ようやく、この猫を描く気持ちになりました。
ようやく、この猫も、こうした表情と『あんしん』を
私たちに表すようになりました。
以前の飼い猫だったミーが 18年の生き様を閉じてから
2年が経とうとしています。
当時は、陽の当たらぬ冷たい土に眠るあいつの記念の墓の横で
今夜は共に寝てやろうかなどと思うほどで
もう生き物を飼うつもりには全くなりませんでした。
しかし、これも『巡り合わせ』と言うべきか
数ヶ月後、私がよく足を運ぶ山の上の工業団地の敷地内に、
ダンボールごとアメ・ショーの猫2匹が投げ込まれていました。
とても寒い2月の気温に1匹は耐えられず、凍死していました。
箱から出て隠れていた猫は、なぜか私目掛けて一身に寄って来ました。
私だけがそこにいたのでないのにです。
何度、安全な所に移しても、また何故わかるのか私の所へ。
病気ではここらで生きていけないだろうから
とりあえず医者に診せようと連れ帰ったのが、彼女との出会いでした。
でも大変気が重く、パートナーにもどう言おうか迷ったほどです。
家の近くで見たフクロウに顔が似ていること
あんた誰?何で俺のところに来たの?
これらの意味でフーと名付けて、仕方なく飼うようになって
1年以上・・でも描く気にはなりませんでした。
ある時、以前の猫では決してしないおどけた仕草をして
フーは、私たちを大笑いさせました。
以前の猫の2番目でも代用でもない、ここにしかいない個性ある命・・
愛おしいと思った表情を見て、こいつの表情も変わり
心がこうして注ぎだされて、フーだけの絵が出来ました。