H27.9.18〜9.22 裏銀座から黒部源流縦走

北アルプスの最深部を巡ってきた。シルバーウィーク、サラリーマンとしては、またとない連休だ。今回実は、半年前から計画していたキナバル山(ボルネオ島マレーシア領)へ行く予定だったが、6月の大地震によって頂上まで登れないとのことで、代替山行だ。これまで日本列島、豪雨で大きな災害をもたらせたが、連休中うそのように晴天に恵まれて、ぞんぶんに山を楽しんできた。

今回の山行は、山の会会長のSさん、山好き人間Hさんと3人での山行。東から西への縦走だ。大町温泉郷から裏銀座登山口の高瀬ダムから入り、ブナ立て尾根、烏帽子岳・野口五郎岳・水晶岳・鷲羽岳・三俣蓮華岳・黒部五郎岳と巡って飛越新道・飛越トンネルへ至る行程。かなり厳しい計画だったが、縦走できたことで充実している。それにしても、こんなに山好き人間がいるんだ、と。


H27.9.19(土) 1日目

前日大町温泉郷に宿泊、宿を6時50分にタクシーで出発した。約30分で出発地点の高瀬ダム到着。7時25分、ダムの堤防からトンネルを抜けて歩き始める。30分ほどで裏銀座登山口(ブナ立て尾根)に取りつく。ここブナ立て尾根は、日本三大急登にも北アルプス三大急登にも入っているようだ。
 
いよいよ出発「高瀬ダム」

 
裏銀座(ブナ立尾根)登山口

さすがに日本三急登、けっこう急勾配の登山道だ。タヌキ岩で昼食。私の持ってきたパウンドケーキをシェアして食べる予定だったが、どこかで包装に穴が開いていたのか水分が飛んでいてボロボロになっている。食べた気にならない。メンバーに迷惑をかけてしまった。

高瀬ダムを出発して約5時間15分ブナ立尾根を登り切った。12時40分、本日の宿泊、烏帽子小屋到着。受付を済ませ、ザックをデポして烏帽子岳へ。名前の通り烏帽子の形をしたオベリスクだ。頂上までは縦・横の鎖場が数か所あって慎重に登る。

小屋から約50分で頂上に達する。頂上は、一人しか立てないくらいのスペースしかない。眼下の紅葉している草原と池塘が美しい。野口五郎岳方面の裏銀座縦走路が、尾根伝いに曲線を描いている。15分程度、頂上からの展望を楽しんで下山した。

 
紅葉が始まっている

 
烏帽子岳

H27.9.20(日) 2日目

朝5時、ヘッドライトを装着して出発した。本日は、水晶小屋の予約が取れなかったので、三俣山荘までの行程だ。3週間ほど前に予約したにも関わらず、すでに満員で断られてしまった。コースタイムで10時間程度の行程となっている。ここは、いわゆる裏銀座縦走コースといわれている縦走路である。

三ッ岳を巻き、お花畑コースを経過して、野口五郎岳に8時40分に到着。鷲羽岳・水晶岳が近づいてくる。立山方面も遠望できる。


 
野口五郎岳

 
野口五郎岳から水晶岳

上り下りを繰り返し、水晶小屋11時20分到着。ここもザックをデポして頂上を目指す。約40分で到着。南側に鷲羽岳、北側に赤牛岳が迫り、東にこれまで歩いてきた裏銀座縦走路だ。北アルプスの中でも最深部といわれるところに今来ているんだ、といった感激に浸る。

 
水晶岳頂上

 
水晶岳から鷲羽岳

水晶小屋に戻り、ザックを背負って、本日の宿三俣山荘を目指した。(13時15分) 鷲羽岳頂上を通過して三俣山荘へ下るルートと岩苔乗越から黒部源流の碑のある沢を下って、山荘まで登り返すルートがあるが、山荘到着時間を考え、最短ルートの沢を下るルートを選択した。

岩苔乗越から黒部源流の碑まで地図上のコースタイムは、40分とあるが、1時間弱費やした。地図のコースタイムは、どれくらいのレベルなのかわからないが、ここは少し誤っている(?)のではないかと思われた。

 
黒部源流の碑

 
黒部川源流

三俣山荘15時40分到着。朝5時に出発したから休憩含めて10時間以上歩いたことになる。先に到着していたSさんがチェックインを済ませていただいていた。それにしても登山者が多い。本日は布団2枚で5人だ。オイルサーデン状態(頭と足が互いに逆向き)での就寝だ。朝までほとんど寝付けなかった。

