Dr.遠藤のピジョンセミナー



 11.秋レースの戦い方とそのメンテナンス   性能検定
  
  しかし、実践経験の少ない鳩舎では、一レース、一レースが経験であって、データーの集録で
 
  ある訳だから、可能な限り、数多くの鳩を多くのレースに投入して、データーを採って鳩レースに臨み、
 
  自鳩舎のコンディショニング方法を会得すべきであろう。
 
  この事は自鳩舎に飛び筋のラインを見つけられないでいる鳩舎にもいえる。
 
  できるだけ多くのレースに参加して、自鳩舎の成績の良いラインを探し出す努力を惜しまない事である。
 
  その際に数多くの鳩を失うと思うが、これは犠牲では無く、能力が乏しい故の必然である。
 
  そう考えないと本当の飛び筋を見い出し、強豪鳩舎になる事は夢のまた夢で終わってしまう事になる。
 
 
  諸外国より星の数ほどの鳩が輸入され、即戦力如きに報道されるが、名うての銘鳩ラインが必ずしも
 
  活躍する訳ではないのである。 ほんの一握りしか活躍鳩はできないようである。
 
  さらに飛び筋を見い出だす作業では、自鳩舎で一位になるラインを見い出す事が大切である。
 
  なぜならば自鳩舎で一番に帰れない鳩が、他の多くの参加鳩で実施されるレースで、優勝する事は
 
  絶対にあり得ない事であるからである。
 
 
  飛び筋を見い出す事は、岩盤に金の鉱脈を探し出すのと同様、困難な事であるが見い出してしまえば
 
  鉱脈を掘り尽くすまで(種鳩が年老いるまで)活躍鳩を輩出する事が可能である。
 
 
  例えばどんなチャンピオンでもチャンピオンの直子でも、子孫に良い因子を伝えないトリは好鳩とは
 
  いえない。 短い生殖期間に好因子を伝える鳩こそ真の銘鳩、良い鳩だと認識すべきである。
 
  レース鳩はレースをするのであるから、形態、系統、血統だけで判断しない事である。
 
  とりわけ地域への順応性は大きなファクターである。
 
  その地域、その地域で飛ぶ鳩、活躍する鳩を観察すると共通項が見出せるものである。
 
  例外はあるが、確率の問題であってできるだけ確率の高い考えを鳩界に啓蒙して来たのが先達であって、
 
  その礎の上に立脚して今日の鳩レースの発展があるのである。
 
 
  どんな小さな鳩舎でも、合同鳩舎でしかレースをできない環境にある人でも、索漠とした現代に
 
  大空にロマンを駈せる事ができる・・・これが鳩レースであって欧米先進国と異なり純粋にアマチュア
 
  リズムの日本の鳩界事情であると考える。
 
  ハンドラーを使い、一団体以上の参加をして好成績を狙える鳩舎は日本には多数を数える事ができない。
 
  青少年のレースマンの育成は今日の日本鳩界の命題であって、今日的考えだけでは鳩界は衰退する。
 
  鳩レースを他人との競争に終始するのでなく、自分の考えと努力の結果として反省し、一歩一歩前進
 
  する事が大切なのである。

  そのような事を考えると秋のレースは、春に綿密な計画を立てて実施した配合作出、訓練等の成果を
 
  見る絶好の機会である。秋レースを直視して、甘い妥協を許さないで、来季へのステップにして欲しい
 
  ものである。
 
 
  レジョナル、高松宮杯の勝利は何物にもかえがたい名誉であるが、レースの失敗も、明日への貴重な
 
  財産である。 むしろ失敗こそが糧になるものである。
 
  そのように考えると、秋レースは本当に反省するデータ−を提供してくれる貴重なものである。
 
  <能力の乏しい種鳩を見出だす><活躍する自鳩舎の飛び筋を見出だす>この二つが、秋レースの
 
  真の意味であって、明日へつながる考え方である。

                                            
                       −55−