(C)TOSS-TWO-WAY/小学校/国語/説明文/要約/5年生/
大阪府/中谷康博
説明文の要約とアウトラインシステムの作文指導をした。
<1時間目>
(指示1) 今から先生が読むので、読み方のわからない漢字に線を引きなさい。
ゆっくり2回範読をした。
比較的やさしい読み方の漢字が多い。「別の一面」に線を引いた子がいた。
(指示2) 題名の横に丸を10個書いて、読む練習をしなさい。
音読練習7分間。
音読の苦手な子のそばで読み方を指導した。
指名なし音読を3回した。
(指示3) 今から1文ずつ交代で読みます。丸ずつ読むのです。先生は、当てません。読みたい人が自分でたって読むのです。もし、2人以上立ったときは、遠慮をしてください。友達に譲るのですよ。必ず全員に読んでもらいますので安心してください。では、どうぞ。
指名なし音読が初めての学級だったので、以上のように簡単に説明した。
始まると同時に多くの子が立って読もうとするので、
「2人以上が立ったときは、遠慮をしてください。」
何度か繰り返した。
「次に読みたい人は、1つ前のところで立って待ちます。」
と付け加えた。
早口になりかけるので、
「ゆっくり落ち着いて読みなさい。」
とも話した。
<2時間目>
(指示4) 合図があるまで音読練習をしなさい。
(指示5) 今から班毎に起立し、声を合わせて音読します。例えば、1段落は1班、2段落は2班で、6段落は6班というようにです。1段落の終わりごろに2班がさっとたって読みます。では、1班からどうぞ。
初めてやったので1班と2班の子どもたちに2度やらせて、全体の手本とした。
こうすることで、テンポよく音読が進んだ。
各班の担当する段落を変えて、これを3回繰り返した。
(発問1) 2段落を20字以内で要約しなさい。
数分後、できた子から黒板に書かせていった。
15名程度が書いたところで止めさせて、0点、3点、、、、というように10点満点で採点していった。
ほとんどが、3点なので驚いていた。もちろん、10点はなかった。
この中で一番大切な言葉はどれですか。
すると、次の3つが出てきた。
「地図」
「日本(が真ん中)」
「よく目にする」
この3つが、キーワードである。
この3つの言葉を使ってもう1度書きなおしなさい。ただし、地図で終わる文にします。
もう1度、書きなおしをさせた。
さっき板書をした子たちにもう1度板書させて、採点をしていった。
ほとんどの子が
「日本が真ん中のよく目にする地図。」 |
と書いていて10点になった。
<3時間目>
本文中のアジア、ヨーロッパ、南北アメリカの位置のよくわからない子が多いことに気づき地図帳で確認し、教科書の地図に鉛筆で書き入れさせた。
(発問2) 全文を30字以内に要約しなさい。
今度は、全文なのでしばらく戸惑っている様子だった。
教室ツーウェイNO.96の向山洋一氏の「続・向山式要約指導法」では、次のように述べられている。
1.全文要約を三十字以内とする。 2.重要な段落を探させ、重要な1文を選び出す。 3.重要な1文をは補完する文がある時は、その文も含める。 |
これを参考に進めた。
(発問3) この中でいちばん大切な段落はどれですか。
筆者がもっとも言いたいことを書いている段落であることを付け加えた。
意見が、5段落と最後の6段落に分かれた。
それぞれの理由を言わせた。
5段落は、地図のことが書かれている。地図はこの場合、例であるので5段落は、6段落に含まれるのではないか。
ということで、大切な段落は、6段落になった。
(発問4) 6段落の2つの文の中で重要な文はどちらですか。
「同じものでも、見方を変えるだけ、別の一面を見せる。」(26字)
残り10分。
アウトラインシステムで授業の感想を書かせた。
アウトラインは、次の通り。
今日の授業は、 だった。 たとえば、 だ。 さらに、 だ。 このように、 だった。 |
(例1)
今日の授業は、楽しかった。 たとえば、みんなで意見を言うことだった。 さらに、文をまとめたりだった。 このように、おもしろかった。 |
(例2)
今日の授業は、文章全体を三十字以内でまとめることだった。 たとえば、キーワードを探した。 さらに、どの段落でまとめられるかをした。 このように、意見を出し合い、考え、まとめると言うことが大切だと思った。 |
(例3)
今日の授業は、むずかしかった。 たとえば、5段落と6段落に分かれた。 さらに、3このキーワードを見つけたりだった。 このように、頭を使うことばかりだった。 |
<4時間目>
「地図が見せる世界」をもとにして、アウトラインシステムで作文を書かせた。
教科書の文章の次の言葉に傍線を引かせた。
ここに がある。 は、 である。 は、 である。 をじっとながめてみよう。 ところが、 。 わたしたちは、あるものを見なれると、 。 |
(指示 6) 2つのものを比べて線を引いた言葉を使って、文章をつくりなさい。
しばらく戸惑っていたようだが、身の回りのことでよいので2つのも比べてのを書いてみるように促すと少しずつ書けるようになっていった。
<作文の例1>
本が見せる世界 ここに2冊の本がある。 マンガの本は、私たちが本屋の店先でよく目にするものである。 表紙には、にぎやかに絵がかいてある。 ぶあつい物語は、店の奥深くでよく見かける本である。 表紙を見ても、にぎやかでもなんでもない。 ぶあつい物語をじっとながめてみよう。 すると、本のタイトルのほとんどがむずかしい漢字で書かれていることが分かる。 マンガのようにふざけた物ばかりだと、ふざけた物を中心に本ができているように思えてくる。 ところが、ぶあつくて真剣な物語だと、世の中の本の中心が全部真剣のように考えがちである。 わたしたちは、ある物を見なれると、それが本当のすがただと思うようになる。 だが、同じ物でも見方を変えるだけで、別の一面を見せることにもなる。 |
<作文の例2>
鳥が見せる世界 ここに二羽のの鳥がいる。 右の鳥は、すずめである。 この鳥は、チュンチュンと鳴き、電線などの上にいる。 左の鳥は、からすである。 この鳥は、カアカアと鳴き、ときどき家のやねにとまっている。 左のからすをじっとながめてみよう。 すると、この鳥が真っ黒なことや、羽を広げると体が大きいことが分かる。 右の鳥ばかり見ていると、鳥はすずめしかいないように思えてくる。 ところが、からすを見ていると、鳥はからすだけのように考えがちである。 わたしたちは、ある物を見なれると、それが本当のすがただと思うようになる。 だが、同じ物でも、別のものを見ると別のもののことも分かるようになる。 |
<作文の例3>
チューリップが見せる世界 ここに、二本のチューリップがある。 右のチューリップは、学校などでよく見かける、日光にたくさん当たったチューリップである。 左のチューリップは、家などで育てている、水さいばいのチューリップである。 日光にはあまり当たっていないけれど、右のチューリップと同じ物のように思える。 二本のチューリップを見くらべてみよう。 すると、日光に当たっているチューリップは、くきが太く色あざやかだ。 ところが、日光にあまり当たっていないチューリップは、くきが細く、根っこが短く根っこの量が多いのである。 わたしたちは、ある物を見なれると、それが本当のすがただと思うようになる。 だが、同じ物でも見方を変えるだけで、別の一面を見せることにもなる。 |