Dr.遠藤のピジョンセミナー



  2.種鳩の選鳩   眼
         
 
(1)眼による能力の判断
 
  種鳩として用いる場合、眼の虹彩の色素は濃い方がよい。 虹彩は厚く深みがあり粒子が粗くて同心
 
  円状に配列するものを良しとしたい。
 
  放射状に走る虹彩を持つ鳩は、スピード性に富むが、帰巣性が安定しない場合が多い。
 
 
  アイサインが瞳孔の周囲をぐるりと取り囲んでいるものはスピード性能に欠けるが、帰巣性は良好な
 
  遺伝子を有する。クチバシよりに三分の一程度、滲みた様なアイサインを持つものは、レース鳩として
 
  使翔するには好ましい場合が多いが、種鳩に用いた場合は色素の淡いものが多く作出され劣悪化傾向に
 
  ある様である。
 
 
  しかし、このスピード性能は捨てがたい。 そこで同心円状に虹彩を有しアイサインが瞳孔周囲を
 
  取り囲む鳩との交配によって劣悪化を防止できるようだ。
 
 
  断っておくが筆者は、あるレースで一発優勝したが次のレースで失踪などという鳩を理想として論を
 
  展開しているのではなく安定して上位に食い込む鳩を理想として論を進めている事を承知してほしい。
 
      
 
(2)眼による体力の推測
 
  虹彩の外側(右上の図)のメラニン色素の量の多少も鳩の体力のバロメーターである。
 
  この量の多いものは、先天的に頑健な鳩に多い。 人間の貧血を調べるのに医師は、眼瞼をひっくり
 
  返して調べるだろう。 同様に、鳩の眼環(マブチ)を上部に上げてみると先に述べたメラニン色素の
 
  沈着した部分より、クチバシよりに毛細血管が多く見える部分がある。
 
  ここの部分の赤色の薄いものは貧血鳩が多くクチバシを開けて口腔内を見ても赤の色が薄い事がわかる。
 
  この様な状態にある鳩は、体内にどこか異常があり、種鳩・選手鳩ともに適さない。
 
  血色色素量を調べた訳ではないが、筆者の経験から貧血傾向にある鳩だろうと考えられるし、その様な
 
  鳩は、体温も若干低く、保温のため、羽毛を逆立てているものに多い。
 
  低体温の為、羽毛につけた脂粉が乾燥しにくく、たとえ乾燥してもシルクタッチの感じがせず、なんと
 
  なく黒ずんでいる様に見えるのもこの種の症状を呈した鳩に多い。

 
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