第3話 初めての恋心・・・そして 人生の壁

 

(ここからはこの物語の舞台が

浜茶屋の武達から時空が愛華が中学三年頃にスリップダウンします

つまり愛華の日記の世界の路上ライブでの出逢いのページからとなります

そして物語の進行は武目線や瞳目線から離れて 展開していきます)

 

 

「人はその制服の通りの人間になる」

とはナポレオン・ボナパルトの名言だか・・・

愛華の場合は これに意識的に逆らっていた。

愛華は纏うべき学生服を

素早くトラベルケースに収納して

胸あてとエプロンが純白で下地が薄紅色のメイドの衣装を身にまとって

地下街の出会いの広場の出口階段附近で、轟を待ち構えていた。

その時の轟は

地下街の路上ライブを終えて生ギターをハードケースに収納して

僅かばかりかの投げ銭を豚の貯金箱に食べさせて

不機嫌にうな垂れながら、出口に向かってきた。

 

「轟君」

「おー

愛華っ

なんだぁー

来てくれたのか?」

「どうしたの ??

今日のライブさぁ〜

 

あまり のってなかったねっ??

 

最後の方なんて

ずーと 音程はずしっぱなし て感じじゃなかった?

 

 

もう・・・・

ねっ

聞いてんの?? 」

 

「いるさいなぁ〜

いちいち どうでもいいこと 言うなよ

それより また変な衣装着てきたなぁ

目立ちすぎるから もう止めてくれ」

愛華は実際の年齢よりはどう見ても三歳は若く見える

ベビーフェスでメイド衣装きているから

街中で彼女を見かけると微妙に違和感を感じるのか

二人の横を通り過ぎようとする通行人は

三割程度の確立で視線を二人に向け気に掛ける

だが きっとメイド喫茶の店員だと思って

正面を向き直して歩き始めるのだろう

誰も立ち止まらない

ある意味で愛華は この町にドライな風景に溶け込んでいる

彼女が常識からおよそかけ離れた行動をとる少女だと

判っているの世界中で今のところ轟だけかもしれない

彼女は良く嘘をつく

そして 本当のこと冗談のように笑いながら言うから

まともに話していると

愛華に近づく人間は

訳がわからなくなり愛華の世界に引き込まれてしまう

それとも 危険を感じて賢明な判断をして逃げ出してしまう

 

轟はそんな愛華を承知して受け入れている

なぜなら

轟の気持ちを いつも気にしてくれるのは愛華だけだから

どんなに周りが轟を嫌がっても

いつも轟の味方をしてきた。

だが

そんな愛華が今日は 轟には限界を超えてしまうくらい

鬱陶しいかった。

 

 

「あらいやだぁー

そんないい訳で 誤魔化さないでっ

それより

どうでもいいことって

何よ

轟君の唯一? のいいとこって

歌が うまいこと・・・

あと馬鹿力ぐらいなのにさぁ

 

最近の轟君 

変よ

何か 私に隠している??」

「ちょっと待ってくれよ

 

俺が愛華を気にして

何で隠し事しなきゃなんないの ?

 

せっかくライブ終えて らっくりした気分になっのに

もしかして

俺に喧嘩うろって言うのか??」

もぅー 蝋人形のクマモンっ

私の気持ちなんか

何にも判ってないのね?

いいわ

もう気にしないから

また明日

学校の不良連中に

よってたかって苛められて

喧嘩して

傷だらけて゛、ライブすることになっても

手当てしてあげないし

ここにも来ないわっ

 

 


「・・・・・

 

愛華

 

頼むから

 

優しくしてくれ

俺 ・・・・・ないよっ

轟は 急に思いつめたように

弱弱しい声で語り始めた

「最近 

目覚めると、魘されて汗びっしょりの塗れたベッドから

転げ落ちるように、起きるんだ

それて

決まったように直ぐ横の壁のカレンダーを見入ってしまうんだ。

何故か わかる 愛華?

カレンダーには 苛めにあった日に×印が付いている

もちろん・・・昨日までの日付は

全部

すべて×印さぁ

今日また どうせ

また×印に決まってる

想像すると耐えられない痛みが胸を詰めつける

 

俺なんか誰も愛してくれない

 

 

死にたいょ

 

愛華っ

もう

起きるのを 諦めて

ベットの中に蹲って

そのまま一日中眠り続けたくなるだ。」

 

 

轟は母親と父親の離婚の時も

気丈にも涙ひとつ流さなかつたが

今日は

自分の誕生日と思春期のせいで

溜まりにたまった感情を抑えきれなくなり

休火山の噴火のように

無理した強がりのコルクを緩めて

自分の感情を 吹き出していた。

 

 

「だめよ

 

そんな弱虫の轟君初めて見たは

轟君

本当はね

痛いくらい 判るの

 

貴方は 苛められる側の苦しみと

苛め返す 心が壊れる 虚しい苦しみで

板ばさみ なんでしょ

どっちも

辛いよね

 

