寄生虫症の中で円形虫に分類され、小腸に寄生し、鳩体から必要な栄養物質を奪う。
・病原体・・・ 黄色がかった白色の、両端が先端になった長さ二〜六センチ、直径1ミリで、肉眼で
識別できる。メスのみが、約一千万個の卵を産み、フンを通じて、排出される。この卵が鳩によって
飲まれて回虫になるまでには、外界で卵の中で幼虫としての初期段階(十〜十五日間)を経なければ
ならない。そのためには湿気と温度が必要とされる。もし感染力のある卵を鳩が摂取すると、体内で
幼虫になって十二指腸にとりつき、三回脱皮を繰り返した後、幼虫は腸壁に侵入しそこから血液内に
入り込み、約十六日後、再び腸に戻りそこで性的に成熟する。時々は少数の幼虫が血液を介して肝臓に
至り、肝臓を悪くする。
・感染経路・・・ 回虫にとりつかれるのは、鳩が感染力のある卵を摂取したときのみである。
・症状・・・ 少数の回虫がいる場合は、若干動作が鈍化するが、病気症状は怠期しない。 多数の
回虫がいる場合は食欲も阻害されて痩せる。 麻痺様症状を呈する場合があるが、これは欠乏状態に
よるものであり、回虫の排泄物に含まれる毒素によるものでもある。
・検査・・・ 定期的に顕微鏡を用いて寄生虫卵を確認する。鳩が何等かの病院で死亡したときに
解剖して確認すると、回虫が腸内に多数寄生しているのが確認される。
・投薬・・・ 寄生虫の駆除に最も適した時期は配合の前、レースシーズンの前、レースシーズンの
後などである。 ピペラジン系の薬品で駆除するが、飲水にとかして使用するよりカプセルを用いて
駆除するのが正確である。 駆除後は薬品による副作用を防ぐためにビタミン剤を三〜四日飲水投与
する。(注)駆虫後、ビタミン投与によって体調が上昇し、舎外で夜間飛行などが起きる場合がある
ので、観察をしっかりとして舎外等を注意して行わないと失踪の憂き目にあう事になる。
・予防・・・鳩舎の清掃、消毒、フンの検査
−66− |