浩二
「・・・っていうことがあったんだよ」
浩二は海の神殿ではぐれてから山の神殿で正男たちと再会するまでのいきさつを話した。
ブライト
「なるほど・・・どうやらこの霧の件にはなんかの集団がからんでるみたいだな」
ブライトが「太陽片」を袋に詰めながら言う。
フレア
「まぁ霧について詳しいことは聞けなかったけどな」
フレアはため息をつく。
正男はブライトに言う。
正男
「・・・んで、なんで急に霧がまた出たんだろうな、さっきは?」
ブライト
「・・・フレアたちの見た別の場所に通じてる穴。俺や正男たちの時も、気付かなかっただけでその穴を通ったのかもしれないな。」
フレアは、先ほどジョフが開けた穴の近くの天井にある、壁のあいた穴を見た。
フレア
「俺たちはあそこから出てきたってことは・・・あそこにもその穴があるかもしれないってことか?」
フレアの確認にブライトはうなずく。
ブライト
「あの穴がある場所は必ず霧に覆われているから、2つの間に何か関係があることは間違いない。
太陽片の力を使うときにはその穴に光が当たるようにした方がよさそうだな。」
ムーン
「えーと・・・でもここって建物の中ですよ、どうするんですか?」
そう聞くムーンはここまでの道中でフレアに太陽片などについての説明を受けていた。
案の条、最初は首をかしげていたが。
フレア
「たぶん大丈夫じゃないか?ほら、ジョフの奴が天井壊してくれたし」
フレアは天井を指さす。
相変わらず霧に満ちていたがジョフがいなくなる前よりも部屋の中は明るくなっていた。
ブライト
「そうだな・・・っ!」
ブライトが「太陽片」を天井の穴に向かって投げた。
ムーン
「・・・?うわぁ!?」
はじめて「太陽片」での霧晴らしを見たムーンは思わず目を押さえる。
目を開けた時には霧がなくなっていた。
ブライトはフレアたちの通ってきた穴がある場所を見た。
ブライト
「よし、これで大丈夫だろう」
そのとき浩二が言った。
浩二
「・・・ねぇ、ムーンってさっきの暗いところから来たんでしょ?また出てきちゃっていいの?」
ムーン
「えっ、いやフレアさんがあの霧の中にずっといたら危ないからって・・・」
ムーンがフレアを見ながら言った。
フレア
「こっちの霧を晴らしてもあそこの霧が晴れるかどうか・・・この現象が解決するまで長居はやめた方がいいだろ?」
ムーン
「・・・そういうことなのでしばらく一緒に行動させてもらいます、よろしく」
神殿を出た一行はコロナの家に一旦戻ることにした。
しかしムーンが目をつぶったままでいた。
正男
「・・・何やってんだ、ムーン?」
ムーン
「なっ、何ですかこの光は・・・まっまぶしい・・・」
浩二
「えーとムーン、太陽って知ってるの?」
浩二が聞いてみた。
ムーン
「たいよう?・・・いえ、知りませんけど・・・この光のことですか?」
そこでフレアが言った。
フレア
「そーいや俺たちの放り出された場所は洞窟みたいに暗かったな。
俺と浩二は慣れないのにムーンはけっこう楽に進んでたような・・・」
ムーン
「こんな明るいの見たことないですよ・・・もしかして外はこんなものなんですかここは?」
ムーンが目をぱちぱちさせながら言う。
浩二
「ここはずっと朝とか昼とかブライト言ってたよね?」
ムーン
「・・・あさ、って何ですか?」
正男
「・・・こいつのいたところはずっと夜かよ?」
結局ムーンの目が慣れるまでしばらく神殿前に待機するのだった。
ようやくムーンの目が慣れてきたので一行はコロナの家へ歩き出した。
そしてコロナの家に到着したとき、正男はあることを思い出した。
正男
「おっ、そうだ忘れるとこだった、浩二」
浩二
「なに、兄さん?」
正男はマウントブライトの頂上を指さした。
正男
「あそこの頂上にある塔見えるか?」
ブライト
「ああ、そう言えばそんなこと言ってたな。・・・フレアは見えるのか?」
その問いに対して浩二とフレアはこう答えた。
浩二
「塔?・・・うん見えるけど」
フレア
「・・・?そんなもの見えないけどな・・・塔?」
正男とブライトの時のようにまったく正反対の反応を示した。
正男
「なんだフレア、お前も見えないのか・・・ムーンはどうだ?」
正男はムーンにも聞いた。
ムーンは細目で山の頂上を見える。
ムーン
「うーん、何かあるのは見えますけど?まぶしい・・・」
ブライトは家の中にいるコロナにも聞いてみた。
ブライト
「おいコロナ、山の頂上に塔か何かがあるらしいんだが見えるか?」
言われたコロナは窓から頂上を見た。
コロナ
「・・・そんなものないですけど・・・?」
ブライト
「・・・つまり見えるのは正男に浩二、ムーンの3人。見えないのは俺とフレアとコロナか・・・ん?」
そこでブライトは何かに気がついた。
ブライト
「つまり何かを見ることができるのは・・・さっきの穴を通った奴ということか?」
浩二
「それってどういう意味?」
ブライト
「正男も浩二もあの草原に来たときに、さっきのような穴を通った可能性が高い。
そしてムーンもおそらくその穴を通って海の神殿に迷い込んだ。」
浩二
「・・・でもフレアやブライトも通ったけど、何も見えないんでしょ?」
ブライト
「そうか・・・じゃあ何か他に共通点が?」
一行は考える。
フレア
「・・・あっ、もしかして3人は『太陽片』とかの知識がなかった・・・とか?」
ブライト
「・・・そういえばそうだったな」
そして正男が言った。
正男
「・・・なぁ、とりあえずあそこに行くのが手っ取り早いんじゃないのか?」
ブライト
「・・・そうだな、どうやらあの頂上の塔とやらも今回の件に関係ありそうだ」
ブライトはコロナに聞いた。
ブライト
「コロナ、あの頂上にはどうやって行けばいいか知ってるか?」
コロナ
「・・・神殿の上の方から道があったと思いますけど」
正男
「よし、じゃあ行こうぜ」
一行は再び神殿に向かって歩き出した。