Dr.遠藤のピジョンセミナー



  7.シーズン・オフのメンテナンスとその方法   レース鳩のメンテナンス 投薬・飼料
  
  
レース鳩のメンテナンス 投薬・飼料
 
  次に疲労を回復させるには、体に回復の妨げになる様な病気を持っていたのでは回復は困難なものと
 
  なる。
 
  まず栄養の吸収を妨げる駆虫を第一にスタートし、コクシジウム、トリコモナスと順次進めてほしい。
 
  むろん鏡検(顕微鏡による検査)して、それらの所在を確認して実施することである。
 
  魚のいない所に網を打っても、まったく意味のないことと同じである。鳩レースの前だけ薬品を使用
 
  して駆除してもレース後の管理を怠ると次のシーズンで泣きをみる事となることを肝に銘すべきである。
 
 
  日本の鳩界も一刻も早く、科学的根拠に基づいて薬品を使用するようレベルアップしたいものである。
 
  下痢したからコクシジウムではないか?やせてきたから回虫や、トリコモナスではいか?と考えるのは
 
  もう卒業してほしいものである。症状が変だと思ったら検査を、検査に基づいて投薬をと進んでほしい。
 
  
  また、薬品の投与と共に注意したいのは、いかなる手段を用いて健康を増進してやるかという問題で
 
  ある。
 
  普通に飼料を与えて、普通に飼っていたのでは、やはり回復の早期化は狙うべくもない。
 
  大麦を多く用いて血液の浄化を期し、含水炭素(炭水化物)主体の燃焼効率の良い餌を与えて、内臓の
 
  負担を軽減すべきである。鳩がレースから疲労して帰還した時に食べる飼料が、マイロやキビなどの
 
  炭水化物ベースの餌である事を見て覚えておく事である。
 
  良い餌を与えて・・・等と考えて脂肪分、蛋白分を多く含有した餌などは間違っても与えない事である。
 
  このように記すとそれでは換羽はどうなるのだ。
 
  栄養分が濃くないと立派な羽毛が生えないのではないか、などと考える方も多いと思うが、心配は
 
  ご無用である。

  体の疲労がとれれば、前途のよう炭水化物主体ののエサで充分である。
 
  ただし換羽のみならず、体調の善悪は、体液のpH(ペーパー・酸性アルカリ性の度合いを示す値)
 
  が弱アルカリ性にある時に良好で、酸性に傾くと不良になる。
 
  このpH調整は血液中のCa(カルシウム)イオン濃度が高くなるとアルカリ性となり、逆に低くなると
 
  酸性となる。
 
  そこで、どのようにすると弱アルカリを保てるか、あるいは弱アルカリにする事ができるかというと、
 
  カルシウム分の補給は当然不可欠であるが、体の中の老廃物及び毒素等の排泄が問題となってくる。
 
  TCAサイクルという排泄回路である。
 
  この回路を円滑に回転させてやる事が大切であって、これを回転させるには多くの酸素が必要となる。
 
  この酸素は体内で作られ、それを分泌させるには当然必須のアミノ酸が必要となってくる。
 
  この様な難解な過程を経てくるのであるから、これを詳述すれば愛鳩の友誌一冊を要しても語り尽くせ
 
  ない問題であるが、筆者はこの回路をスムースに機能させる為に、玄米黒酢を使用している。
 
 
  黒酢はアミノ酸を多く含み、健康の増進に大変有効なものである。
 
  疲労の回復を早めるのも、この回路を活性化して、その結果として血中カルシウムイオン濃度を増し、
 
  弱アルカリ性にさせるためであろうと想像できる。
 
  具体的には換羽の上がり、筋肉の色、そして目の輝き、羽毛が密着し、脂粉が吹くなどの効果を発現
 
  するので、是非ともおすすめしたい方法である。量は二リットルの飲水にティースプーン一杯が適量で
 
  ある。
 
  この黒酢は、一、二回の使用では効果が薄く、面倒でも飲水の交換の都度、入れてやると良い。
 
  この方法は飲水へのビタミン投与より、むしろ優れた方法であると確信する。
 
                                           
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