Dr.遠藤のピジョンセミナー



 11.秋レースの戦い方とそのメンテナンス   秋レースのメンテナンス
  
  他方、秋レースは、若鳩主体であるが為に、諸々の病気に患りやすい。
 
  特に鳩痘、オルニトージス、マイコプラズマ、寄生虫など他鳩舎の鳩と放鳩コンテナ内で接触する事に
 
  よって病気をもらってくる事が少なくない。
 
  これは成鳩と違って、抵抗力も弱く、ストレスも大きい事から体調をさげやすい為に発病する事が
 
  多いので、体力の低下を招くような事は絶対にしてはならない。
 
  疲労の状況を考えないで、ニ、三時間も強制したりする事は非常に無意味な事であって、百害こそあれ
 
  一利もない事である。
 
  レースで帰還したら、まずゆっくりと休養させ、疲労を除外して調整する。このように考える事である。
 
  よく、他の人が何時間飛ばしたから、何キロを訓練したからと、直ぐに他の影響を受け猿真似をしたく
 
  なるのがレースマンの心情らしいが、自分の鳩群をしっかりと観察し健康状態に鳩を保つ事ができれば、
 
  鳩レースでの勝利は、あなたに急接近するものである。
 
  自分の鳩群に対して、次への高みを目指す目で観察し、こまめに手を入れてやる事が大切なことで、
 
  鳩のメンテナンスである。
 
 
  際々論じるが、病気がどのような原因で、あるいは原因菌によっておきているのかを熟知しないで、
 
  星の数ほどある抗生剤を始めとする薬品を使用する事は、人間でいえば肺炎患者に高血圧患者治療薬を
 
  与える様なものである。
 
  諸外国の鳩専用薬品よりも国産の薬品で、数倍、数十倍の薬効を有するものである。
 
  要は病気を見定める、即ち正確な診断を下す事が治療をはやめる唯一の方法である事を知ってほしい。
 
 
  鳩レース協会のクリニックを利用するとか獣医師の検査を仰ぐとか、専門的な学識のある人に判断を
 
  委ねる事が、失敗を未然に防ぐ妙案である。
 
 
  病気の中でも、とりわけ伝染性の強いパラミクソ関連疾患はヒナ時より、ワクチネーション・
 
  プログラムに沿って、実施してないと、秋レース終了後に大量に発生する場合があるので、面倒でも
 
  しっかりと予防しておく事である。
 
  ちょっとした油断が、数年間を棒に振る結果となるだけに、慎重な対処が望まれる。


                                            
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