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秋山草堂〇〇七部屋・小説「サンダーボール作戦」

DATA

サンダーボール作戦

1961年度作品
イアン・フレミング著

あらすじ

核爆弾を搭載したNATOの爆撃機が「スペクトル」と言う名の秘密組織に奪われ、核爆弾と引き換えに一億ポンド相当の金塊を要求してきた。
七日以内に金塊が支払われなければ、核爆弾を爆発させると言うのだ。
わずかな手掛かりを追って、ボンドはバハマに飛んだ!

解説

原作第9作。
もともとこのお話は、フレミングが知人と一緒に映画の企画として考えていたストーリーだったそうなのですが、ネタに困っていたのか、フレミングが知人の許可なく小説化して発表しちゃったもんだから大問題になってしまいました。
フレミング的には軽い気持ちだったのかも知れませんが、その後裁判沙汰になり、そのせいでフレミングは寿命を縮めたとも言われています。
映画シリーズの方も、この辺の権利問題が原因で、今作のリメイクを(シリーズ外で)何度も作られそうになったり、スペクターと言う名前が使えなくなったり、厄介な問題続出で、大きな影響を残す結果に。

そんな裏話はともかく、内容はと言えば、とにもかくにもスペクター(古い翻訳では「スペクトル」)初登場に尽きます。
それまでの作品では、ほぼスメルシュが敵の黒幕だったのですが、どの国にも陣営にも属さない国際犯罪結社スペクターにその座を譲る事になったのは、時代的にそうも行かなくなったからでしょうか。
スペクターの幹部が揃った会議のシーンは、映画版やその他のパロディ作品で何度も見てしまっているので、お約束のような雰囲気さえ感じられますが、今見てもその仰々しさにはワクワクさせられます。
ブロフェルドもハッタリが利いていて格好良いですよ、まだこの頃は(笑)。

ライターがいつも以上にハイテンションなのが気になりますが、それよりドミノが可愛くてイイですな。
スピード狂で男勝りな自立した女性と言う攻めキャラと、ラルゴの情婦でありペタッチの妹でボンドに落とされるという受けキャラが、映画版ではフィオナとドミノの二人のキャラに分けられてしまったのですが、その二面性が共存している所が原作ドミノの素晴らしく魅力的な所であり、平たく言えば典型的なツンデレなのであります。
ドミノたん、ハアハア。

ただ、序盤のシュラブランズのくだりは、正直無くても良かったような気がします。
ストーリー的に無くても全く問題ないし、リッピ伯爵との出会いも強引な上に無意味です。
それから、ドミノがペタッチの妹だと言う設定が全く活かせてない所もどうかと思います。
映画版では、その設定に意味を持たせてありましたが、原作では全く無意味です。

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