白山(H22.8.27〜8.29)

昨年「赤岳」へ一緒に登ったBさんと、今年は「白山」に登ってきた。白山を選んだ理由は、紅白の縁起を担いだこともあるが、登ってみたかった山のうちの一つであった。「白山」は、山登りの人であれば、知らない人はいない「日本百名山」の著者、深田久弥氏のふるさとの山である。深田氏は、「生家の2階からも、小学校の門からも、鮒釣りの川辺からも、泳ぎに行く海岸の砂浜からも、() 真正面に気高く美しく見えた。」と記している。

 

8/28(土)

前日、半日休暇をもらって、午後から金沢入りした。朝6時45分の白山登山バスに乗る。このバスは、金沢駅を出発し、マイカー規制している「一ノ瀬」から登山口の「別当出合」の間にも入るので便利だ。別当出合にほぼ定刻の9時前に到着した。

別当出合の登山口を9時15分に出発。登山道はいくつかあるが、砂防新道を登る計画にしていた。最初に、沢にかかる吊り橋を渡る。旧吊り橋は、平成16年に土石流で流され、付け替えられたそうだ。この橋を渡っていよいよ登りが始まる。休憩ポイントの中飯場に9時50分に到着。一息ついた。

登山道は、整備されていて、危険個所はほとんどなく、歩きやすいのであるが、何せ暑い。体調も思わしくなかったこともあって、高山病に襲われた。大量に汗をかき、軽い頭痛と吐き気をもよおした。甚之助避難小屋で昼食のため、長く休憩を取ったので、少し楽になったが、昼食も、おにぎり1個と味噌汁がやっとだった。(甚之助避難小屋11:25到着、12:30出発)

途中何回も休憩しながら「黒ボコ岩」に到着。(13:45)ここまで来れば、本日の宿泊地「白山室堂センター」は近い。名前のとおり黒いボコボコした奇岩があって、ここに登って思い思いの写真を撮っている。

ここから、山小屋までの間、弥陀ヶ原は木道が続く。7月下旬から8月中旬にかけては、一面高山植物が咲き乱れるお花畑である。白山は高山植物の宝庫と言われるくらい花の山としても有名だ。8月下旬ではあるが、まだいたるところに花が咲き、楽しませてくれた。


         弥陀ヶ原のお花畑                   室堂センターから白山(御前峰)を仰ぐ

山小屋室堂センターには14時20分頃到着した。別当出合(標高1,250m)から室堂(標高2,450m)まで、標高差1,200mを約5時間20分(休憩含む)費やしたことになる。受付を済ませて、2人で乾杯した。ここの山小屋は750人収容できる日本でも有数の山小屋だ。休日、特に7月下旬からの花の季節は満室状態である。予約をしないと宿泊できない。4月に予約していた。

それにしても、この山は小学生からお年寄り、若い女性(山ガール)、高校の団体と、老若男女あらゆる世代の人が登る山だ。これほど幅広い年齢層の人が登る山を見たことがない。それは、この山が昔から多くの人に親しまれた山であることの証拠だろう。17時からの夕食前に近くを散歩してみた。夕食後早めに床についた。すぐには眠れなかったが、疲れていたので体を休めた。

 

8/29(日)

朝3時30分頃、周りが準備を始めたので目を覚ました。御来光を拝むために出かける準備である。ここ室堂センターから頂上御前峰(標高2,702m)まで、約40分登らなければならない。3時50分頃暗い中を登り始めた。満天の星だ。見上げなくても目の高さにも星が輝く。気温9度で、昼間の暑さを忘れさせる。

4時30分頃頂上に到着。撮影場所を決めて御来光を待つことにした。5時頃から少し明るくなってきた。東に北アルプス穂高連峰、槍ヶ岳、その左、北側には立山から三角に見える剱岳、そして南に目を向けると、乗鞍岳、その向こうに南アルプス、八ヶ岳、さらに南に御嶽山、恵那山と続く峰々がはっきりと確認できる。

360度の大パノラマである。どんなに辛い上り坂があっても、これがあるから山登りはやめられない。後ろを振り返ると金沢の街の光が輝いている。日本海が見渡せる。我々の住む名古屋の光も眺められるようであったが、座った位置からは見えなかった。


       大キレットから上るご来光                      頂上付近から室堂方面

いよいよ御来光である。10分くらい前だっただろうか、白山奥宮の袴姿の宮司さんも登ってこられていて、少し大きな岩の上から峰々の説明をしてくれた。そして、5時19分穂高連峰大キレットから最初の光が輝いた。数百名の登山者が思い思いにシャッターをきっている。

一通り、全員が写真を収めたところで、宮司さんが声をかけてきた。明確には覚えていないが、「自然と人類の共存共栄、本日御来光を拝まれた方々のご健勝とご多幸をお祈りしまして、万歳三唱したいと思います。」のような感じだった。宮司さんの音頭で北アルプスにかかる御来光に、「万歳!」「万歳!」「万歳!

御来光を堪能した後、山小屋の食事は8時までなので、充分時間があるため、お池めぐりをして山小屋へ帰った。紺屋ヶ池、翠ヶ池、血の池、千蛇ヶ池を巡った。その他にもいくつか点在している。峰と池の調和がまた素晴らしい。頂上から約1時間10分程度のお池巡りを楽しんで、山小屋へ帰ってきた。

朝食を済ませ、7時45分に出発した。下山は観光新道を選択した。この観光新道も高山植物が多い。花の山であることを実感する。若干時期は遅いのではあるが、それでも「タカネマツムシソウ」「シナノオトギリ」「ハクサンボウフウ」など咲き乱れている。「トリカブト」の花も見つけた。


   ハクサントリカブト       タカネマツムシソウ         シナノオトギリ       ハクサンボウフウ

殿ヶ池避難小屋に8時40分頃到着。観光新道は、尾根道のため遮るものが少なく、太陽が容赦なく照りつけ、9時前だというのに暑い。避難小屋に入って休憩した。別当出合分岐からは、一気に下る道となる。昨日登った砂防新道を下に見ながらの下りだ。別当出合に10時50分に到着して、今回の山登りを終えた。

深田久弥氏が、開眼した山を登った。再度、深田氏の言葉を引用させてもらうと「仰いで美しいばかりでなく、登っても美しい山である。」と。今回は、体調不良で苦しい山登りだったが、登って本当に良かったと思った。花が咲き乱れ、峰と火口湖の調和、御来光、すべてが美しい。山の気高さ、崇高さを感じた山旅だった。

年度別登山口へ  山岳名登山口へ   トップページへ