いちまいの絵



2012年10月

201210
『蝉の白日夢(狂った夏)』

紙に水彩、アクリルなど
335×245mm(額無しの大きさ)

つい最近まで、蝉が朝から鳴いていた。
もう10月だというのに・・信じられない。

蝉は通説では、七年間土の中にいて
七日間だけの生涯を、子孫繁栄のために鳴き続ける。
ゆえに八日目の蝉と言う小説もあるが
今年の夏は、去年より暑く長い。
だから、蝉はサービス残業よろしく鳴き続けて
秋がステージに上がるのを許さなかった。

でも、鈴虫やコオロギが鳴き始め、
入道雲と共に すじ雲も乱舞する始末。
しかも、原発事故の復興どころか安堵できる根拠のない、
漠然と積み重なる不安の入道雲は、
より大きく もくもくと立ち昇っていく。
気温の変化、風の変化、朦朧とした不安定な季節の中で

蝉は、白日夢(デイ・ドリーム)を見た。

前から見てみたかったんだ
秋の色や木の葉、そして雪が舞う光景を。
でも風情がないな
なんかアンバランスだ。
自分は今、夢を見ているんだろうか?
それならもっと希望の在る夢を見るよな。
自分が7日を過ぎても眠れないデジャブだから、
そのままの印象を見ているんだ。

確かに今年の夏は、狂っている。
もみじ や かえでの形状を取り入れようかとも
思ったが、全体が複雑すぎるので止めた。