「愛華 っ    」

 

愛華と轟は無言のまま抱き合って

同時にすすり泣いた。

背の高い轟の涙が小さい愛華の髪に滴り落ち

やがて桜色の頬まで達して

愛華の流す涙と溶け合って

二人分の大粒の涙になって路面にゆっくりと堕ちる。

 

すると・・・二人の脇を通る

何事にも無関心なはずのドライな通行人の

大半が立ち止まって 交通事故現場を見るように

身を引きながら二人の様子を伺いだした。

今の二人には そんなことは

正に どうでもいいことだった。

小さな小さな愛華が、冬眠中の腹ペコの熊のような轟の腰周りを

右手で引き寄せ

うな垂れた轟を支えながら引きずるようにして

前に 二人は歩き出した。

その時

少しかん高い男の声が 二人を止めた

「君達

待ってくれ」

振り向くと痩せ柄で青白い顔した青年がクラシックギターを抱えながら

息を荒げて追いかけてきた。

「なんだ お前 そのな陳腐なギター持って」

「これか、上の歩天で君と同じ路上ライブやってきたのさぁ」

「まさかだろぅー

そんなギターじゃ チャラくて路上なんかできねーぜ」

「それは君の認識の甘さだ

全然路上ライブこのギターでいけるだ

柔らかい弦が人の肉声と絶妙にマッチすることを君はしらないのか・・・

 

まあ いいさぁ

 

そんなことより

君の歌は毎週 土曜の夜に聞かせてもらっていたよ

・・・

突然だけど

僕と組んで ライブやらないか」

「冗談だろー青二才

お前なんか 家で大人しくガリ勉して

名門大学でも受験してるのが

お似合いだぜ!」

「ちっと待って 轟君

貴方 もしかして あの有名なハッカー少年の哲君じゃない?」


「有名じゃないけど?

ああーそうだ 

 でも・・君

なぜっ

そんなこと知ってるの???」

「驚いた 轟君この人よ

貴方が 会いたいいつも言ってたハッカー少年よ」

「マジカよ

裏ハッカーサイトでは お前はヒーローだからな

一度会いたいと思ってたんだ

・・・ぁあ

訳ね

愛華に代わって教えてやるぜ

驚くなよ

この愛華っていうお嬢様は

実は最強の女ハッカーなんだ。

俺も 愛華からハッカーの技術的なこと皆教えてもらったのさぁ」

 

「嘘でしょ

街中堂々とコスプレの格好して歩く

ちょと可笑しな女ハッカーなんて

あり得ないょ

「あなたこそ 認識が甘いわ

哲君

私は 学校の成績はパットしないけど

ハッカーのことに関して誰にも負けない自信があるの」

実は これはいつもの愛華の嘘で

ハッカーに興味があるくらいで技術的なことはまるでわからないのだが

ハッカーの知識のある轟も最初は騙されたのである

が 直ぐに愛華の嘘がばれて

喧嘩になったが

自称ハッカーを 頑固に主張し続ける愛華に

呆れて轟は

「わかった

わたかった お前は

俺が知ってるハッカーの中で

超 すげーハッカーだ

認めてやる」

 

勇敢にも?

自称ハッカーという触れ込みで

轟の助けを借りながら

ネットで本物のハッカーを調べ

最後には一人でハッカー裏サイトをサーフィンするまでになったのである

そんなことで・・・・

轟の知らない間に

哲というハッカー少年の詳しい活動を情報収集していたのだった

「愛華もう それ以上

ヤバイから

こんな街中で、その事は話すな」

轟は嘘がばれないかと心配になり

話を変えた

「それより哲

お前が 本物の超一流ハッカーなら

丁度いい

場所変えてお前の面白そうなハッカー暦 

いろいろ教えてくれよ」

哲は軽く頷くだけで返事は声にださなかった。

 

この頃の哲は

瞳という少女の親から、記憶喪失になり、不眠症で深夜の町に抜け出しては

朝帰りの毎日を繰り返していた娘の監視を頼まれていた

それは彼が犯した不正アクセスで学校の機密情報入手の罪を公にしない変わりに

引き受けたことで

誰にも言えない大きな心の負担を抱えていた時だった

「ねっ

轟君に哲君

ちょうどいいわ

誰にも邪魔されずに突っ込んだ話ができる秘密の場所があるの

 

私に付いて来てっ」

愛華は いつもより白目の部分を多くして瞳の部分を底にした

ペコちゃん人形が考え込んでいるような

不思議な眼つきで、二人を誘った。

 

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 2015年1月3日 土曜日

いよいよ瞳が駐車場で自殺未遂をする前の瞳の登場です

愛華と轟 哲と瞳 それぞれは人に言えない悩みを抱えたまま吸い寄せられる

ように出逢っていきます。

 

ここまで読んでくれてありがとう・★

それでは・・・

読んでくれた貴方に、ときめきの小さな灯りが、悪戯な風に惑わされて、消えないように願っています・・・続く

Hiko・★