|
|
6.長距離フライヤーの為の調整ポイント 科学者の非科学的側面 | |
作出の段にも一部垣間見る事ができたであろうが思い入れがレースでの成功の為の一方的側面である。 科学であれば一プラス一は必ず二であるが、動生物界においては鳩およびその飼育者の精神的な結び つきが必要不可欠の要素として明確に浮上してくる。 鳩に熱心で、なりふりかまわず一心不乱に夢中になっている時はその意志と愛情が鳩に伝わり、鳩も 意気に感じて帰舎を急ぐものであって、成績も不思議と良いものである。 少し慣れ、鳩を冷酷な目で眺め、ここが悪い、あそこが良くないと思う様になると一つの壁に到達する。 すなわち成績が上がらなくなる。 熱中時代にはこんな鳩がと思う鳩が好成績を納めたのに、こんなにいい鳩が何で落ちるんだろうとなる。 そうこうしている内に自分の鳩に自信が持てなくなってレースに参加するたびに、来ないのでは? 遅いのでは?と考える様になる。 こうなったのでは、鳩と人との信頼関係が損なわれて、絶対に 好成績を出し得なくなる。 西部ライオンズの広岡達郎前監督は、その著書『勝者の方程式』で勝つ為には何をどうしたら良いか を論じていたが、「守備についても打席に立っても守れないのではエラーをするのでは、打てないのでは」 と思っていては成功しない。 守備についたらオレに来い、打席にたったら打ってやる、との強い信念が大切だと述べていたのを記憶 しているが、これは鳩レースにも、そのまま当てはまる様に思える。 「来ないのでは(?)ではなく、絶対に来る。遅いのでは(?)ではなく絶対に速く来る」の信念こそ 勝利のポイントである。 特に長距離レースにおいては、その準備、計画、参加する為のレース運びと、長時間を要する作業 だけに、不断の信念と、不屈の闘志が必要である。 参加して帰るまでの時間も、短、中距離レースと比較して長時間なので、その間、自分の心の中で 自信と不安感との察綜があるとは思うが、強い確信で強く帰還を待つ事である。笑うかもしれないが、 一念岩をも通す、というやつである。 −30− |
|
|