霧のない「霧ヶ峰」と霧の中の「蓼科山」へ登ってきた。 名古屋7時発のワイドビューしなの1号で出かけた。昨日から降り続いていた雨も、出かける頃には止んでいて、さらには電車に乗ったころには晴れ間も出てきた。天気予報は良くなかったが、いい方に外れてくれた。この時期信州方面へ行く人は多く、指定席は満席だ。天候によって柔軟に変更しなくてはならないので、指定席を確保していなかったため、自由席に並んで座った。塩尻経由新宿行あずさ号に乗り換えて上諏訪で下車する。 上諏訪駅からは、霧ヶ峰・白樺湖方面行のバスに乗車(9:50)。45分程度で車山肩に到着。ここから車山頂上まで歩くこととしていた。霧ヶ峰という山はない。このあたり一帯が霧ヶ峰であるが、その最高峰が車山だ。 霧ヶ峰は穏やかな山である。とげとげしさが一切なく、なだらかで霧ヶ峰高原の中のちょっとだけ周りより背が高い山が車山だ。深田久弥氏も「気持ちのいい場所があれば寝ころんで雲を眺め、わざと脇道に入って迷ったりもする。」と言っているが、そんな気にさせる山だ。 車山肩から歩き始めて約30分で頂上に達することができる。頂上には、反対側車山高原からゴンドラリフトが営業しており、手ぶらで来ている観光客が大半だ。登山用のザックを背負っていると違和感があった。車で来ることができるから「車山」?
頂上からの眺めは、遠くの山々というよりも、高原一帯に目を奪われた。美ヶ原あたりから続く高原、近くの八島ヶ原湿原、すぐ下に見える白樺湖、これから向かう蓼科山の端正な姿、天気が良かったので、頂上からの眺めを十分楽しめた。 頂上からは、車山高原方面へ降りた。本当は、八島ヶ原湿原あたりを散策し、寝ころんで雲を眺めていたいところであるが、今回蓼科山の方をメインとしていて、本日中に蓼科山山頂まで登る計画を立てていたので、先を急いだ。 あらかじめ調べていた車山高原12時30分発のラウンドバスで、蓼科山登山口へ向かった。余談であるが、このバスは、白樺湖を中心に霧ヶ峰、蓼科を周回している小型のクラッシックバスだ。車山高原から蓼科山登山口まで貸し切りで、若い女性運転手とお話ししながら30分間ドライブした。蓼科山登山口で、下山した人たちが4〜5人、私と入れ替わって乗車した。 登山口を13時頃出発して、登り始めた。初めは緩やかであるが、すぐに急登となる。不規則にゴロゴロ転がる岩の上を登るのも疲れる。最初の30分ほど誰にも出会わなかったが、やがて何組かの下山者と出会った。私より後から出発した、元気な夫婦に追い抜かれた。今日中に下山するそうだ。北アルプスのような騒がしさはなく、けっこう静かな山登りを楽しめる。 1時間ほどの急登を我慢して登ると、やがて2100mあたりでいったん傾斜は緩やかになる。しかしまた、急登が始まる。先の急登よりもさらに岩がゴロゴロしていて厳しい登山道だ。ほとんど樹林帯の中であるが、やっと樹林帯を抜けると頂上に近かった。 ゴロゴロの岩の中に頂上があり、今夜お世話になる山頂ヒュッテがたたずんでいる。頂上に到着したのは15時30分だった。同時刻に登って来た人も多く、頂上付近はにぎわっていた。しかし、ガスが覆っていて、ほとんど下界は見ることができなかった。確かに下から見ていて、頂上付近だけ雲に覆われていたのだ。 16時前に蓼科山頂ヒュッテに入った。30名ほど泊まることのできる山小屋であるが、本日は11名だった。泊まる人たちと、こたつで山談義をして過ごした。 10/11(月) 朝食を済ませて、6時50分頃出発した。本日は、北横岳を登った後、ピラタスロープウェイ方面へ下山する予定だ。若干時間の余裕もありそうなので、少し周回することにした。山頂ヒュッテから将軍平方面へ下る。ここの道もまた急坂だ。下りだからかなり神経を使った。標準時間20分とあるが、30分費やした。 将軍平から赤谷の分岐、そして大河原を巡って天祥寺原へ抜けた。天祥寺原へは9時頃到着。少し休憩して亀甲池へ向かう。亀甲池は澄み切った水辺に紅葉した木々を映し返していた。 ここから北横岳への登りが始まる。蓼科山山頂からすでに500m程度下ってきているので、ほぼ同じ高さの北横岳まで、また500m登り返すことになる。やはり、厳しかった。だいたいの時間はわかっているのに、下ってくる人に「後どのくらいですか?」聞く。「後15分で登れますよぉ〜。がんばってください。」と返ってくる。それが聞きたくて話しかける。結局、亀甲池から1時間30分を要し、北横岳頂上に到着したのは、11時15分だった。 目の前に、端正な形の蓼科山を仰ぐ。そして西に北アルプス、先月登った槍ヶ岳が確認できる。その隣に大キレットを隔てて穂高連峰が確認できる。御嶽山が目に入る。木曽駒ヶ岳が目に入る。南を向くと近くに南八ヶ岳の峰々その向こうに南アルプスが目に入る。昨日蓼科山から眺望ができなかった分取り返した気分だ。 山頂からの展望を楽しんだ後、ピラタスロープウェイ方面へ下山した。下山途中で縞枯山が目に入ってきた。名前のとおり山が部分的に枯れ、それが移動していき、また蘇ってくるという不思議な現象の起こる山だ。 「さんちょうえき」へは12時頃到着した。少し休憩を取ったが、ほとんどそのままロープウェイに乗って「さんろくえき」へ下った。「さんろくえき」でバスを待つ間、五平餅とじゃがバターで一人打ち上げして今回の山行を終えた。 毎年この時期、単独山行している。多くの人とわいわい登るのも楽しいし、気の合った2〜3人で登るのもいい。そしてひとり、静かな山歩きも別の楽しみがある。自由気ままに、錦秋の北八ヶ岳を歩き、まだまだ続けるであろう、これからの山行に思いを巡らす山旅だった。 年度別登山口へ 山岳名登山口へ トップページへ |