いちまいの絵



2008年7月
200807
『陽の当たる場所』

紙に交響水彩 八つ切りサイズ

ようやく、この猫を描く気持ちになりました。
ようやく、この猫も、こうした表情と『あんしん』を
私たちに表すようになりました。

以前の飼い猫だったミーが 18年の生き様を閉じてから
2年が経とうとしています。
当時は、陽の当たらぬ冷たい土に眠るあいつの記念の墓の横で
今夜は共に寝てやろうかなどと思うほどで
もう生き物を飼うつもりには全くなりませんでした。

しかし、これも『巡り合わせ』と言うべきか
数ヶ月後、私がよく足を運ぶ山の上の工業団地の敷地内に、
ダンボールごとアメ・ショーの猫2匹が投げ込まれていました。
とても寒い2月の気温に1匹は耐えられず、凍死していました。
箱から出て隠れていた猫は、なぜか私目掛けて一身に寄って来ました。
私だけがそこにいたのでないのにです。
何度、安全な所に移しても、また何故わかるのか私の所へ。
病気ではここらで生きていけないだろうから
とりあえず医者に診せようと連れ帰ったのが、彼女との出会いでした。
でも大変気が重く、パートナーにもどう言おうか迷ったほどです。

家の近くで見たフクロウに顔が似ていること
あんた誰?何で俺のところに来たの?
これらの意味でフーと名付けて、仕方なく飼うようになって
1年以上・・でも描く気にはなりませんでした。
ある時、以前の猫では決してしないおどけた仕草をして
フーは、私たちを大笑いさせました。
以前の猫の2番目でも代用でもない、ここにしかいない個性ある命・・
愛おしいと思った表情を見て、こいつの表情も変わり
心がこうして注ぎだされて、フーだけの絵が出来ました。