Dr.遠藤のピジョンセミナー


  2.種鳩の選鳩   地域特性
         
  およそ鳩レースを展開する際に、それぞれの地域によって立地条件、コースの設定、風向き、その他の
 
  条件が大きく異なる。
 
 
  この事は、レース鳩を論ずるのに、極めて大きな障害となる。
 
  なぜならば、それぞれの条件を満たす鳩は、それぞれの異なる形質と特性を有するからに他ならない。
 
  それでは、この地域特性を克服するには、いかなる方法が最善であろうか。
 
  それは、その地域地域で、いわゆる飛び筋を形成している鳩を形態面および血統面ともに徹底的に
 
  研究・分析する事である。
 
 
  例えば、山岳地帯にある鳩舎は気圧の変動を克服せねばならないだろうし、大羽数でスピードを競う
 
  地方では、スピード性能を強く有した鳩が飛び筋を形成しているだろう。
 
 
  難コースを飛翔して帰還せねばならない地域では、鳩は強い意志力を具備せねばならないだろう。
 
  そのような特性(特殊性)を早く見つける事である。 そして、そのような特殊性を持った鳩が、
 
  どのような形態(主として骨格、筋肉、翼)を持っているかをしっかりと把握する事である。
 
 
  例えば、向い風レースに遭遇する頻度の高い地域では、重心が前にあって、竜骨の前端が高めの鳩で
  
  主翼が短めの鳩が適性を多く持っているだろうし、筋肉もパワーに溢れるややかための、強い瞬発力を
 
  有したものが有利であろう。
 
  他方、風が追い風(フォロー)になる頻度が高い地方では、やや竜骨の浅い薄手の鳩で翼面積の大きな
 
  方が有利であろうし、疲れを知らない柔軟度の高い鳩が、より多くの適性を有しているはずである。
 
 
  地元の飛び筋は、すでにレースの洗礼と、厳しい気象条件を克服して形成されている訳であるから、
 
  その筋の導入が最良の方法である事は当然だが種々の事情によって誰でも百パーセント導入できるとは
 
  限らない。
 
 
  そこで、先程から述べている地域の飛び筋を研究・分析し、できるかぎり、それに形質の近い鳩を
 
  導入して基礎鳩とし、作出してレースに実際に参加してみて、性能を検定し、淘汰改良を加えてゆく
 
  事である。 またレース鳩の作出ではそれが可能であるから魅力がつきないとも言えるのである。

 
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