古き良きベトナムの味わいを残す ベトナム篇2 ホイアン - Hoi An 写真・文 大木信哉
この街は、中心部に「日本橋」と名付けられた橋があるほどで、実は日本人にとって古くから馴染み深い場所なのである。 17世紀前半に日本から朱印船がやってきて、多くの日本人がこの地でさまざまな商売を営んでいたためだ。もともとホイアンは、あの大航海時代に商業港として栄え、ヨーロッパはもちろん世界各地から貿易船がやってきたことで知られている。 その名残は今もあって、通称日本橋こと「来遠橋」も、そのひとつ。瓦屋根のついた独特の外観は、一見して橋とは気付かない。かつては日本人街と中国人街を結んでいたそうだが、いまは橋以外にかつての日本人が住んでいた面影を残すものはほとんどない。 来遠橋があるチャンフー通りはカフェやみやげものの店が連なる場所だが、18世紀から19世紀に建てられた古い家がある町並みが印象深い。国の重要文化財になっている建物も多く、最近では国際的な援助による町並み保存が進められ、世界遺産にも登録申請中だ。 来遠橋のすぐ近くにある「ヴィンフン・ホテル」も150年も前に建てられた中国建築で、入ってすぐのロビーはいかにも歴史を感じさせる重厚で落ち着いたもの。あちこちにあしらわれた中国のアンティークが、とてもよくマッチしている。
ここに宿泊した客が、みな口をそろえるのはこのホテルの従業員の人柄のよさ。それはホイアンの町全体にもいえることで、近頃、スレた感じの観光地が多くなりつつあるベトナムの中で、数少ないホッとできる土地でもある。古い町で貧富の差もそれほどないためだろう。 ホイアンには20ほどのホテルがあるが、大きなホテルとしては国営の「ホイアン・ホテル」だけ。ここはいかにも国営らしいシンプルなたたずまいで、料金も安い。 さて、ホイアンで「ヴィンフン・ホテル」に泊まったら、ビーチやミーソン遺跡を訪ねるのもいいが、まずは街をたっぷり楽しみたいもの。ホテルのすぐ近くを流れるトゥポン川には1米ドルで乗れる小舟があり、ゆったりとした流れに映し出されたホイアンの町並みが旅情をそそる。 レロイ通りに面したカフェふうのレストラン「BOBO CAFE」には、のんびりとお茶を飲みながら日記を書いたり、食事をしている外国人が多い。それだけに西洋風のメニューあり、ベトナム料理あり、バラエティーいっぱいの味を楽しめる。それなりに味をアレンジしてあるので、日本人にもおいしく食べやすい。うどんに胡麻せんべいを混ぜたようなカウ・ラウは、日本の伊勢うどんのルーツになったともいうホイアンの名物で、いちどは味わってみるべきだろう。 飲みながらゆっくりと過ごしたければ、ちょっとデビッド・ボウイに似たフランス人がいる「TAM TAM CAFE」がおすすめ。「ヴィンフン・ホテル」のすぐ裏にあり、古い家屋を改造したシックでセンスのいい店だ。ビールが100〜200円という値段で、ビリヤードも楽しめる。 そんなホイアンの街をまわるのにはレンタルバイクが便利だ。料金は1日5ドルで、街のいたるところでガソリンを売っているのでガス欠になっても立ち往生することも、まずない。 ホイアンの中心部から40キロほど南西に向かったミーソンには、4〜13世紀に栄え、ベトナム最古といわれるチャンパ王国の遺跡がある。荒涼とした山間部に点在する大規模な遺跡で、まわりの静寂さと風景のせいか、神秘的な雰囲気が身を包む。
この五行山のすぐ近くで、ダナンの少し手前にあるのが通称チャイナ・ビーチと呼ばれているノンヌォック・ビーチ。長く白い砂浜がつづくビーチは、このところ外国人客も増えているが、竹で編んだお椀船もたくさんあったりして、いにしえのベトナムを彷佛とさせる。現在は国営の「ノンヌォック・シーサイド・リゾート」があるくらいだが、数年後には大規模リゾートとして開発されることになっているから、行くならいまのうちが旬かもしれない。 注意: この記事は1997年に取材したもので、現在とは状況が異なります。 |
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Last update: March 28, 2002
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