北アルプスのランドマーク槍ヶ岳、昨年奥穂高岳から眺め、あの穂先に立ちたいと思ったあの槍ヶ岳に登ってきた。そして今回もいくつもの感動をもらった。 前日S君と平湯温泉入りしていた。当日、名古屋を4時30分頃出発したK君と上高地バスターミナルで合流。8時50分上高地を出発した。明神、穂高神社で安全祈願して徳沢、横尾と進んだ。ここから穂高岳方面と槍ヶ岳方面に分岐している。何回か来ているが、槍ヶ岳方面は初めてだ。 槍沢を北上していく。横尾までの道と違って、少し細い樹林帯の道となっている。ほとんど傾斜はなく、一の俣まで約40分。登山道の右手からの沢が本流に合流している。このような支流がいくつかあって梓川が形成されているのがわかる。 本日の宿泊地、槍沢ロッジに到着したのは14時頃だった。それにしても三連休とあって宿泊者が多い。後で槍沢ロッジのホームページを見ると、当日が今年最高の宿泊者だったようだ。一人のスペースが30cm程度だ。予約なくても泊まることができる山小屋は多いし、我々も予約していないのだからやむを得ない。S君・K君に挟まれ、小さくなって寝た。 9/19(日) さあ、いよいよ本日は槍の穂先を目指して登ることとなる。ここ槍沢ロッジが標高1820mであるから、1360mの標高差だ。朝食を済ませ、6時50分出発。天気も良く、槍沢ロッジから槍の穂先が見えている。ロッジの外に置かれた望遠鏡を覗くと、すでに頂上付近に数人登っているのが確認できた。 登山道は、沢沿いに少しずつ高度を上げていく。ババ平のキャンプ場を通り抜け、やがて大曲に到着する。(7:40)一息入れる。東鎌尾根方面に向かう道と分岐している。大曲からしばらく登ると、視界が開けてきて、槍の穂先が現れた。三角垂の端正な雄姿だ。山の雑誌によく出てくるアングルである。我々もしばし休憩をとって記念撮影。 そして、天狗原分岐のあたりからジグザグの急登が続くようになる。槍の穂先を仰ぎ見ながらの登りだ。殺生ヒュッテ分岐に10時30分到着。槍ヶ岳山荘まで後一息のところまで来た。 槍ヶ岳山荘に、11時40分に到着した。山荘の正面には、やさしい顔した常念岳がそびえ、裏に周ると笠ヶ岳を筆頭に飛騨の山々が連なっている。とりあえず、頂上へ登る前、逸る気持ちを抑えて昼食とした。持ってきたストーブでお湯を沸かしてインスタント味噌汁を作り、槍沢ロッジでいただいたおこわの弁当を食べた。 昼食を済ませ、いよいよ槍の穂先へ向かう。と思いきや、最初から渋滞している。今日は多いとはいうものの、まだマシだとの声があった。お盆休みの時は、山小屋の前まで列をなしていたらしい。そして、頂上までは通常30分程度で登れるが、この時は3時間かかったとのこと。 途中何回も足止めされるし、飛騨側から吹いてくる風で寒い。しかし、逆に時間がかかる分、登る途中で近くの峰、遠くの峰をじっくりと眺めることもできた。小槍をロッククライミングしている女の子が数人いた。「アルプス一万尺、小槍の上で、アルペン踊りをさあ踊りましょう♪」 頂上へはかなり厳しい岩場の連続だ。ほぼ垂直に近い梯子、くさり場、杭打ちの岩場があり、慎重に登らなければ、一歩間違えると命にかかわってくる。3つ目の梯子をのぼると頂上が現れる。ついに憧れの槍ヶ岳の穂先に立った。感慨深い。登りは約1時間30分要した。 頂上は、それほど広くはないが、10数名程度はいられる広さだ。小さなお社の前、順番待ちで写真を撮る。見渡すと、穂高連峰、常念岳、笠ヶ岳が目に入ってくる。そして、遠く中央アルプス、南アルプス、八ヶ岳とまさに360度のパノラマだ。 あまり感慨に浸っている暇もなく、次々と登ってくる人たちのために空けなくてはならない。登りの梯子とは別に下りの梯子がある。下る梯子もまた、恐怖心を覚える。慎重に下らないとやはり危険だ。約30分で山荘まで下った。 槍ヶ岳山荘も本日は満室で、廊下にまで布団を敷いて寝ている。650人のキャパシティがあるが、キャパシティを越えていた。8時30分の消灯ぎりぎりまで夕食が続いていた。槍の穂先に立った歓びを胸にして眠りについた。 9/20(月) 4時頃目を覚ました。夜中から雨の音が聞こえていたが、まだ止んでなかった。前日のあの好天がうそのようだ。本日は下山のみで、まだ良かった。早出の人達が準備している。5時からの朝食に4時30分頃から並び始めている。我々も、列に並んで5時30分頃食事をし、6時30分頃出発した。来た道を下山する。天狗原分岐付近まで小雨が降っていたが、やがて止んだ。 天狗原分岐でガスで見え隠れする槍の穂先に別れを告げて、上高地まで22km、約8時間の下山を経て今回の槍ヶ岳を終わった。今回の槍ヶ岳は、K君と昨年同時期に登った奥穂高岳からこの槍ヶ岳を眺めながら、「来年はあそこの頂に立ってみたい。」との希望を実現した。 それほどの熟練者でもなく、まだまだ経験不足ではあるが、北アルプスの2つ目の名山の頂点に立つことができた。そして、新しい発見もあった。氷河が創りだしたモレーン大地、地殻変動によって隆起し、そして傾いた地層、これらの現象を見るにつけ、自然の雄大さと太古からの地球の歴史を改めて感じた山旅だった。 |