Dr.遠藤のピジョンセミナー



 12.シーズンオフはデスクワークの季節   広い視野で見る
  
  鳩とは直接関係ないかとも思いますが、私は現在バレーボールのコーチをしております。
 
  強いチームを作るためには技術的な指導に増して、精神的に前向きに取り組む集団を作り上げなければ
 
  なりません。選手はコーチサイドが優勝を意識して鍛えこめば鍛え込む程、不思議と小さくなって萎縮
 
  するものです。
 
  この事は鳩舎においても同様で、期待をかければかけるほど成績が悪くなるものです。
 
  するべき事はきっちりと実行し、あとは鳩に自由の居住空間を与えてストレスをかけずに鳩が飛びたく
 
  なる状態に持っていけるレースマンのみが成功をおさめるものだと思います。
 
  このような点でいずれスポーツは選手を動かすものである事から、また人間も動物の一種である事から、
 
  共通項が見い出せるものでないかと考えたりもします。
 
  鳩界にはスポーツ経験者しかもプロまでつとめられた人も数多く居りその人々が鳩レースでも好成績を
 
  収めているのを見るにつけ、昨今では鳩レースをスポーツと私は位置づける考えでいます。
 
 
  また、大してうまくはないのですが、当地産の紫雲石という硯石を使って製硯をしたりしています。
 
  相手は石で、ノミで少しずつ削って形を整え、宇和島産のアコヤ貝を埋めて螺鈿細工を施し、最後は
 
  漆をかけて仕上げています。この作業の間、硯作りも鳩作りと同じだなぁと思います。
 
  いい石だなぁと思って彫っていくとキズがあったり、とにかく形を作るには芸術性が要求されます。
 
  鳩も、いい種鳩だろうと思って一生懸命に作出して、レースに出してみて使いものにならなかったり、
 
  とにかく鳩の作出も芸術の様にさえ思います。
 
  そして硯と同じように原石から磨いて漆をかけて仕上げる工程が鳩の作出から、訓練、そして仕上げの
 
  レースと、本当に良く似ていて、たった一度の気を抜く事さえできません。
 
 
  この様に、鳩と真剣に取り組む事から、バレーボール、製硯といろいろな研鑚に脈絡し、少しは
 
  楽しい人生を送れた様な気もします。
 
  この様な事から筆者は、鳩レース、鳩飼育ともに、何でも究める姿勢が重要な事を述べ、稿を閉じます。
 
  それぞれの人が、自分の身の回りに、参考となるべき事象が石ころの様にころがっている事に気が
 
  ついて欲しいと念じるものです。

                                              
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