何回かこんな経験があるが、それにしてもこの5連休、天気にも恵まれているので、登山者は想像を絶するほどの多さだ。


H27.9.21(月) 3日目

1日目・2日目と2日間ハードな日程のため、また山小屋の位置にも関係するが、本日は休養日とし、鷲羽岳を往復して、黒部五郎小舎まで半日間の行程としていた。

まずは、朝食を済ませ、6時40分鷲羽岳を目指して空身で出発。さすがに重いザックを背負わなければ、足は軽い。コースタイム1時間30分のところを1時間で頂上に到着した。頂上からは、黒部五郎岳・薬師岳がその雄姿を見せてくれた。本日もいい天気だ。北アルプス最深部、360度山、山、山、そして山。八ヶ岳方面、南アルプス方面も遠望できる。

 
鷲羽岳頂上

 
鷲羽岳頂上から槍ヶ岳

三俣山荘に戻り、山荘を9時に出発。本日の宿黒部五郎小舎を目指す。三俣蓮華岳の頂上を経由するルートと巻道ルートがあるが、本日は時間がたっぷりあるので、三俣蓮華岳頂上経由ルートを選択。長野県・岐阜県・富山県の県境があって3つの県にまたがっているところから「三俣」の名がつけられたのだろう。

三俣蓮華岳頂上10時5分到着。辿ってきた縦走路を振り返る。これから辿る縦走路を眺める。双六岳が現れた。槍ヶ岳は縦走路から常に左手に眺めることができた。
 
三俣蓮華岳頂上

 
黒部五郎岳方面への縦走路

縦走路から沢を挟んで北側に、今回行けなかった「雲ノ平」が見えている。三俣蓮華岳から1時間20分、11時40分に黒部五郎小舎到着。小屋につく手前の下りはけっこう厳しかったが午前中に今日の仕事は終わった。

持ってきたラーメンとお餅入り味噌汁で昼食にした。山小屋に到着したときまずはビールなのだが、当初売り切れと言われたのに、他の人が買っているではないか。一人一缶ということでありつけた。

どこの山小屋も混み合っているが、ここも本日一つの布団で二人だった。それでも三俣山荘よりは若干マシだった。

 
縦走路から雲ノ平方面

 
黒部五郎小舎


H27.9.22(火) 4日目

最終日となった。本日は黒部五郎小舎を出発し、黒部五郎岳・北ノ俣岳を経由して神岡新道・飛越新道を下る予定で、14時30分にタクシーを予約している。かなりの強硬スケジュールとなっている。

4時35分、ヘッドライトを付けて出発、黒部五郎岳を目指す。黒部五郎岳頂上へは小屋から、尾根ルートとカールルートがあり、カールルートを選択した。大きなカールを持った山だ。最後の急登を登り切ると肩に取りつく。肩からは5分程度で頂上に到着。

頂上到着7時ちょうど。本日は4日間の中でも最も天気が良く、眺めも最高だ。これまで巡ってきた黒部源流の山々が一望できるのはもちろん、ここからの景色で一番お気に入りは、「笠ヶ岳・乗鞍岳・御嶽山の三重奏」である。3つの山がうまく重なって同じ方向にそびえている。これまで登ってきた山の中で、最高部類の絶景だ。

 
黒部五郎岳

 
黒部五郎岳頂上から「笠ヶ岳・乗鞍岳・御嶽山」

20分程度の絶景を楽しみ、名残惜しいが先を急がなければならない。北ノ俣岳方面に向かう。中俣乗越8時40分を経て、北ノ俣岳10時10分に到着。この山でいよいよ黒部源流の山々とお別れになる。しっかりと頭の中に焼き付けて下りの準備に取り掛かった。

 
北ノ俣岳

 
北ノ俣岳から薬師岳

北ノ俣岳から太郎山方面へ10分ほど歩いたところに神岡新道への分岐がある。どちらかというとマイナーなコースで、あまり利用されない登山道ではあるが、本日は登ってきている人もいた。

北ノ俣避難小屋までの下山は樹木がなく、気分よく下山ができたが、避難小屋を越えたあたりから樹林帯に入る。ほぼ平坦な道が続くが、ぬかるんだ道だ。地図上にも書かれているとおりだった。何回もぬかるみに足を取られてしまった。とにかく計画した以上下らなければならない。

寺地山12時15分通過。最後までぬかるみに悩まされたが、14時40分飛越トンネルの駐車場に無事到着して、高瀬ダムからの大縦走を完成させた。予約していたタクシーで平湯温泉へ。平湯の森で温泉に浸かり、4日間の汗を流した。


以前から、黒部源流の最深部に入りたいと思っていたが、今回シルバーウィーク5連休を利用することによって、実現できたことで非常にうれしい。しかも最高の天気に恵まれ、メンバーにも恵まれた。今回のプランはSさんのプランを元に少し私が無理を言って1日短縮したところがあり、少し厳しいところがあったかもしれないが、ここの山域に入るためには、相当覚悟する必要がありそうだ。

本当に素晴らしい山々を巡ることができ、絶景を堪能してきた。山の魅力を再認識した山旅だった。


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