キャンバスに交響(多種)水彩 F30号
中学時代以来そして高専を中退してからも頻繁に、
武蔵野美大(むさび)前の東美画材に買いに行っていた。
時は流れ秩父に移転し、吉祥寺ギャラリーで個展開催が決まった時
当時中野に店を構えていた店主に再開したら、なんと私を覚えていた。
数多い客の中で、目がぎらぎらしていたそうだ・・象の目なのに(苦笑)。
お前ら親の金で絵を描きやがってみたいな・・突っ張っていたからなあ(汗)。
アンチ美大で親も貧乏で、とにかくひたすら独自に描いていた自分を
彼は思い出すように語ってくれたのが、田中一村という画家のことだった。
言葉表現はそのままではないが、こういうことだったと記憶している。
絵を描くことは、後ろ盾や公募展の組織や、そんなことではない。
絵具だって、この会社のヴィリジアンは違うとかじゃない・・三原色があれば
どんな色だって出せるはずだ。
描かないといられないという情熱こそが、描くということで、それは習えない。
そごうで、一村の生の絵を見て、目頭が熱くなった。
いつか彼が描いてもがいて暮らした家を訪ねに行こうと決めた。
3年前それは実現し、彼が描いたツマベニチョウが出迎えてくれた。
スピリットが巻き付いて、その夜はなんだか眠れなかった。
そこで得た様々なインスピレーションと感じた流れを
いちまいの絵にできた。
言われている気がするのだ・・あんた、まだまだだねえ。
もっともっと描かないとね と。