Dr.遠藤のピジョンセミナー



  4.実践作出論   検卵
  
  
  抱卵が四日をすぎたら、必ず検卵してみよう。透かして(夜に懐中電灯で)みると血管が走って、
 
  心臓が鼓動し生命の発生を垣間見ることができる。この時に血管の太いものと、細いものがあるが、
 
  これをノートに記入しておくと、後で参考になる。
 
  極端に血管の細いものは、弱い鳩になる可能性が大であるので淘汰の目安となるであろう。
 
 
  また血管が全く走っていないものは、無精卵(未受精卵)であるので除外しなければならない。
 
 
  無意識に無精卵をフ化予定日すぎる頃まで深抱きさせガッカリするのでは、種鳩を無駄にする事に
 
  なる。 早く除いて、次の産卵に期待する事にしよう。
 
 
  種鳩は老い易く、銘鳩は生まれ難しである。一回でも多く銘鳩を作出する可能性に賭ける事である。
 
 
  この検卵の時に、卵の形も良く観察して欲しいものである。 丸いもの、楕円のもの、先のとがった
 
  ものなど様々だ。
 
  一般に長い楕円構造をした卵は、老化した種鳩と腹部に脂肪が蓄積した鳩に多く、産道が圧迫されたり、
 
  産卵に時間がかかり過ぎる為に起こる現象で、これらの卵からフ化した鳩はバイタリティーに乏しく、
 
  選手鳩には不向きと考えられる。 体の長い短いは、卵の長い丸いとは全く無関係である。
 
 
  卵殻の表面のザラザラしたもの、平らであるがツヤのないもの、これらの卵を走査型の顕微鏡で見て
 
  みると、繊維にカルシウムの沈着が悪い。 従って産卵した鳩がカルシウム代謝の悪い、
 
  いわゆるフ不健康状態での産卵なので、好鳩の生まれる事はぞ望むべくもない。
 
  思い切って淘汰することである。
 
  このような形の悪いもの、構造の悪いものを産卵するメス鳩は、総じて老齢化した鳩に多い。
 
  従って、種鳩のメスには、若い鳩を起用すべく心掛けるべきだと考える。
 
 
  ツヤのある、丸味の張りのある卵にこそ、活躍が期待されるヒナが宿る事を確信する。
 
 
  この理論は、筆者が大学時代に上野動物園の協力を得て、各種鳥類の卵殻構造を走査型顕微鏡に
 
  よって撮影し、その石灰化を探った際の研究によるものであって、それを実際のレース成績と対比して
 
  得た結論である。 疑わしきは自ら検索する事である。 読者においても、卵の形態、表面構造等を
 
  刻明にノートし、その結果を求めると、実証されるであろう。

         
                      
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