早とちりと弊害

リフリー「ううぅ・・・」
正男の抵抗(?)を受けて地面にリフリーは落下した。
浩二 「・・・兄さん、守り神を傷つけてよかったのかな?」
浩二はリフリーを見ながら言う。
正男 「いや、そんなこと言っても先に手を出してきたのはこいつなんだが・・・。正当防衛だ。」
リフリーはそんな2人を睨みつけて、
リフリー 「くそ・・・侵入者め・・・」
浩二 「しっ侵入者?あの・・・なんか誤解してない?僕たちはその、」
リフリー 「あんたたちみたいな奴に霧なんかでこの森を消されるわけには!」
正男 「いやだから話を聞けって!俺たちはあんたと、」
リフリー 「うるさい!私がこれでやられたと思ったら大間違いだぞ!」
正男 「おいぃ!人の話を聞けっつーの!俺たちはブライトに連れられてあんたと話しに来たんだって!」
リフリー 「ふん、そんなこと言っても私は騙され・・・えっ、ブライト?」
ブライトの名前を聞いてリフリーはきょとんとする。ちょうどその時3人の後ろで足音が聞こえた。
ブライト 「ああっ正男、浩二!実は・・・んっ?」
ブライトは正男と浩二、傷ついたリフリーを見て首をかしげた。

リフリー 「・・・ごめんなさい。最近の霧の原因かと思って」
戻ってきたブライトの説明を受けたリフリーは正男と浩二に頭を下げた。
ブライト 「すまん言い忘れてた・・・リフリーはよく1人で早合点して間違った行動するんだ」
正男 「確かに」
浩二 「まぁ大事には至らなかったからいいけど・・・
  ところでリフリーが出てきたときとさっきとじゃ口調変わってなかった?」

ブライト 「ああ・・・守り神の威厳を見せたいときは丁寧になるんだ」
ブライトはため息をつく。そして真面目な顔になりリフリーに向き直る。
ブライト 「で、リフリー。霧のことは何かわかったか?」
リフリーは話し始めた。
リフリー 「突然この世界に現れた霧ですが・・・どこから発生したのかはわかりません。
    そしてブライトはこの霧に触れたものが消える、と言いましたがそうではないのです」
ブライト 「えっ?・・・しかし俺が草原で拾った石は最初不自然に欠けていたんだが・・・」
リフリー 「正確に言うと・・・あの霧に触れたものは同じ霧に変わるのです。」
正男は混乱した。
正男 「霧に?・・・あの霧に触れると物が霧になって・・・その霧に触れてもまた物が霧に?」
リフリーがうなずく。
リフリー 「その通りです。霧は霧を生み、その霧は新たな霧を生む。そうやって霧がどんどん広がっていくのです。
    ほうっておけばこの世界全てが霧に覆われてなくなってしまうでしょう。」
ブライト 「・・・ならそうなる前に各地で『太陽片』を集めて霧を晴らさなければいけないんだな?」
リフリー 「はい。霧が晴れると霧になってしまった物体も元に戻ります。その石でわかるでしょう?」
納得するブライトに正男が意見した。
正男 「おい、『太陽片』なら草原で集めて霧も晴らしたじゃねぇか。あれを使えばいいんじゃねぇの?」
しかしブライトは首を振り
ブライト 「『太陽片』は一度エネルギーを発すればただの石だ。また霧が出たら集めなおしなんだ。」
そこで今度は浩二が質問した。
浩二 「あの、今更だけど・・・『太陽片』って何なの?太陽の力の一部を持つ、とか何とか聞いたけど・・・」
ブライトは懐から『太陽片』を取り出して説明する。
ブライト 「俺も正確なことは知らないが・・・太陽の活動で発生した余分なエネルギーのかたまりだと聞いたことがある。
    たまに空から降ってくるんだが、人々はこれのエネルギーを日々の生活に活用してるんだ。料理とかな」

浩二 「降ってくるって・・・あられ?」
浩二は呆れながら思わず空を見上げる。何も落ちてこなかった。
そんな中ふと正男は大切なことを思い出してリフリーに言った。
正男 「あっおい、そうだ!俺たちはなんでこんなところに来ちまったんだ!どうすりゃ元の場所に帰れるんだ!?」
正男はリフリーにその答えを期待したが、リフリーは首を振り
リフリー 「・・・ごめんなさい、それに関しては私もわかりません。」
ブライト 「・・・そうか」
ブライトはため息をつく。正男も浩二も同じようにため息。
ブライト 「・・・2人はこれからどうする?」
正男も浩二は顔を見合わせる。そしてしばらく黙ったあと
正男 「・・・もう少しお前に付き合うか。霧とかを調べてればそのうちいつの間にか帰ってたりするかもしれんし。
  こっちに来た時みたいに」

浩二 「・・・僕もそうするよ。今から別行動とっても知らないところだから迷いそうだし」
ブライトはその言葉にうなずく。
ブライト 「・・・そのほうがいいかもな。・・・じゃあさっそくさっきの井戸に行くぞ!」
浩二 「井戸?なにかあったの?」
ブライト 「さっき言いそびれたが、実は井戸の中の霧が外に漏れ出し始めていたんだ。
    このままじゃこの森も霧に覆われてしまう!」

その事実にリフリーは驚いた。
リフリー 「霧が!?そんなはずは!確かに私が押さえておいた・・・あっ」
リフリーはそこで何か思いあたったのか正男を横目で睨みつけた。
正男 「んっ?なっなんで俺のほう見るんだよ?」
浩二はぽんっと手を打ち
浩二 「・・・もしかしてさっき兄さんがリフリーを踏みつけたから力が弱まった・・・とか」
リフリー 「・・・やっぱりあんたのせいだったか、このぉ!」
リフリーが正男に怒鳴る。いつの間にか守り神モードをやめていた。
正男 「なんでそうなる!?元々はお前のせいだろーが!」
ブライト 「おいぃ、喧嘩はやめろ!とにかく俺は先に行く。2人も後からついてこい!
    リフリーは力が戻ったら井戸から出てきた霧を中に押し戻してくれ!」

リフリー 「・・・はい」
リフリーは回復のために姿を消した。最後に正男を睨んで。
正男 「・・・まぁ。とりあえず行くか。」
浩二 「うん。」
正男と浩二は高台から降りると橋を渡り来た道に戻った。そして井戸のあるほうを見ると、
そこからはさっきは見えなかった白いものが吹き出ていた・・・。


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