先に頂上に着いた正男は来る途中に見つけたロープを下ろした。
続けてブライト、フレア、ムーンも上がってくる。
正男
「・・・ほら浩二、これに掴まれ」
浩二
「あっ、ありがとう。もうだめかと思った・・・」
浩二がロープをつかむと残り全員で引き上げた。
ブライト
「ふぅ、なんとか頂上に着いたな・・・」
ブライトはあたりを見渡して言う。
フレア
「それにしてもなんだここは。何もないのにずいぶん広いな」
ブライト
「確かに・・・これだけ何もない平地だと妙だな」
ブライトとフレアは頂上が何もない平地であることに少し疑問を覚えた。しかし、
ムーン
「こんな塔があったんですか・・・。上まではまぶしくて見えませんけど」
浩二
「すごい高いね。どれくらいなんだろ?」
正男
「おっ、あそこに入口があるぞ」
正男、浩二、ムーンは全く違う反応を示した。
フレア
「えーと、塔だっけ?やっぱり何も見えないんだが・・・」
ブライト
「俺もだ。・・・本当にそこにあるのか?」
その反応に正男も首をひねり、
正男
「・・・こんな近くでも見えねぇのか?どうなってんだ・・・」
全員で首をひねった。しばらく考え込む。
そこでブライトが言った。
ブライト
「今回の件に関係あるのかもしれないと思ってここまで登ってきたんだ。その塔の中で何かわかるかもしれない。」
フレア
「・・・そうだな。浩二、入口は見えるんだろ?」
浩二
「うん、正面に穴があいてるよ」
ブライトはうなずいた。
ブライト
「少々無謀だが・・・正男たちが先に入ってくれ。俺たちはすぐ後をついていく。」
正男
「わかった。じゃあ・・・入るぞ」
正男は塔を見上げてから中に足を踏み入れた。
浩二、ムーンもそれに続く。しかし、
ブライト
「えっ!?」
フレア
「おっ!?」
ブライトとフレアは驚く。
ムーン
「?どうしたんですか、2人とも?」
最後に入ったムーンが振り返って聞いた。外の2人はそれには答えず、
フレア
「おい、正男たちどこ行った?」
ブライト
「わからない、急に消えたぞ・・・?」
ブライトとフレアはあたりを見渡していた。
浩二
「消えたって・・・僕たちまだ入ってすぐなんだけど?」
浩二も不思議がる。
フレア
「おーい、正男、浩二、ムーン!大丈夫か!?」
フレアは浩二たちが目の前にいることに気がつかず呼びかける。
正男
「おい、何やってんだ?早く来ないとついてこれねぇぞ!?」
正男が返事をする。しかし、
ブライト
「おい!聞こえるなら返事をしてくれ!」
聞こえていないのか、ブライトも呼びかけてきた。
正男
「・・・ホントどうなってんだ?」
ムーン
「・・・一旦外に出て見ます?」
ムーンの提案で正男たちはいったん外に出た。
すると外の2人は正男たちに気づき、
フレア
「うおっ!急に出てきた!?」
ブライト
「何やっていたんだ、3人は?」
正男
「何って・・・中に入ってお前らを待ってたんだが、入ってこないしなんか叫んでたから一旦出てきたんだよ」
今度は浩二が言った。
浩二
「ねぇ、さっき僕たちが消えたって言ってなかった?」
その質問にブライトはうなずいた。
ブライト
「3人が先に歩いて行っただろ?そうしたら途中で3人の姿が急に見えなくなったんだ」
その言葉にフレアもうなずく。
ムーン
「でも僕たちまっすぐ歩いただけですよ?」
浩二
「じゃあ声は?兄さんが呼んだんだけど?」
フレアは首を振る。
フレア
「いや、何も聞こえなかった。そっちは俺たちの声聞こえたのか?」
浩二はうなずく。
ブライト
「・・・ということは中に入った3人が特別だからなのか?」
浩二
「うーん、でも外から中のことがわからないってこともあるかもよ?」
そこで浩二がブライトとフレアを塔の入り口に連れて行った。
浩二
「ここに入口があるんだけど・・・中に入っちゃえば中の様子が見れるかもしれないよ?」
ブライトとフレアは浩二の案内で前に歩いた。
浩二
「もう2人は中に入ってるんだけど・・・どう?」
すると外の浩二の声が聞こえたのかフレアは首をひねる。
フレア
「浩二の声は聞こえるけど・・・やっぱり何も見えないぞ?」
フレアはブライトに確認すると、ブライトも首を振った。
今度は正男が再び塔の中に入った。
浩二
「あっ、今兄さんが塔に入ったよ。どう、見える?」
ブライト
「・・・いや、また消えた。声も聞こえないな」
3人は浩二とムーンのところに戻った。
ブライト
「どうやら塔の中を確認できるのは正男たち3人だけのようだな・・・」
ブライトは3人を見る。
ブライト
「すまない、塔の捜索には3人で行ってきてくれ。俺とフレアは待っているしかないようだ」
フレア
「頼むぞ、なにかあったら出てきてから聞かせてくれ」
正男、浩二、ムーンはうなずく。
正男
「よし、行くぞ浩二!」
浩二
「あっ、待ってよ兄さん!」
ムーン
「なるべく早く戻るようにしますよ」
正男たち3人は再び塔の中に入り、その姿はブライトとフレアの視界から消えた。
??? 「ようやく来たね・・・さてここまでこれるかどうか・・・」