Dr.遠藤のピジョンセミナー



  5.疲労回復を科学する   疲労回復についての考え方・精神的疲労
  
  筋肉に蓄積された乳酸の除去は、排泄回路を活発に働かせることによって、より早い時期に疲労を
 
  抜く事が可能となる。 どの様にすると、この回路が活発に作用するかを考える時に、カルシウムの
 
  作用を先ず考えなければならない。
 
  カルシウムイオンを血中に取りこむ事によって血中カルシウムイオン濃度が上昇し弱アルカリ方向へ
 
  と進む。 弱アルカリ体質化で排泄、吸収回路共に円滑に作用するので当然、老廃物が排泄されて、
 
  体調上昇、疲労回復への曲線を描く様になる。
 
  しからば、どのように処置するとこの排泄回路が良く機能するかというとレースから帰還し魔法の
 
  箱に入れ恒常性を維持できる様になった時<注@>に、飲水に玄米黒酢を2リットルの飲水にキャップ
 
  いっぱい程度を入れて飲ませると良い。
 
  これは高蛋白飼料を与える鳩舎には、体調を上昇するに最大の効果を発揮する。
 
  玄米黒酢はアミノ酸の宝庫といっても過言ではなく疲労回復のもっとも有益な方法であると確信する。
 
  この黒酢の飲水投与には、選手鳩・種鳩ともに自他鳩舎を含め過去五年間の試用実績を踏まえ、著効が
 
  認められたので公開する。
 
  <注@・・・生体には回復(安定)へと向かうメカニズム『ホメオスターシステム』がある。
 
     疲労状態から回復するに適した安定した状態にある事を示す。>
 

  またブドウ糖について、先に論じたが、飲水からのブドウ糖の吸収は疲労(内臓)回復後であれば、
 
  効果を認めるが、疲労状況下では保温、休息(安静)に勝るものではないと考える。
 
  

  肉体的疲労と同様に、鳩はカゴ詰め、輸送、その他、知らない土地からの放鳩等々、不安な事が多く、
 
  その為ストレスが生じ、精神的にもかなりの疲労を受ける。
 
  この様な疲労は、目で見えないだけに判断が難しく、したがってその対策も立てがたい。
 
  帰還した鳩舎に幾度も入ったり、普段と異なる事をするとそれ自体がストレスとなって負荷がかかる。
 
  そんな事で前途の魔法の箱は、暖かい所で、周囲が暗く、ゆっくりと休め、好ましいと言える。
 
 
  ドイツの本で、様々なストレスに関わる鳩の調子の上昇と下降について論じた本を読んだ事があるが、
 
  肉体的ストレスと精神的ストレスに起因する各種の疾病の発生を強調していたが、精神的ストレスに
 
  よって体内に病因が潜在していると、一気に発生という事も考えられる。
 
 
  また生体がバイオリズムとの関連で調子が下降している時に受ける種々のストレスと、上昇している
 
  ときに受けるストレスとでは、同程度のストレスではあっても、受ける側では収縮されて感じたり、
 
  あるいは拡幅されて感じたりするものである。
 
 
  いずれにせよ、精神的ストレスも調子の上下に大きく関与する事は明白なので、十二分に考慮に
  
  入れて管理すべきであろう。  魔法の箱は精神的疲労を最も除きやすいものでもある。
          
                      
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