  福島県からの初「入選」は昭和33年で、令和3年までの入選は延べ17名。「佳作」の制度は昭和37年からで
  福島県からは、延べ36名です。
   そのうち「大方一義」さんが入選1、佳作1
 「今野金哉」さんが 入選2、佳作1です。  

 <参考>
 大方 一義
  夜来の雨止みし朝の篁(たかむら)に雫したたる音限りなし  (昭和49年、佳作)
  検診を受けし老いらがうちつれて西日黄に照る坂帰りゆく   (昭和50年、入選)
 今野 金哉
  長梅雨に糖度上がらぬ桃の実の出荷あきらめて晴るる日を待つ (平成2年、入選)
  わづかづつ感度落ちくる無線機を待ちて救難の森に入りゆく  (平成3年、入選)
  母の日も母の姿は常のごと茄子畑の草這ふやうに引く     (平成9年、佳作)
 

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