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秋山草堂〇〇七部屋・映画「ネバーセイ・ネバーアゲイン」

DATA

ネバーセイ・ネバーアゲイン

1983年度作品
監督 アーヴィン・カーシュナー
原案 ケヴィン・マクローリー
   ジャック・ウィンティンガム
   イアン・フレミング
脚本 ロレンツォ・センプルJr.
音楽 ミシェル・ルグラン
主題歌「Never Say Never Again」ラニ・ホール

出演
ジェームズ・ボンド
 …ショーン・コネリー
マキシミリアン・ラルゴ
 …クラウス・マリア・ブランダウアー
エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド
 …マックス・フォン・シドー
ファティマ・ブラッシュ
 …バーバラ・カレラ
ドミノ・ペタッチ
 …キム・ベイシンガー
フェリクス・ライター
 …バーニー・ケイシー
Q/アルジャーノン
 …アレック・マッコーエン
M
 …エドワード・フォックス
ミス・マニーペニー
 …パメラ・セイラム
ナイジェル・スモール=フォーセット
 …ローワン・アトキンソン
セックス・ポット
 …ヴァレリー・レオン
ジャック・ペタッチ
 …ガバン・オハーリヒー
ニコル
 …サキア・コーヘン・タヌージ

あらすじ

犯罪結社スペクターは、米軍基地から原爆を奪いNATO諸国に莫大な身代金を要求してきた。
支払われない場合は、原爆を爆発させるというのだ。
奪われた原爆を探すため、ボンドはナッソーに飛んだ……。

解説

「サンダーボール作戦」の映画化権を持っていたケヴィン・マクローリーが、ショーン・コネリーを主演に迎えてリメイクした、シリーズ外の作品。
(「サンダーボール作戦」の権利問題に関しては、原作版の感想を参照。そんなに詳しく触れているわけではありませんが。)

65年版の「サンダーボール作戦」も大人の雰囲気の作品でしたが、ムーア・ボンドとの差別化の為もあってか、今作も大人っぽく洒落た雰囲気に仕上げようと作られているのがいいですね。
ミシェル・ルグランやマックス・フォン・シドー、クラウス・マリア・ブランダウアーの起用からも、そんなコンセプトが伺えます。
スペクターも、従来の“非情な犯罪結社”的イメージではなく、“暇を持て余した金持ちのサロン”の様な雰囲気で描かれているのが楽しいですな。
犯罪王と言うよりは大学教授のようなブロフェルドも魅力的です。
個人的には、映像化された他のどのブロフェルドよりも好きですね。

クラウス・マリア・ブランダウアーのラルゴも、ホントいいですね。
口に手を当ててクスリと笑う仕草や、ドミノに頬を打たれて見せる束の間の放心したような表情、ドミネーション・ゲームに負けた時の掌に息を吹きかける仕草などなど、いちいち芝居掛っていて、(良い意味で)可笑しくて、観ていて飽きません。

そして忘れてはいけないのが、今作最大の見所、みんな大好きファティマ様(笑)。
「サンダーボール作戦」の感想で、フィオナがシリーズ最高の女殺し屋と書きましたが、シリーズ外のこの作品も含めれば、ファティマ様がもう何馬身も引き離してのぶっちぎり一位なのは間違いありません。
見た目まだ淑女然としていたフィオナと違い、初っぱなから危ない子の魅力全開で、彼女の一挙手一投足から目が離せません。
見て楽しいと言う意味では、このラルゴとファティマを越える悪役コンビはいないのではないでしょうか。

さてさて、だいぶ後回しになりましたが、何と言ってもコネリーです。
72年の「ダイヤモンドは永遠に」から11年ぶりのボンド役復帰という事ですが、年齢を感じさせない格好良さ。
その存在そのものが「俺が元祖だ!文句あっか?!」と主張しているようで、ただただその存在感に身を委ねるしかないのであります。
ただ、本家シリーズでロジャー・ムーアが老体に鞭打ってボンド役を続けくれていたからこそ、50を過ぎたコネリー・ボンドを自然に受け入れる事ができたのだとは思いますが。

基本的に不評な意見が多く見られる、ドミネーション・ゲーム(ボンドとラルゴが対決する例のコンピューターゲーム)ですが、個人的には嫌いに慣れないというか、結構好きだったりします(笑)。
確かに、バカラかなんかで渋くきめてくれた方が良かったとは思いますが、あれはあれで安っぽさが楽しいですし、新しい試みを買いたいというのもあり、否定する気になれないのです。

芸達者な役者と個性的なキャラクター、オーソドックスでテンポの良い展開、ミシェル・ルグランの軽快で品のある音楽などなど、魅力に溢れています。
もちろんプロットのおかしい所とか粗もありますが、それを補ってあまりあり過ぎる魅力を備えた作品だと言えるでしょう。

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