NHK短歌 投稿歌、「佳作」は数個。
みちのく
陸奥を旅すればなほ寂しさのげにいやまさる紐解かぬ旅
「紐解かぬ旅」は万葉集時代の言葉で夫婦一緒の旅ではなく一人旅という意味。
逆に腰紐を解いて訪れを待つ歌も万葉集には多い。
ふるさと
すれ違ふ人それぞれが故郷を心に秘めて今をし生きる
※「詠進歌」ですが、自分の「代表歌」のひとつという思いで載せます。
生きてればいつかは治ると伝えたい心の傷も身体の傷も
※東日本大震災を詠んだもの
時を越え絆は続く胸の中 涙流したあの日のままに
ゆぎ わが えいず
雪に泣ぎ人情に泣ぎ別れにまだ泣ぐ これが会津の三泣ぎだなし
もと すゑ しあわ
本を捨て末を求めて手に入れし小さな幸せ妻と分け合ふ
※「本末転倒」の「本」と「末」
命には限りがあると知りし時 喜怒哀楽を春秋となす
「君が代」は短歌であると教えらる「の」の一文字がやけに気になる
※「五七五七七」ではなく「五七六七七」
啓示やは 見知らぬ町の貼り紙は「自分探険 未来発見」
森深き山の向こうに村がある のどかな暮らしそこにはあるか
※「山頭火」ふうに詠んだ歌のひとつ
ハスキーなおふくろさんと懐かしき裏山巡り七草を摘む
※ハギ・ススキ・キキョウ・ナデシコ・オミナエシ・フジバカマ・クズの語呂合わせで
「秋の七草」です。「ろ」はありません。 (カブ) (ダイコン)
「春の七草」は、セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ
モンシロチョウ異次元からの迷い人 何を探してこの星に来た
※この歌のみ「福島民報」掲載歌です
「文脈の正しき人」と褒められて天狗の我を諌めし友よ(今はなし)
かつてこういう表現でほめてくれた人がおりました
薩長の砲撃にさえゆるぎなく凛と聳えし城の石垣よ
ハサミには「支点力点作用点」自慢げに切る厚手の布地
いのち さだめ
生命あるものの運命か 我もまた記憶の中の人となるらむ
※「らむ」は現在推量ではありません。
なじょすっぺ結婚でぎねやづばっが人口減少どうにもなんね
こら
振り返り笑い堪えて「バッグシャン ロガリロロロながながいねな」
※「後ろ姿」が美人 ※「別品」
食卓は「全員参加が原則よ!」ドラマ好きの妻が熱弁す
春告げに渡り来たるらしウグイスの試すがごときその初音聞く
こ
福島にハワイを造る夢のため涙ながらに我が娘踊り子に
不器用な「三角乗り」の不始末が額に残る吾のトレードマーク
※大人用の自転車に子供が乗る時の乗り方
攻めてくる宇宙人には秘密だよ砂から鉄が造れることは
※「たたら製鉄」
「家宝」とか「鑑定団」とかよぎるけど6ケタ程度それでも自慢
紙を手に思考はめぐる「なかりせば、レゾンデートル、語源パピルス」