今年の春は寒くて、桜が遅く
蕗の薹も筑紫もハナミズキも同席して、
季節をゆっくり彩るはずの生物、植物が
躊躇しているかのような感がある。
本来なら、セピア色から黄土色(多量の花粉飛散)となって
ようやく少しずつ山々の色が新緑に近づく。
ほんの一週間ほど見せてくれる、新緑の手前の顔・・
それが、私が呼ぶ 『レタス色』だ。
秩父の冬の時期に移住した私は
木枯らしと曇天の中、苦痛を感じながら山を見つめ
その色合いの暗さに意気消沈したこともあった。
そんな私を驚かせ、精神を高揚させてくれたのが
この レタス色の山たちの姿だった。
新緑の時期の手前の わずかな時期・・
なんと瑞々しく美しいのだろう。
ありがとう と山に感謝した。
このモチーフは、何度も描いてきたが
繊細な色合いと私が受けた印象の色を
絵の具で出すことが難しく
なかなか・・だったが
この一枚は、その中の印象に近いものだ。
多くの方に見ていただけて、良かったです。