Dr.遠藤のピジョンセミナー



 12.シーズン・オフはデスクワークの季節   種鳩の管理
  
  種鳩も分離され、換羽も順調に進み、終了したものもある事と思います。
 
  この時期、種鳩には、春、秋のレース結果を踏まえ、ニ、三年間の作出、競翔データ−と対比させて
 
  成績の良いもののみを残し、徹底的に病因となり得る原因を除外して、より健康的な状況にして冬を
 
  迎える必要があります。
 
  成績があまり好ましくない種鳩を、希望的観測によって翌年も作出に供するより、筆者は自鳩舎で
 
  実際に活躍した飛び筋の鳩を種鳩スタッフに加える英断を望みます。
 
  活躍鳩を種鳩にストックする事には勇気を要しますが、一シーズン我慢すれば、翌春には期待できる
 
  若鳩が、どんどん産声を上げ、選手スタッフの底上げになります。 是非実行して欲しいことです。
 
 
  この季節は、気候も良く夜なども凌ぎやすいので、各種のデータ−を分析したり、導入すべき鳩の
 
  データ−を収集したり、管理面を反省、計画したりと、いわゆるデスクワークに主眼を置いて考えて
 
  ください。 たとえ今年一年、あるいは過去数年にわたって、自分の思うような活躍が出来なかった
 
  としても、夢をもってレース鳩の飼育に取り組んでほしいと思います。
 
  "理念(おもい)"が夢を現実に結びつける最高の方途だと信ずるものです。
 
 
  他方、想念を現実に結びつけるにはしっかりとした基礎を踏まえる必要があります。
 
  ここに鳩の生理学的な数値《参考資料》を表しますので参考にしてほしいと思います。
 
 
  例えば飲水量の季節による差異からは、薬品を飲水に混ぜて投与する際の、夏、冬の濃度の差などを
 
  しっかりとアジャスト(調整)することです。
 
  即ち飲水一リットルに対してスプーン1.5杯が必要になるし、夏には逆に倍の飲水量になるわ訳だから
 
  一リットルに半杯にするとか、きめの細かい対応が必要となってくるでしょう。
 
  これらは、飲水投与の際に参考になるであろうし、また薬品投与の正確さを期すには、面倒でも、錠剤、
 
  あるいはカプセルにしたものを、一羽一羽確実に内服投与する事であるのも理解できると思います。
 
 
  ゼラチン質のカプセルはソノウまたは胃の中で溶け、薬品が外に出る様になっています。
 
  しかし、このカプセルは投与する前に水で湿らせないと飲みこみがスムースでないばかりでなく、
 
  カプセルがのどや食道にくっついてしまい、嘔吐する原因となります。
 
  これを防ぐ為にも注意が必要です。
 
 
  先に述べた飲水投与の場合は薬品によって飲料水内で限定された期間内しか安定していないものも
 
  あるので、少なくとも一日に一回は新しいものと変えなくてはなりません。
 
  また自由舎外を制限して、鳩の鳩舎外飲水をしないように配慮しなければなりません。
 
  水溶性薬品は封をしっかりしておかないと空気中から湿気を吸って有効性を失う場合もあるので
 
  "密封"が必要ですし、褐色瓶に入っている薬品は"遮光"しないと変質するものが多いので、光の
 
  当たらない場所に保管しなければならない等々・・・薬品使用の際には、薬品使用の基礎があります。
 
  これら薬品は鳩が生理的に健康状態が維持できる事を目的に使用するのであって、決して簡単に、
 
  また安直に使用すべきではありません。

  
                                            
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